言うまでもないが、私も安倍は「殺されて当然」だと思っている。あの死に方ではその罪悪に対して「天罰にしても刑が軽すぎる」とすら思っている。
(以下引用)
気の赴くままにつれづれと。
電子顕微鏡が発明されて、ウイルスを見ることができるようになりました。ウイルスの中でもとりわけカッコイイのが「バクテリオファージ」です。バクテリオは細菌(バクテリア)のこと、ファージは食べるという意味です。バクテリオファージは細菌に感染して増殖するウイルスの総称です。
バクテリオファージにもいろいろな種類がありますが、有名なのはT4ファージです。T4ファージの構造は頭部と尾部に分かれていて、頭部は正二十面体の形をしており、中にはDNAが入っています。尾部は中空の「さや」と、6本の足(のようなもの)からできています。月着陸船に似て機械のように見えますが、実際にファージは自分を複製するナノマシンそのものです。
ファージは「足」で細菌の表面にとりつくと、中空のさやを通じて細菌の中にDNAを注入します。細菌がもともと持っている酵素が、ファージのDNAを複製し、また、ファージのDNAがコードしているたんぱく質を合成します。細菌の中で十分な数の娘ファージができあがると、細菌は溶けて壊れ、大量の娘ファージがばらまかれます。細菌は細胞分裂によって増えるので1個→2個→4個→8個と倍々に増えますが、ファージに限らずウイルスはこうして一気に増えます。
高校の生物学の教科書にも載っている、ファージを使った有名な実験があります。いまでこそ遺伝子の本体はDNA(またはRNA)であることが知られていますが、当時は遺伝子の正体が、DNAなのかそれともたんぱく質なのか、議論がありました。DNAが遺伝物質であることを示唆する証拠があったものの、DNAは単純すぎて遺伝情報を伝えられるのか疑問視されていたのです。DNAよりもたんぱく質のほうがずっと複雑であり、遺伝子の正体としてふさわしいと考える学者も多くいました。
米国の生物学者、ハーシーとチェイスは、ファージのDNAとたんぱく質にそれぞれ放射性物質で目印をつけ、細菌の中に入るのはDNAだけで、たんぱく質はほぼ入らないことを示しました。つまり、遺伝物質はたんぱく質ではなくDNAであることを強く示唆します。ハーシーとチェイスの実験が発表されたのは1952年のことです。ちなみに、DNAの構造は二重らせんであるとクリックとワトソンが報告したのが、その翌年、1953年です。
以降、分子生物学は飛躍的に発展します。二重らせんがほどけてそれぞれの鎖でDNAが合成されることも発見されました。新型コロナウイルスの流行以降、よく耳にするPCR法は、そのDNA合成の原理を応用したものです。細菌に感染するウイルスなんて調べて何の役に立つのか、と思っていた人もいたかもしれませんが、結果的には大きな成果をもたらしました。バクテリオファージはカッコいいだけでなく、基礎研究が大事であることを思い出させてくれます。
《酒井健司さんの連載が本になりました》これまでの連載から80回分を収録「医心電信―よりよい医師患者関係のために」(医学と看護社、2138円)。https://goo.gl/WkBx2i
<アピタル:内科医・酒井健司の医心電信>http://www.asahi.com/apital/healthguide/sakai/(酒井健司)
外部リンク
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