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「自由な魂」の孤独

私はテレビを見ないので、世間のゴールデンタイム、つまりテレビ視聴の一番多い7時から12時くらいの間は就眠時間だが、そうすると、真夜中に目覚めて、トイレに行った後、やることはベッドに戻って布団か毛布の中で本を読むことくらいだ。老眼だのに、寝転んでいると眼鏡がかけられないので、少し無理して読むような読書になる。少し読んで、目が疲れると、そこでだいたい読書は終わりだ。つまり、断片的読書である。
先ほどまで読んでいたのはトルーマン・カポーティの「ティファニーで朝食を」で、村上春樹の訳だが、部分部分を拾い読みするだけで、まだ通して読んではいない。そういう読み方に向いた本だと思う。つまり、詩の本のようなものだ。
そうしていると、幾つも浮遊思考が浮かんでは消えていくので、そこが面白い。
先ほどまでの読書の間も幾つも想念が浮かんできたが、その一部を書く。

まず、一番最後に考えた、「ブラウンストーン」とは何か、という問題だ。これは、昔英語の原書の冒頭部分(そこだけしか読んでいない)を読んだ時にも疑問に思ったことだが、村上春樹はそれを訳さないまま「ブラウンストーン」と書いている。まあズルいといえばズルいやり方である。彼は、日本語に訳すと原意が見失われそうな場合や訳すのが困難な場合はカタカナ英語をそのまま使う性質というか、翻訳方針があるようだ。
たとえば、野崎孝の名訳がある「ライ麦畑で捕まえて」の題名を、英語原題「Catcher in the rye」をカタカナ書きしただけの「キャッチャー・イン・ザ・ライ」としている。確かに、英語原題は日本語に訳すのが非常に難しい。野崎訳はある意味誤訳であるが、意図的な意訳で苦心の作だろう。実際、その題名だからこそ世間によく知られることになったと思う。村上訳は、訳してすらいない。逃げであると私は思うが、まあ、かえってそれで原作に興味を持って自分で調べる若者が出るかもしれない。
「ブラウンストーン」も同じであり、なぜ中学生でも「茶色の石」と訳せる(実はそうすると誤訳になる。「brown stone」ではなく「brownstone」と書かれているのである。)英語をカタカナ英語にしたのかといえば、これは「茶色の石」という漠然とした、広範囲な意味ではなく、「建築材料として特に多用されている褐色砂岩」であるからだ。しかし、こんな長々しい訳はできないし、「褐色砂岩」と書いても、そのニュアンスは伝わらないという判断だろう。

話が長くなったので、「ティファニーで朝食を」の中の詩的な部分(すべてがそうなのだが)をひとつ紹介して終わりにする。「ドク」は、テキサスかどこかのど田舎の浮浪児(泥棒常習犯らしい)だったホリーをその兄(映画では弟)と一緒に拾って、14歳の彼女を一時期妻(愛人)としていた人間で、家出した彼女に未練を持ち、彼女を探しにニューヨークまで出てきていた初老の田舎者(獣医師)である。ホリーとは再会した後、円満に別れたようだ。


ホリーはマティーニのグラスを上げた。「ドクにも幸運を祈りましょう」と彼女は言って、僕のグラスに彼女のグラスを合わせた。「幸運を祈るわ。そしてね、ドク、ひとこと言わせて。空を見上げている方が、空の上で暮らすよりはずっといいのよ。空なんてただからっぽで、だだっ広いだけ。そこは雷鳴がとどろき、ものごとが消え失せていく場所なの」















まあ、常識だが、宝飾店のティファニー(正しくは「Tiffany’s」)で朝食を食うことはできない。そこで、映画の中では、ティファニーのショーウィンドウを見ながらヘップバーンがベーグルか何かを食っている。しかし、「ティファニーで朝食を(ティファニーでの朝食)」という作品タイトルも実に洒落ている。カポーティは若いころは天才だったと思う。詩想に溢れている。

ティファニーとは、貧乏人が憧れる夢の世界だが、そこは虚飾の王国でもあり、そこで朝食を食う(生きる)ことは、人間が空の上で暮らすようなものだろう。つまり、この題名は不可能性の象徴だ。もちろん、地上で生きることに嫌悪を感じる鳥のような魂もある。だが、その自由にも孤独という代償がある。



The movie "Breakfast at Tiffany's", directed by Blake Edwards and based on the novel by Truman Capote. Seen here, Audrey Hepburn as Holly Golightly...
















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私の「黎明への挨拶」

朝のというか、夜明け前の散歩をしていると、時々「黎明への挨拶」という言葉とその詩句を(半端な形でだが)思い出す。私が覚えているのは後半の一部だけだが、そこだけ赤字にしておく。
引用した詩句は、某ブログから借用したものだが、前半にある「君の存在の心理」は、不自然な気がする。まあ、「心理」ではなく「想念」と訳すれば、それはそれでいい詩句である。想念こそが人間の本当の人生だ、というのが私の哲学だ。
(この詩は前にも紹介した気がするが、今ではそれが日本で知られるきっかけとなったD・カーネギーの本の「生活哲学」「通俗道徳」は、あまり流行らないだろうから、紹介する意義はあるだろう。ただし、私は、彼が自著で引用したカーリダーサの詩句の一部にも見られる彼の「成功哲学」自体は、人によって向き不向きがあると思うし、社会的に成功することが人生の目的だともまったく思わない。一生を平凡で無名の農民や漁民として生きても、素晴らしい人生はある。大統領になっても、スターになっても、愚劣そのものどころか、社会の害悪になる生き方しかしていない者もいる。)

 「黎明へのあいさつ」

今日という日に目を向けよう!
これこそ生命、生命のなかの生命なのだ。
その短い行路の中には
君の存在の心理と現実とがすべて含まれる。
   生まれ育つ喜び
   行動の栄光
   成功の光彩


昨日は夢にすぎず

明日は幻でしかない
精一杯に生きた今日は
すべての昨日を幸せな夢に変え
すべての明日を希望の幻と化す
だから目を開こう、今日に向かって!
黎明へのあいさつはこれだ。

<カーリダーサ/インドの劇作家>

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親のほうにこそ「教育」が必要

該当女性の顔写真は不快感を持つ人もいるだろうが、べつにブスだとか言うのではなく、アップした顔のアングルが不快だろうというだけだ。こういう顔が寝起きの目の前に出現したら、驚くww 母親の皆さんはご注意。
まあ、子供が可哀そう、というのが私の感想だ。人それぞれの個性に合った生き方がある。子供自身はそれが判断できないから、親が「暴力的な教育環境」を強いることが多いわけである。

ジャガー横田「息子に1000万もの塾代を使ったのに10校中9校が不合格になった…」


転載元: https://nova.5ch.net/test/read.cgi/livegalileo/1705158412/


uUzvQ3lML_bkIqyakc1vFhNrRI0RUQxg5aFkrX0xDg1_T0wXrbEJjtNGtrf1

1: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:06:52.00 ID:yLwD70Tv0
ジャガーさん:偏差値では入学できると思っていた学校に落ちるなど波乱もあり、受験の難しさを改めて感じました。受験した10校のうち9校に落ちてしまい、最終的に長野県の高校に合格しました。

3: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:08:02.91 ID:yLwD70Tv0
── 高校受験でトータル1000万円近くかかったそうですね。

ジャガーさん:でも受験を通して信頼できる先生に出会うことができました。学習面だけでなくメンタル面でも通じ合う先生と一緒に勉強できたことは大きかったです。後悔はありません。

5: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:08:21.69 ID:yLwD70Tv0

6: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:08:45.22 ID:6o+gsuKz0
いや高校受験かい

7: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:09:22.23 ID:eqrkuyjw0
長野が地元なんか

8: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:09:26.22 ID:cWN8Pn7u0
佐久長聖とか?

12: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:13:09.15 ID:aU3Z8Fm+0
医学部に入れたくて仕方ないんだな
まあ、金あれば法政は入れる程度の学力あれば私立の医学部には入れるし、入ってしまえば後は楽勝だろ

13: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:13:25.84 ID:CkFcgO7r0
トップクラスでも家庭教師とネームド塾の夏期講習とか詰め込んでも年100万行ったらやべーと思うけど

15: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:14:01.11 ID:N4cSMwLo0
1校受けんのに50万くらいかかんの?
医学部でも受けてんのか?

21: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:16:14.08 ID:13QOS6Al0
長野って公立が大正義やないの

22: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:16:34.54 ID:D37nRevFd
真面目にやってるならまあ応援する気持ちもわくけどさぁ…

25: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:17:47.25 ID:CkFcgO7r0
大学でもアレやけど高校やろ?相場で考えても意味不明やで

26: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:18:29.25 ID:pdEm5bj9a
旦那も大概やべーしジャガー一人のせいにするのは可哀想

29: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:19:54.66 ID:ul3f7iG30
医者なるやろへーきへーき

30: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:20:14.21 ID:KMylN7dC0
工面できるなら良いじゃん
プライベートな事なんだしあんま公にしてやったら可哀想やで

34: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:21:03.62 ID:9DagCCu20
>>30
こうやって話題作って飯食ってるところもあるしなあ

41: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:24:53.71 ID:KMylN7dC0
>>34
テレビ出てる?

32: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:20:22.98 ID:+aLQ0hSU0
もはや遠回しの自慢じゃないの

36: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:22:03.64 ID:zud1cXTj0
親が出た大学に寄付して席確保とかあるやん

40: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:24:36.40 ID:9IRcltCN0
大学受験のときはとんでもない金額使ってそうやな

42: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:24:56.40 ID:dJKgbw3YM
実家が東京なのに長野のみとか草

44: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:25:02.82 ID:5O114HJY0
結局環境よりも受け継いだ才能かぁ
とはいえ低学歴貧乏家庭からの高学歴もいるしなんだか

56: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:28:49.51 ID:CMrlWnlI0
開業医の孫がハードル下げに下げた中受失敗して公立中でも落ちこぼれ、なんてサンプル見たことあるから
親がそれなりでも子ガチャミスることはあるし逆も然り

66: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:30:34.48 ID:73oij0AU0
>>56
というか歴史のある医者一族ほど
意味わからんほどの落ちこぼれおると思うで
うちもおったわ

57: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:29:05.69 ID:rBi46UHk0
大学受験には1億かけるんか?

59: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:29:12.31 ID:5NxanobW0
なんでその子なりの人生を歩ませてあげないんや?

72: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:32:13.63 ID:qGiG/6Lq0
45歳で出産した子やし旦那も38で難産やったらしいからな

76: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:33:18.42 ID:LGcMfTYV0
やる気の問題と塾次第
子供にあった塾じゃないと

78: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:34:20.79 ID:bi9mYFgJa
つか海外に行ってたんよなジャガー息子

87: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:39:45.12 ID:/EZsvvwy0
こういうのを喋っちゃうからじゃない?

89: それでも動く名無し 2024/01/14(日) 00:41:12.49 ID:nO6M2AcSa
逆だわな
こんな子供でも親が大金かけて必死に世話してくれりゃ脱落せずに済む

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バルセロナの風が語る言葉

「スペインのむかし話」という児童書から転載。真実と虚偽についての(あるいは社会というものについての)比喩として卓抜だと思う。

 「真実の鳥は、この城のおくの鳥小屋にいる。鳥小屋にいくと、うつくしい色にきかざった鳥たちがじぶんこそ真実だと、いっせいにさけぶだろう。でも、そんな鳥は、一わだって、とらえてはいけないよ。白い小鳥をとらえることだ。この小鳥は、すみっこにおしやられて、ほかの鳥たちから、いつもいじめられているんだ。死ぬようなことはないがね。かわいそうに、死ぬことさえできない鳥だからさ……」

「バルセロナの風」は、とあるギター曲で、私はジャズギター奏者ウェス・モンゴメリーのレコードで知ったが、そのアルバムの中で一番好きな曲である。(ユーチューブで聞けるかもしれない)この昔話がバルセロナの民話らしいので、記事タイトルの一部に借用した。引用した話の中では風が語るのではなく、ミミズクが語る。「ミネルヴァの梟は(やっと)夕暮れに飛び立つ」ように、梟は叡知の象徴だろう。その出現は遅く、その姿は夕闇の中に隠れている。

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「日本の未来」についての漱石の慧眼

夏目漱石「三四郎」より抜粋。「髭男」は三四郎の先輩の野々宮の高等学校時代の教師の「広田」であることが後に分かる。
「三四郎」は、青春の朦朧感(五里霧中という感じ。ある意味、サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」にも通じる。)というのが一番見事に描かれた小説だと思う。一読目より二読め、三読めと、読むほどに(たとえば野々宮の我儘無邪気な妹や理系人間の野々宮自身など)キャラの可愛さや細部の意味を理解できるようになり、面白く感じるようだ。

(以下引用)

すると例の髭男は、
「お互は憐れだなあ」と云い出した。「こんな顔をしてこんなに弱っていては、いくら日露戦争に勝って、一等国になっても駄目ですね。」(中略)

然しこれからは日本も段々発展するでしょう」と(三四郎は)弁護した。すると、かの男は、すましたもので、
亡びるね」と云った。

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風と雲と虹

別ブログに書いた記事だが、「風雅」に関する部分もあるので、こちらにも載せておく。ちなみに、空や雲についての考察は別にもあるが、それは別に書く予定だ。

(以下引用)

居住最適地としての沖縄



「東海アマ」記事で、「生活の知恵」的な部分があるので、このブログに転載する。地球温暖化についての主観的意見は無視していい。私は「温暖化」自体が嘘で、地球は寒冷化に向かっているという考えだ。もちろん、アマ氏が言うように、「(温暖化があるなら)その主原因は世界の原発排水である」という考えも蓋然性は高いが、世界的に言われている、温暖化の原因としての二酸化炭素犯人説は愚説も愚説であり、原因と結果が逆である。これもアマ氏が言うように、原発排水による海水温上昇の結果としての、海面からの二酸化炭素排出というのが正解だろう。
アマ氏は「温暖化対策」としての高地移住を勧めているが、下のような状況であり、気の毒ではあるが、正直お笑いである。
九州ですら冬期の凍結禍がある以上、これからの居住最適地は(地元びいきも含めて言うが)沖縄以外にない。まあ、ロクな(高給の)仕事が無いので、年金生活者や芸術家などにお勧めだ。素晴らしい自然の風景と、冬でも凍死しない気候は、数百万円の所得格差に相当する価値がある。夏は夏で、窓を開けて風を入れれば別にクーラーの必要もない。(沖縄は海風があるので完全に無風の日のほうが稀だ。そして沿岸性気候だから夏でもさほど高温にならない。夏に高温になるのはアスファルト効果の都市部と、周囲を山に囲まれ、炉の中に住むのと同じ、盆地である。)ただし、クーラーが無いとデスクワークや勉強には不向きである。
沖縄の田舎には居住放棄家屋が多いので、安価で購入し、リフォームすれば隠居後の住宅として最適である。田舎で晴耕雨読の生活を楽しめばいいし、体が悪ければ家の中でゲーム三昧、映画鑑賞三昧、読書三昧の老後を送ればいい。毎日、大空を眺めて、雲や太陽や月や星や虹が見られるのは、都会の住人には得られない贅沢である。
私は毎日のように散歩するが、昨日は夜明け直後に「二重の虹」を見た。これまでの人生では虹をじっくり眺めたこと自体、ほとんど無かったのである。で、実質的には虹は七色ではなく、青、黄色、赤の三色であることも確認した。その色帯の中間にある色は、ほとんど判別できないわけだ。世界的には虹は三色だという認識らしい。日本人の中で、自分の感覚は鋭敏だと自慢する詐欺師連中が「虹の七色」という嘘を広めたのだろう。

(以下引用)



 今朝は驚かされた。突然、凍結が始まったのだ。
 中津川市では、例年、12月に入ったなら車はスタッドレスタイヤに交換するのが普通だ。朝晩、氷点下の気温が普通になるからだ。
 我が家では、12月になると、シンクや風呂など水道管末端ではポタポタ出し作戦、離れのトイレは、夜間石油ランプをつけて保温するのだが、11月14日の未明にトイレに入ったら水がスムーズに流れない。凍結していたのだ。

 慌てて温度を調べるとマイナス2度だった。恵那市街でさえマイナス1度になっている。昨夜の予報ではプラス2度だったので、まだまだ保温対策は必要ないと油断していた。
 普通はマイナス4度くらいから凍結がはじまるのだが、風が吹いているときは、零度でも凍結が起きることがある。
 中津川市のような山間部では、おおむねマイナス7度くらいまで下がるが、年に数日、マイナス10度以下に冷える。こんなときは、水道管が破裂しないことを祈りながら寝るしかない。

 水道管が破裂するときは、まるで小さな爆弾が破裂したかのようで、未明に「ボン!」という爆発音が聞こえる。布団のなかで「やっちまった」と思うが出て行く気にはなれない。
 翌朝見ると、塩ビ水道管の鋭い破片が周辺に散らばっていたり、良くて、バルブや管に亀裂が入り、接着剤接合部がすっぽ抜けていたりするが、まだ他の部分が凍結しているので水は出ない。
 昼頃までに凍結が溶けて、破損箇所から水が噴き出すようになる。その前に修理しなければならない。

 鉄管なら破裂しないかというと、同じように破裂する。だから、修理のしやすさも考えて、高価な鉄管水道管は使わず、一番安価な塩ビ管を使っている。
 修理は依頼すると目玉が飛び出るので、自分でやらねばならない。バルブやジョイントなどの部品はいくつも用意してある。

 幸い塩ビ管の切り貼りは、のこぎりと接着剤でできるので、それほど難しくないが、水抜きしたとき、管内に滞留水が残らないように設計するのは結構難しい。それに、容易に修理できるように触れない死角を作らないように組み立てる必要がある。
 滞留水が凍結して、破裂の原因になるため、水抜栓で完全に抜けるように、傾斜を工夫しなければならない。

 無茶苦茶寒いとき(マイナス10度以下)は、完全水抜き(井戸ポンプの電源は入れたまま)をして、トイレもバケツに貯めた水を使うが、普通の寒さなら、チョロだしと保温でなんとかなる。
 しかし、ポタポタでは、そのままの姿で凍結して氷柱ができて凍結するので、流水を増やして、ちょろちょろに変えなければならない。
 我が家は井戸水なので13度と暖かいから、ほとんどポタポタですむが、自治体水道は流路で3度くらいまで冷えているので、多めにチョロ出しする必要がある。

 市販の水道管保温材料(ウレタン)が役立つのはマイナス4度までで、それ以下では役に立たない、保温材を巻いたまま凍結するのだ。むしろ、冷風対策として考えた方がいい。
 テープヒーターは有効だが、電気代が相当にかかるので、田舎では使わない人が多い。チョロだしの方が安く上がるのだ。
 離れのトイレの場合は、床に置いた7分芯の石油ランタンが有効である。一晩で1リットルは使わないし、トイレがほのかに暖まって都合が良い。
 https://item.rakuten.co.jp/vastland/vl0248-1/?iasid=07rpp_10095___e0-loxmgqkc-8g-f8aed708-7ea0-40d9-8071-fe1d38edb5e1

 これらは、日本列島内陸や東北北海道では、常識的な風景だが、都会の人は、厳冬期の凍結に対する認識が甘い人が多い。
 田舎暮らしの冬は、凍結との戦争が毎日続くのだ。名古屋あたりから中津川に移住してきた人は、最初の冬で、凍結知識のなさから大きなダメージを受けるのである。

 今朝、畑に出てみたら、霜が降りて、馬鈴薯の葉が黒く変色しはじめていた。夕方までに、馬鈴薯は相当に傷むだろう。
 こんなときはU字支柱を立てて寒冷紗を貼るしかないが、肺線維症末期の私には苦しい作業だ。もう少し大丈夫と甘いことを考えていた私も、ダメージを受けた。

 こんなことを書こうと思ったのは、気象庁が長期予報で暖冬を公表しているにもかかわらず、現在、2030年から17世紀のマウンダー極小期が再来し、小氷期になると予測する気象学者が増えているからで、すでに寒冷化が徐々に始まっているという。

 2030年から始まる小氷期問題 2022年09月01日
 http://hirukawamura.livedoor.blog/archives/5962568.html

 気象庁の長期予報は当たらないのが普通になっている。今年も、暖冬予報でありながら、厳冬が来る可能性が高くなっている。
 というより、驚異的な暖冬と厳冬が交互にやってくるのだ。温暖化だから寒冷化と相殺できるなどと都合のよいものではない。両方ともやってくる。
 11月に九州で30度を記録したかと思えば、北海道では、中標津ですでにマイナス10度を記録している。この分では2016年のような極寒が必ずやってくる。
 夏場の気温が40度で、冬場の気温がマイナス10度以下という世界になるのである。

 今年、2016年に起きたような、大寒波が襲来する可能性が小さくない。今朝の予想外の凍結を見て、今冬の意表を突くような大寒波を私は予感した。

 2016年、何が起きたのか?
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E6%88%9028%E5%B9%B4%E3%81%AE%E5%A4%A7%E9%9B%AA

 https://www.youtube.com/watch?v=PsgsT6jd_BY&ab_channel=%E7%A6%8F%E5%B2%A1%E3%83%BB%E4%BD%90%E8%B3%80KBCNEWS

 温暖な九州地方が、私の住む中津川のような寒冷化に見舞われた。
 例年、厳冬期の凍結など経験したことのない地域で、マイナス7度という寒さがやってきたので、ほとんどの家で水道管が凍結を起こし、修理の経験もない人々は、なすすべがなかった。
 あまりにも凍結破裂が多すぎて、地域の水道屋では手が回らなかった。また、ほとんど恒久的な鉄管仕様なので、修理したくとも道具もなかった。
 漏水していても、元栓の止め方も知らない人が多かった。

 これが、鉄管でなく修理の容易な塩ビ管だったなら、もっと手早く復旧できただろう。
 また、寒冷地では必ず作ってある、元栓を止めて水を抜く、専用の水抜き栓もない家が多かった。
 マイナス10度以下だと、もう普通の保温は通用しない。必ず元栓を止めて、家中の蛇口を解放し、水抜栓から残存水を完全に抜いておかねばならない。
 だから、今冬、元栓の位置確認と水抜き栓の新設(複数)を準備する必要がある。

 トイレの水は、風呂桶に貯めておきバケツで利用する。調理の水はポリタンクに貯めておく。寒波が去ってから元栓を開けるしかないのだ。
 北海道では、この方法が普通である。廊下に水の入ったバケツがあるのは、そのためだ。だいたい寒冷地方では、水の使用量の少ない寒冷用簡易水洗トイレが普及している。

 もしも、大都会で、これから夏は40度、冬はマイナス10度という激変気温が普通になるとすれば、何はなくとも冬場の水道管を守らなければならない。
 ウレタン保温材を巻けばなんとかなるのは、マイナス4度までだ。マイナス10度まではチョロチョロ出しと、トイレや風呂の石油ランタンやミニヒーターによる保温が必須で、可能なら元栓を閉めて水抜きする。

 2030年から地球は小氷期に入ることが確実視されていて、これから毎年、冬は寒くなる一方であると思うべきだ。もちろん、まだらのように暑い日も現れる。
 気象は、極端から極端に激しく移行を繰り返す。
 これは地球気象を極端な変動から守ってきた、熱帯雨林、自然林を皆伐して砂漠に変えた人類の罪でありカルマである。気象の緩衝作用を担ってき大森林を、新自由主義の市場原理思想により金で売り飛ばして破壊してしまえば、我々は、こういう運命を享受しなければならないのである。
 だから、大都市圏の居住者でも、これから2016年九州のような恐ろしい凍結に見舞われる可能性が増えてきている。

新自由主義思想があるかぎり、我々人類に待っているのは地獄だけだ。
 それが、どれほど恐ろしいことか、これから気象激変による被害で、我々は思い知らされることになる。

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地球の地軸の傾きも公転軌道も変化している

トイレに置いてあるアシモフの科学雑談の文庫本を読んでいると、北極星の位置が2100年から真北ではなくなる、とあり、それは地軸(の傾き)の変化のためらしい。当然、それ以前から地軸の傾きは変化しているのであるから、地球の気候変化(あるいは異常気象)の本質的原因はそれだろう。(あるいは、地球の公転軌道の変化が原因だろう。あるいは、両方が原因だろう。)
なお、太陽の寿命はあと50億年であり、当然、人類は太陽の死と共に絶滅する。H・G・ウェルズが「タイムマシン」の終わりの場面に書いた通りである。

(以下の文章の一部の「地球温暖化二酸化炭素原因説」に媚びた部分は見え消しにしておく。)

縄文時代は、東京は海の中だった

現代で問題となっている温暖化は、人類が二酸化炭素を急激に増やしたことが原因だと考えられています。一方で、自然の仕組みでも温暖化は起こります。例えば人類が産業活動を始める前、約7000年前の縄文時代も温暖でした。この頃は今よりも2〜3℃気温が高く、海の高さは今よりも3〜5メートルほど高かったと考えられています。


縄文時代の東京に目を向けてみると、両国などがある荒川周辺に広がる低い土地一帯は海に沈んでいたはずです。またそれより西側にある渋「谷」や四ツ「谷」などの谷も海になっていたと考えられます。埼玉では、東京湾から40キロメートル近くも離れている川越にまで海が迫っていました。

10万年ごとに繰り返されるサイクル

地球が誕生してから46億年の歴史をさらに長い目で見ると、地球は約10万年ごとに暖かくなったり(間氷期)寒くなったり(氷期)を繰り返してきたことが分かっています。その度に地球の海の高さは100メートル以上も変動してきたのです。その様子は、まるで呼吸をするたびに胸が上下するかのようです。


約10万年ごとに氷期と間氷期が交互に訪れるのはなぜでしょうか。いくつか原因は考えられますが、特に日射量の変化が大きな原因とされています。日射量とは太陽から地球に降り注ぐエネルギーのことで、そのエネルギー量がだいたい10万年の間に増えたり減ったりしてきたのです。
この変化は、地球が自転する軸がぶれて、太陽の周りを回る軌道が変化することで引き起こされます。このような周期的な変動を、発見した研究者のミランコビッチさんにちなんで「ミランコビッチサイクル」と呼びます。
このミランコビッチサイクルによって、日射量が増えると気温が上がり、地球上の氷が融けて海水面が上がりました。しかしそれだけではありません。一度温暖化が始まると、地球上の二酸化炭素やメタンといった「温室効果ガス」の濃度が上がり、さらに温暖化が進んだことが最近の研究で明らかになったのです。南極やグリーンランドの古い氷の中に閉じ込められた空気を分析して分かったことです。

空前絶後の温暖化?

もうひとつ最近の研究から分かったことは、どうやら現在の温暖化は、過去の温暖化とは少し違うようだということ。現在の温暖化のスピードは今までにないほど速いのです。地球の気温がどう変化してきたかを振り返ると、2万1000万年前から1万年かけて4〜7℃上がっていたのが、最近(20世紀後半)からの気温はその10倍ものスピードで上がっていることが分かりました。私たちは、地球がかつて経験したこともないような急激な温暖化の時代を生きているのです。
温暖化がこのまま進み海面が上昇すると、私たちの住む場所はどう変わるのでしょうか。例えば海面が1メートル上昇すると、日本の90パーセントのビーチはなくなってしまうと考えられます。大阪では北西部から堺市にかけての海岸線は水没し、東京では江東区、墨田区、江戸川区、葛飾区ほぼ全域が水没などの影響を受けると試算されています。陸地が少なくなるため、未来には、険しい山や、もしかしたら海の中にも新たに住む場所が作られるかもしれません。


文 田端萌子&JAMSTEC
(2018年4月11日掲載、2022年12月改訂)

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プロフィール

HN:
酔生夢人
性別:
男性
職業:
仙人
趣味:
考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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