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「防人に行くは誰(た)が背」と問ふ人を、見るが羨(とも)しさ。
物思ひもせず。 (万葉集・防人歌)
「背」は、愛する男性、夫のこと。自分の夫が防人に行くその日、どこかの奥さんが、「防人に行くのは誰の旦那さんでしょうね」と言っている。その何の物思いも無さそうな姿の羨ましいことよ、という意味です。防人は、唐・新羅からの侵略に備え、国土防衛のために現在の九州北部に配備された兵士のことです。任期は三年ですから、その家族にとってはもしかしたら、永遠の別れになるかもしれない別れであったわけです。作者は、防人の奥さんですから、無名の庶民なのですが、この一つの歌によって、永遠に歴史に記録されたと言っていいでしょう。『万葉集』の中でも、心に残るという点では傑出した歌です。
「防人に行くは誰(た)が背」と問ふ人を、見るが羨(とも)しさ。
物思ひもせず。 (万葉集・防人歌)
「背」は、愛する男性、夫のこと。自分の夫が防人に行くその日、どこかの奥さんが、「防人に行くのは誰の旦那さんでしょうね」と言っている。その何の物思いも無さそうな姿の羨ましいことよ、という意味です。防人は、唐・新羅からの侵略に備え、国土防衛のために現在の九州北部に配備された兵士のことです。任期は三年ですから、その家族にとってはもしかしたら、永遠の別れになるかもしれない別れであったわけです。作者は、防人の奥さんですから、無名の庶民なのですが、この一つの歌によって、永遠に歴史に記録されたと言っていいでしょう。『万葉集』の中でも、心に残るという点では傑出した歌です。
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