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夏は発見されるのを待っている

前に書き写した佐野洋子の文章の中で認知症の母親が言う

「夏は発見されるのを待ってるの」(正確には「夏は、発見されるのを待つだけなの」)

という言葉は、唐突であるだけに非常に印象に残るのだが、認知症の人間の内部の思考というのはどう動くのだろうか。突然にこのように、詩のような、哲学のような言葉が出てきたのが、あの場面全体を感銘深いものにしている。
「夏」というのは、人名などではなく、季節の夏だと思うが、それが「発見されるのを待っている」と擬人化されると童話のようでもある。そして、「ああ、夏というのは発見されるまでは気付かれないのだ」と思う。これはもちろん、夏だけには限らない。それが好きな人や敏感な人に発見されるまではたいていのものは気付かれない。
昔から「見れども見ず」というのはそういうことだ。これを「見れども見えず」と言うと少しニュアンスが違い、能力の問題になるが、「見ず」というのは「最初から見る意思がない」ということである。私自身、「見れども見ず」の人間であるだけに、「夏は発見されるのを待ってるの」という言葉に心を打たれたのだろう。

「夏は、発見されるのを待つだけなの」

という、原文のニュアンスは、「発見されていない」夏の孤独感や無力感や悲哀もある。そこに、病院のベッドにずっと置かれて、たいていの人からは「人間ではない何か」のように思われている認知症患者の孤独を感じるのは穿ちすぎだろうか。

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「権力」とは何か

「権力」とは何か

私は「権力」という漠然とした概念に昔からモヤモヤしたものを感じていたのだが、先ほど、その定義に一番いいのではないか、という言葉を思い付いた。
それは「権力とは操作能力である」ということだ。
たとえば、あなたがパソコンをまったく使えない状態から、使えるようになった場合、あなたは「パソコンを使える操作能力を持った」わけだが、それは広い意味でのあなたの力(能力)が拡大したということであり、それが「権力」なのである。つまり、あなたはパソコンに対して「権力」を持ったのである。言い換えれば、「何かを操作することで自分の力が拡大される」ことが権力だ、ということである。これを社会的文脈で言えば、「他人や組織を操作することで自分の力を拡大する能力」が権力だ、ということであり、これはまさに現実に使われている「権力」の内容とまったく同一だろう。

妻に頭の上がらないダメオヤジが、家の中で妻に使役されているなら、その家庭の権力者が妻であることは言うまでもない。また、国家権力者がキチガイやエゴイストだと国が破壊されるのも言うまでもない。これは、社会的文脈での「権力」は、「操作能力」ではなく権力者の二代目三代目であることで付与されることのある「操作資格」でしかないからである。つまり、操作者という地位が、まったくの無能者や不適格者に与えられることも社会的には無数にある、ということで、「権力とは操作能力である」という定義も怪しくなってくるが、「権力とは操作能力、あるいは操作資格である」と少し長い定義にしておこう。








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天国はどこにある?

紙の本から直接コピーできればいいが、そうもいかないので、自分でワープロ打ちして転載する。
佐野洋子という、イラストレーターで作家(だと思う)だった人の随筆集の或る一節だが、この部分だけでも見事な「ピエタ像(聖母子像)」になっていると思う。或る種の神々しい光をこの母娘の姿に私は感じる。私は読んだことがないが、佐野氏は「百万回生きた猫」というベストセラー童話の作者であり、この時には癌で余命一年か二年くらいだったのではないか。


(以下「役に立たない日々」から引用)


お昼すぎに母のところに行った。丸坊主に帽子をかぶって行った。母はぼーっと寝ていた。もう私かどうかわからないらしい。私も疲れていたので、母の寝床にもぐり込んだ。母は私の坊主頭をぐりぐりなでて「ここに男の子か女の子かわかんないのが居るわ」と云った。
「あんたの旦那は佐野利一でしょ」
「もうずっと、何にもしていない」何にもって何だ。もしかしていやらしい事なのか、でもぼーっとしている何だか透明になっちまった母さんはいやらしい事なんかいくら云ってもいやらしくないみたい。
私が大声で笑ったら、母さんも声を出して笑った。
「母さん、もてた?」
「まあ、まあでした」そうかね。
「私、美人?」
「あんたは、それが充分です」
又大声で笑ってしまった。
母さんも一緒に笑った。
突然、母がぼんやり云った。
「夏はね、発見されるのを待つだけなの」
私はしーんとしてしまった。
「母さん、私しゃ疲れてしまったよ。母さんも九十年生きたら疲れたよね。天国に行きたいね。一緒に行こうか。どこにあるんだろうね。天国は」
「あら、わりとそのへんにあるらしいわよ」








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退却ではなく「転進」である!

あらゆるところで、日本軍の対外戦争の歴史をたどっているwww


浅利与一義遠
@hologon15
最初、日本陸軍と読んで、納得してしまった。

>東京マラソン「大規模イベントに当たらない」 日本陸連、予定通り開催

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「遊び」のないハンドルは事故のもと

私が前に書いた「マグカップに六分目」主義とは、こういう事態にならないため、である。個人生活も組織も国家も同じ。自動車のハンドルの「遊び」も同じ。


(以下引用)
愛国心の足りないなまけ者
@tacowasabi0141
共働き家庭がトレンドに上がってるが、そちらはもうみんながいい尽くした感があるからまかせるとして
今は学校すら非正規な職員が多いから休みが増えるとダイレクトに生活が困る人が結構いるだろうな。
今の日本って社会の末端はほぼ全てギリギリで回されてるから何かあると一発でパンクするのよね。

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治癒したはずが治癒していない問題

まあ、ほとんどどの発言でもポジショントークというものもあるから、参考程度に聞けばいい内容だとは思うが、有益な部分もあるのではないか。

一般的に、感染症は一度感染すると免疫ができますので同じ感染症には感染することはありません。

というのは、私もたぶんそうだと思っていたが、「感染症」すべてに言えるのかどうかあいまいだった。確認できたのはいいが、ただし、下の記事で言われていない部分もあるような気がする。井口博士の言うRNA型ウィルスの問題である。


(以下引用)



なぜ治癒後に新型コロナウイルスが再度陽性になったのか?


(写真:アフロ)



2月26日に大阪府は新型コロナウイルスに感染し退院していたツアーガイドの女性について、再び新型コロナウイルスが陽性反応が出たと発表しました。


新型コロナ「ウイルス再燃した」可能性…“再び陽性”の大阪市のツアーガイド女性


一般的に、感染症は一度感染すると免疫ができますので同じ感染症には感染することはありません。


例えば、麻しん(はしか)に感染した人は、生涯に渡って麻しんになることは稀であり、あったとしても軽症になります。


今回、新型コロナウイルス感染症の患者さんが回復後に再度ウイルスが検出されたというのはどういった原因が考えられるのでしょうか?

仮説1:退院時に採取した検体が偽陰性だった

私も新型コロナウイルス感染症の患者さんを10例以上診療していますが、患者さんの一部では回復してすっかりお元気になった後でもPCR検査で新型コロナウイルスが検出されることがあります。


すでに咳や痰などの症状は改善しており、他の人に感染する可能性はかなり低いと考えられますが、新型コロナウイルスは性質として症状が良くなったあともしばらくの間はウイルスがノドや肺などで残留することが分かっています。


退院基準としてノドを拭ってPCR検査が行われることが多いですが(症状が改善し痰が出ないため)、痰に比べてノドはウイルス量が少ないので、ウイルスがいたとしてもPCR検査では検出できないくらいのウイルス量では「陰性」と判定されることがあります。


これを偽陰性(本当はウイルスがいるのに検査で陰性と出た)と呼びます。


今回の事例は退院時には陰性であったとしても、体内にはまだウイルスが残っており、今回別の感染症などによって風邪症状が出て、新型コロナウイルスの検査をしてみたら陽性になった、ということかもしれません。

仮説2:一度罹っても再度ぶり返すこと(再燃)がある

比較的稀な現象ですが、例えばエボラ出血熱では一度良くなった患者さんが再び症状がぶり返した事例が報告されています(Lancet. 2016 Jul 30;388(10043):498-503.)。


これは再感染(また別のヒトからウイルスに感染すること)とは異なり、再燃(自分の中に残っていたウイルスが再び増殖する)と呼びます。


新型コロナウイルス感染症に対するヒトの免疫反応についてはまだ分かっていない部分が多いですが、エボラ出血熱のように一部の症例では回復後に再び症状が出現する再燃の可能性があるのかもしれません。


ただし、仮にそうであったとしてもこうした事例は稀と考えられますので、新型コロナウイルス感染症に罹った後に回復した患者さんは、通常の手洗い・咳エチケットを行っていれば他のヒトにうつすことを心配する必要はないでしょう。


新型コロナウイルスに罹った患者さんへの不当な偏見は厳に慎みましょう。

仮説3:一度良くなったが再感染した

感染症の種類によっては、一度罹ってももう一度感染することがあります。


例えば、梅毒という感染症は一度罹っても何度も感染します。


仮説としては今回の患者さんは新型コロナウイルスに一度感染した後に、また別の機会としてヒトから新型コロナウイルスに感染した可能性がなくはないかもしれません。


しかし、現時点で報告されている国内での患者さんの数を考えれば、この可能性はほぼ無視して良いほど低いと考えて良いでしょう。

退院した後も特別な感染対策は必要ありませんが、以下の点に注意しましょう

現在、新型コロナウイルス感染症と診断されて退院した患者さんは2回のPCR検査で陰性と確認されています。


1人の患者さんから再度新型コロナウイルスが検出されたからと言えども、ほとんどの患者さんは治癒していると考えて良いと考えます。


退院後は特別な感染対策は必要ありませんが、今回の事例を鑑みて、退院後4週間程度は以下のことに注意しましょう。


●一般的な衛生対策を徹底しましょう。


・石けんやアルコール消毒液を用いて手洗いをしてください。


・咳エチケット(マスクやティッシュ・ハンカチ、袖、肘の内側などを使って口や鼻をおさえる、マスクの着用等)を守ってください。


●健康状態を毎日チェックしましょう。


・不要不急の外出を控えるとともに、外出時にはマスクを着用しましょう。


・毎日、発熱や咳などの症状の有無を確認しましょう。


・発熱や咳などの症状があればすぐに医療機関を受診しましょう。





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咳と孤立の因果関係

ツィッターのコピーができないので、記憶で引用するが、鯨統一郎という人が例の有名非定型俳句(自由律俳句)の「咳をしてもひとり」(山頭火だったか?)をもじって

「咳をしたからひとり」

と書いていて、こういうパロディは好きだし、時流にぴったりなので紹介しておく。

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プロフィール

HN:
酔生夢人
性別:
男性
職業:
仙人
趣味:
考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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