第五十一章 プラトー現る
巨鳥が落ちるより一足早く地上に降り立ったリリアは、落下してきたピオとマリスも無事に着地させた後、頭上を見上げた。
巨鳥は、その巨大な体で空全体を覆いながら地上に落ちてくる。
リリアは全霊を込めて巨鳥の落下を支えようとしたが、その巨大な体は、さすがにリリアの魔力では支えられなかった。僅かに落下の速度を緩めただけで、巨鳥は地上に激突し、カリオスの神殿のある山の傍の小高い丘を一つ破壊した。
空中を飛んで、リリアはその落下した場所に行った。濛々と立ち上る土煙が下に見え、その中心部は、まるで火山の噴火跡みたいに穴が開いている。
「ミゼル、ミゼル!」
リリアは泣くような声を上げてミゼルを呼んだ。
穴の中にリリアは降りていった。
散乱した巨鳥の羽毛の間は異臭がたちこめ、裂けた皮膚の隙間から赤い肉が見える。ところどころに巨鳥の骨が突き出ているが、その一つひとつが、まるで滅びた宮殿の柱のような大きさである。
やがてリリアは赤い肉の裂け目の深いところに埋まるように倒れているミゼルを見つけた。
血にまみれた顔をし、死んでいるかと思われたミゼルは、リリアが抱き起こすと、目を開けてにっこり笑った。
「やあ、リリア、何とか大鷲は倒せたようだな」
「ミゼル! 大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ。気を失っていただけだ。さすがに神の鎧だ。あれだけの落下に耐えられるとは。多分、鳥の肉に包まれていたせいで、衝撃が弱められたのだろうけどね」
ミゼルはよろめきながら立ち上がった。
「早く戻ろう。マリスたちが危ない」
リリアは、ミゼルの体に体力回復の呪文をかけ、自分と共に、彼の体を空中に浮かばせた。
幸い、ミオスは、手が尽きたのか、まだピオとマリスに攻撃はかけていなかったようだ。ミゼルとリリアの無事な姿を見て、二人は喜びの声を上げた。
「さて、いよいよカリオスの神殿に乗り込むとするか」
ピオが元気に叫んだ。
「おや、あれは?」
マリスが急に頭上を見上げて言った。
天の彼方から、きらめく輝きがこちらに近づいてくる。
その光は、やがて四人の所に降りてきた。
「お父様!」
地上に降り立ったのは、リリアの父、風の島ヘブロンの老神官プラトーであった。
「リリア、久しぶりだな。元気か」
プラトーは、リリアを強く抱きしめた後、ミゼルたちに向き直った。
「お前たちも、なかなか良くやっているようだが、カリオスを倒すのは相当な難事じゃ。老いたとはいえ、わしの魔力は、リリアよりは上だ。わしも一緒に戦おう」
ミゼルは、感謝の気持ちでプラトーの手を握りしめた。
「では、敵の本拠に乗り込むとするか」
五人は、新たな気持ちで、雪の上をカリオスの神殿に向かって馬を歩ませた。プラトー一人は、ライオンのライザの背中に乗っているのである。
巨鳥が落ちるより一足早く地上に降り立ったリリアは、落下してきたピオとマリスも無事に着地させた後、頭上を見上げた。
巨鳥は、その巨大な体で空全体を覆いながら地上に落ちてくる。
リリアは全霊を込めて巨鳥の落下を支えようとしたが、その巨大な体は、さすがにリリアの魔力では支えられなかった。僅かに落下の速度を緩めただけで、巨鳥は地上に激突し、カリオスの神殿のある山の傍の小高い丘を一つ破壊した。
空中を飛んで、リリアはその落下した場所に行った。濛々と立ち上る土煙が下に見え、その中心部は、まるで火山の噴火跡みたいに穴が開いている。
「ミゼル、ミゼル!」
リリアは泣くような声を上げてミゼルを呼んだ。
穴の中にリリアは降りていった。
散乱した巨鳥の羽毛の間は異臭がたちこめ、裂けた皮膚の隙間から赤い肉が見える。ところどころに巨鳥の骨が突き出ているが、その一つひとつが、まるで滅びた宮殿の柱のような大きさである。
やがてリリアは赤い肉の裂け目の深いところに埋まるように倒れているミゼルを見つけた。
血にまみれた顔をし、死んでいるかと思われたミゼルは、リリアが抱き起こすと、目を開けてにっこり笑った。
「やあ、リリア、何とか大鷲は倒せたようだな」
「ミゼル! 大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ。気を失っていただけだ。さすがに神の鎧だ。あれだけの落下に耐えられるとは。多分、鳥の肉に包まれていたせいで、衝撃が弱められたのだろうけどね」
ミゼルはよろめきながら立ち上がった。
「早く戻ろう。マリスたちが危ない」
リリアは、ミゼルの体に体力回復の呪文をかけ、自分と共に、彼の体を空中に浮かばせた。
幸い、ミオスは、手が尽きたのか、まだピオとマリスに攻撃はかけていなかったようだ。ミゼルとリリアの無事な姿を見て、二人は喜びの声を上げた。
「さて、いよいよカリオスの神殿に乗り込むとするか」
ピオが元気に叫んだ。
「おや、あれは?」
マリスが急に頭上を見上げて言った。
天の彼方から、きらめく輝きがこちらに近づいてくる。
その光は、やがて四人の所に降りてきた。
「お父様!」
地上に降り立ったのは、リリアの父、風の島ヘブロンの老神官プラトーであった。
「リリア、久しぶりだな。元気か」
プラトーは、リリアを強く抱きしめた後、ミゼルたちに向き直った。
「お前たちも、なかなか良くやっているようだが、カリオスを倒すのは相当な難事じゃ。老いたとはいえ、わしの魔力は、リリアよりは上だ。わしも一緒に戦おう」
ミゼルは、感謝の気持ちでプラトーの手を握りしめた。
「では、敵の本拠に乗り込むとするか」
五人は、新たな気持ちで、雪の上をカリオスの神殿に向かって馬を歩ませた。プラトー一人は、ライオンのライザの背中に乗っているのである。
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