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古典の花園15 第二章10

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 「防人に行くは誰(た)が背」と問ふ人を、見るが羨(とも)しさ。
物思ひもせず。  (万葉集・防人歌)

 「背」は、愛する男性、夫のこと。自分の夫が防人に行くその日、どこかの奥さんが、「防人に行くのは誰の旦那さんでしょうね」と言っている。その何の物思いも無さそうな姿の羨ましいことよ、という意味です。防人は、唐・新羅からの侵略に備え、国土防衛のために現在の九州北部に配備された兵士のことです。任期は三年ですから、その家族にとってはもしかしたら、永遠の別れになるかもしれない別れであったわけです。作者は、防人の奥さんですから、無名の庶民なのですが、この一つの歌によって、永遠に歴史に記録されたと言っていいでしょう。『万葉集』の中でも、心に残るという点では傑出した歌です。

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HN:
酔生夢人
性別:
男性
職業:
仙人
趣味:
考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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