第三十七章 蛮族の襲撃
「もうすぐ、ゴラ族の村ですわ。シャクラ神殿は、彼らに守られていて、中に入るのは難しいと思います」
リリアが言った。川から少し離れた所で、なるべく動物に襲われずにすみそうな場所を見つけ、ミゼルたちはそこで夜営することにした。
「ゴラ族は、毒矢を使うから、気を付けてください。刺さると命にかかわります」
食事をしながらリリアは皆に注意した。
その夜、眠りについてしばらくすると、ミゼルは誰かの手で揺り起こされた。
リリアだった。
「起きて。近くに敵がいます」
ミゼルも周りの気配には敏感な方だが、リリアは魔法の力で敵の接近を感じ取っているようだ。
ミゼルは隣に寝ていたピオとメビウスを起こし、敵が近くにいることを告げた。
起きてすぐは、周囲は漆黒の闇に見えたが、やがて目が慣れてくると、二十数メートルほど先の木陰に敵がいるのが分かる。
ミゼルは襲撃に備えて弓を構えた。敵は体に白い塗料を塗っていて、闇の中でも見分けがつく。弓にはいい的だ。ミゼルとピオは、盾を地面に据えて、その背後に身を隠し、敵の動きを観察した。
やがて、鋭い羽音と共に、矢が飛来した。一本目に続けて無数の矢が飛んでくる。
ミゼルは盾の陰から弓で応戦した。
相手の数は十数名のようだ。いずれも名人級の射手である。弓勢は弱いが、正確そのものの矢である。しかし、ミゼルの弓の腕は彼ら以上であった。闇の中では、こちらの矢がどこに飛んだかはほとんど分からず、誤差の修正が困難だが、この程度の近距離ではほとんど問題にならない。ミゼルの矢は次々に敵を倒していく。
「うわっ!」
ミゼルの側でピオが悲鳴を上げて腕を押さえた。矢が刺さったらしい。
「動かないで! 体に毒が回ります」
リリアがピオの傷に口を当てて毒を吸い出し、薬草の手当をして、毒消しの呪文を唱えた。
闇の中の攻防は、一時間ほど続いた。ミゼルが射倒した敵の数は十名以上になり、残る数名の敵は、とうとうあきらめて退却していった。
ほのぼのと夜が白みかかった中で敵の死体を確認したリリアは、
「ゴラ族の戦士ですわ」
とミゼルに言った。
「もうすぐ、ゴラ族の村ですわ。シャクラ神殿は、彼らに守られていて、中に入るのは難しいと思います」
リリアが言った。川から少し離れた所で、なるべく動物に襲われずにすみそうな場所を見つけ、ミゼルたちはそこで夜営することにした。
「ゴラ族は、毒矢を使うから、気を付けてください。刺さると命にかかわります」
食事をしながらリリアは皆に注意した。
その夜、眠りについてしばらくすると、ミゼルは誰かの手で揺り起こされた。
リリアだった。
「起きて。近くに敵がいます」
ミゼルも周りの気配には敏感な方だが、リリアは魔法の力で敵の接近を感じ取っているようだ。
ミゼルは隣に寝ていたピオとメビウスを起こし、敵が近くにいることを告げた。
起きてすぐは、周囲は漆黒の闇に見えたが、やがて目が慣れてくると、二十数メートルほど先の木陰に敵がいるのが分かる。
ミゼルは襲撃に備えて弓を構えた。敵は体に白い塗料を塗っていて、闇の中でも見分けがつく。弓にはいい的だ。ミゼルとピオは、盾を地面に据えて、その背後に身を隠し、敵の動きを観察した。
やがて、鋭い羽音と共に、矢が飛来した。一本目に続けて無数の矢が飛んでくる。
ミゼルは盾の陰から弓で応戦した。
相手の数は十数名のようだ。いずれも名人級の射手である。弓勢は弱いが、正確そのものの矢である。しかし、ミゼルの弓の腕は彼ら以上であった。闇の中では、こちらの矢がどこに飛んだかはほとんど分からず、誤差の修正が困難だが、この程度の近距離ではほとんど問題にならない。ミゼルの矢は次々に敵を倒していく。
「うわっ!」
ミゼルの側でピオが悲鳴を上げて腕を押さえた。矢が刺さったらしい。
「動かないで! 体に毒が回ります」
リリアがピオの傷に口を当てて毒を吸い出し、薬草の手当をして、毒消しの呪文を唱えた。
闇の中の攻防は、一時間ほど続いた。ミゼルが射倒した敵の数は十名以上になり、残る数名の敵は、とうとうあきらめて退却していった。
ほのぼのと夜が白みかかった中で敵の死体を確認したリリアは、
「ゴラ族の戦士ですわ」
とミゼルに言った。
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