第三十八章 ゴラの村
ピオの傷は浅かったが、毒の影響で、しばらくは左腕が使えなかった。
「なあに、右腕だけでも使えりゃあ十分だ」
ピオは、それまでの重い幅広の剣をやめて、予備に持っていた片手で使える刀身の細いしなやかな剣に換えた。この剣では、斬ることはできず、突き専門だが、敏捷なピオにはこの方が向いている。
ミゼルたちは、ゴラ族にどう対処するか相談した。
「このまま行けば戦いになるのは必至だが、無駄に人を殺したくない。なにかいい手はないかな」
ミゼルの言葉に一同は首をひねって考えた。
「こちらにはリリアさんがいるんだから、そいつを利用しようぜ」
ピオが言った。一同は、問うように彼を見た。
「彼女を神の使いに見せかけるのさ。神の命令だと言って、神の鎧兜をこちらに差し出させりゃあいい」
成る程、とミゼルたちは頷いた。
朝食が済むと、一行はライオンのライザの背に乗ったリリアを中心に、行列を作ってゴラ族の村に近づいていった。
村の入り口にはすでにゴラ族の戦士たちが戦の準備をして備えを作り、侵入者たちを待ち受けていた。その中央にいる、一際巨大な体躯で豪華な羽根飾りをした男が酋長だろう。
リリアは、魔法でその男の心を読んで、その男がやはり酋長のザンバで、その隣にいる老人が魔術師のトンガであることを知った。
リリアはザンバの心に呼びかけた。
「ザンバよ、私はラミアの神の使いです。お前たちが守っているシャクラ神殿に祭られた神の鎧兜を受け取りに参りました」
ザンバは、自分に聞こえた声が、他の者には聞こえていないようであるのに驚いて、周りをきょろきょろ見回した。
リリアは、魔法の光で自分たちの周りを包んだ。その光輝は、ゴラ族の者たちに恐れを与えた。
「あれはまやかしじゃ。わしの魔法で、奴らの正体を暴いてみせる!」
トンガが叫んで、前に進み出た。
彼は魔法のダンスをしながら呪文を唱えたが、それは迷信深いゴラ族の人間には利いても、ミゼルたちには通用しなかった。
リリアが手を前に伸ばして、その指先から電光を発した。電光はトンガに当たり、二メートルほど後方に吹き飛ばした。
ゴラ族の者たちは恐怖の声を上げて、地にひれふした。
「まだ逆らう気なら、お前もトンガと同じ目に遭わせますよ」
リリアの言葉に、ザンバは震え上がった。
「わ、わかった。あなた方の邪魔はしない。だが、シャクラ神殿には大猿や大蛇がいて、我々も入ることはできない。宝物が欲しければ、自分たちで行って取るがいい」
ザンバの言葉にミゼルたちは頷き合った。
ピオの傷は浅かったが、毒の影響で、しばらくは左腕が使えなかった。
「なあに、右腕だけでも使えりゃあ十分だ」
ピオは、それまでの重い幅広の剣をやめて、予備に持っていた片手で使える刀身の細いしなやかな剣に換えた。この剣では、斬ることはできず、突き専門だが、敏捷なピオにはこの方が向いている。
ミゼルたちは、ゴラ族にどう対処するか相談した。
「このまま行けば戦いになるのは必至だが、無駄に人を殺したくない。なにかいい手はないかな」
ミゼルの言葉に一同は首をひねって考えた。
「こちらにはリリアさんがいるんだから、そいつを利用しようぜ」
ピオが言った。一同は、問うように彼を見た。
「彼女を神の使いに見せかけるのさ。神の命令だと言って、神の鎧兜をこちらに差し出させりゃあいい」
成る程、とミゼルたちは頷いた。
朝食が済むと、一行はライオンのライザの背に乗ったリリアを中心に、行列を作ってゴラ族の村に近づいていった。
村の入り口にはすでにゴラ族の戦士たちが戦の準備をして備えを作り、侵入者たちを待ち受けていた。その中央にいる、一際巨大な体躯で豪華な羽根飾りをした男が酋長だろう。
リリアは、魔法でその男の心を読んで、その男がやはり酋長のザンバで、その隣にいる老人が魔術師のトンガであることを知った。
リリアはザンバの心に呼びかけた。
「ザンバよ、私はラミアの神の使いです。お前たちが守っているシャクラ神殿に祭られた神の鎧兜を受け取りに参りました」
ザンバは、自分に聞こえた声が、他の者には聞こえていないようであるのに驚いて、周りをきょろきょろ見回した。
リリアは、魔法の光で自分たちの周りを包んだ。その光輝は、ゴラ族の者たちに恐れを与えた。
「あれはまやかしじゃ。わしの魔法で、奴らの正体を暴いてみせる!」
トンガが叫んで、前に進み出た。
彼は魔法のダンスをしながら呪文を唱えたが、それは迷信深いゴラ族の人間には利いても、ミゼルたちには通用しなかった。
リリアが手を前に伸ばして、その指先から電光を発した。電光はトンガに当たり、二メートルほど後方に吹き飛ばした。
ゴラ族の者たちは恐怖の声を上げて、地にひれふした。
「まだ逆らう気なら、お前もトンガと同じ目に遭わせますよ」
リリアの言葉に、ザンバは震え上がった。
「わ、わかった。あなた方の邪魔はしない。だが、シャクラ神殿には大猿や大蛇がいて、我々も入ることはできない。宝物が欲しければ、自分たちで行って取るがいい」
ザンバの言葉にミゼルたちは頷き合った。
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