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神の沈黙

ネットテレビというものが出来て、昔の映画が手軽に見られるようになったのは実に便利である。もちろんTSUTAYAなどでのレンタルという方法もあったが、わざわざ店まで行かなくても作品を選べるのと、「延滞(料金)の恐怖」が無くなったのは、実に素晴らしい。何しろ、延滞していることにこちらが気づかないと、無限に延滞料金が嵩んでいくシステムなのだから、世の中にはツタヤの延滞料金で破産した人もいるのではないかwwww 
で、ネットテレビが素晴らしいのは、延滞を気にせずに、好きなところで中断して、また好きな時に見ることができることだ。どんな長い、見るのにためらう真面目な作品でも、1回に30分くらいずつなら中断しながら全部を見ることができる。これが、中断不可能だと、3時間くらいの馬鹿長い映画はとてもじゃないが私は気力も体力も続かない。
以上は前置きで、先ほどまで見ていたのがマーチン・スコセッシの「沈黙」で、2時間40分くらいある大作だ。3時間近くも椅子に座って映画館で見るなど私にはほとんど不可能である。そもそも、映画を見るのは娯楽であって、こんな真面目作品を映画館まで行って見る私ではない。しかし、アマゾンプライムで無料で見ることができたので試しに最初のほうを見ると、最初の部分だけでも、これは実に真剣に作られた作品だな、と分かり、結局、途中に休憩を少し入れただけで、最後までほぼ一気に見てしまった。結論は「傑作である」ということで、我々非キリスト教民族の人間がいつも疑問に思っている「神はなぜ地上の悪や不幸に沈黙しているのか」という問題をこれほど真正面から捉えた作品は西洋の映画では初めてではないか。素晴らしいのは、時代背景としての日本の風俗や風景の正確さで、日本人が作った時代劇の9割まではここまでのレベルに達していない。そもそもフィクションだからという言い訳で、真面目な時代考証をしていないのがほとんどだ。
俳優たちの演技も(イッセー尾形の臭い演技を除いては)素晴らしいもので、脇役に至るまでほとんど非の打ちようが無い。イッセー尾形の演技は他の役者たちと違いすぎるので、これは彼のアドリブ演技にスコセッシが遠慮して注意しなかったのだと思う。
まだ見たことが無い人には一見をお勧めする。
なお、ご存知のとおり、原作者である遠藤周作は本人もカトリック教徒であり、キリスト教徒が、キリスト教の根底を揺るがすような問題をここまで深く追及した作品を書いたのが凄いと思う。








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酔生夢人
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自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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