しかし、この受験生も、まさか国語での定規使用が不正行為だとは知らなかっただろう。規則に書いてあるのは、数学での定規使用を想定してのものだろうから、いわば、これは法律制定時の精神や意図をまったく考慮せずに、些細な違反で人を死刑にするようなものではないか。
大学入試センター試験は20日、2日間の日程が終わり、全国でカンニングなど4件の不正行為があったことが発表された。
20日の理科の試験では、宮城県の受験生がスマートフォンで用語検索をし、三重県では受験生がスマートフォンを電卓として使っていたという。
また、東京都では受験生が国語の試験で許可されていない定規を使っていたほか、試験が終わっているのにマークシートへの記入をやめない受験生がいた。これら4人の受験生は、受験した全科目が無効となった。
このニュースが報道されると、ネットでは特に「国語での定規使用」について、「定規当てて読んだから不正ておかしいやろ」「気の毒だけど禁止されている事をしてしまったのだから全科目無効は仕方ないと思う」などと、注目を集めている。
なぜ国語での定規使用が不正行為になるのか。独立行政法人大学入試センターの担当者に聞いた。
センター試験に臨む受験生 全試験において、定規などの補助用具の使用は不正行為
――具体的にはどんな状況だった?
東京の会場で、国語の試験において問題文に定規を当てて読んでいました。複数の監督者でこの行為を確認したことから、不正行為と認定しました。
――なぜ国語で定規を使うと不正行為となるのか?
全試験において、定規などの補助用具の使用は不正行為としています。なお、不正行為の具体的な内容は「受験上の注意」に記載しています。「受験上の注意」は、出願の際の受験案内に記載しているほか、HPへの掲載、受験者に受験票と一緒に送付して、確認していただいております。
「受験上の注意」には不正行為の具体例が並ぶ(画像:独立行政法人大学入試センター) 定規使用は、さまざまな科目で例年見られる不正行為
――定規を使える場合もあるとか?
識字障害など何らかの理由で定規が必要な方には、配慮として認める場合はあります。ただし、事前に「受験上の配慮申請書」とともに「医師の診断書」の提出が必要となります。
――今回ネットで話題になったが、過去にもある不正行為なの?
はい、さまざまな科目で、例年見られる不正行為のひとつです。
――来年、見直されることは?
例年確認されている不正行為であり、今すぐに見直すということはございません。
今回の定規もそうだが、「受験上の注意」に記されている不正行為は、警告や注意などはなくいわゆる一発アウトだという。
大学入試の本番は、2次試験などこれからだ。センター試験が良かった受験生も今一度、注意事項をしっかり読んで、これからの試験に臨んでほしい。