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「バリツ」の謎の解明

昼飯を食いながら、娘が録画してあった、宮崎駿が監督・演出などをした「名探偵ホームズ」を見ていたのだが、十九世紀末から二十世紀初頭の「電気以前の機械文明」への偏愛は変わらないなあ、と思ったのだが、脚本が(私が見た限りの四編では)片淵須直であるのが驚きだった。宮崎の好みに合わせたと言うより、片淵須直も、このあたりが「人類の科学文明がまだ人間味を残していて」好きなのではないか。
と言うのは前置きで、このアニメではホームズの推理や事件の謎などは適当であり、要は、犯人(主にモリアーティか)と、それを追跡するホームズとワトソンの追いかけっこである。つまり、「ラピュタ」の冒頭部分みたいな感じだ。
で、それも前置きで、私が考えたのは、実はホームズ物というのは「推理小説」と言うより「冒険小説」なのではないか、ということだ。事件の謎やその解決など適当でいいのであり、超人的ヒーローが強力な敵を倒す快感があれば、読者は満足するのではないだろうか。つまり、宮崎・片淵の「名探偵ホームズ」は、ホームズ物の本質を捉えている、ということだ。
で、それも前置きで、私が食後にホームズ物のことを考えている時に、あの問題の「バリツ」の解答が思い浮かんだのである。日本の武術とされている「バリツ」が何なのか、シャーロキアンの間でも定説は無いと思うが、私の推理はこうであ。
ドイルはある時、知人から日本の武術のことを聞いた。ところが、その人(あるいはその人に教えた別の人)は、武術と馬術を混同して、しかも、「バジュツ」を「バジツ」と発音し、さらにドイルに教えた人は「バリツ」と発音した、ということだ。
「バジュツ」→「バジツ」→「バリツ」という伝言ゲームなら、音の変化も実に自然に生じるのではないか。
まあ、同じ説を私以前に出している人もいるかもしれないが、これは案外、日本人でないと(あるいは「馬術」という言葉を知らない外人だと)思いつかない音便変化なのではないだろうか。


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酔生夢人
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