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父母が頭(かしら)かきなで、「幸(さき)くあれ」て
言ひし言葉(けとば)ぜ、忘れかねつる。 (万葉集・防人歌)
防人に駆り出されるのは東国の青少年が多かったようですが、この歌には中部地方の方言が混ざっています。「て」は引用や発言を受ける「と」、「ぜ」は強意の係助詞「ぞ」です。この歌の作者はまだ少年のようで、頭を父母に撫でられるくらいの年齢です。そうした少年は防人に行った後も、父や母のことを偲ぶことが多かったのでしょう。家族間の愛情の強さは、衣食住すべて備わった現代よりも、すべてに不自由だった昔のほうが強かったように思われます。この歌は、幼い感じの方言が、少年の真情をよく伝えているようです。
父母が頭(かしら)かきなで、「幸(さき)くあれ」て
言ひし言葉(けとば)ぜ、忘れかねつる。 (万葉集・防人歌)
防人に駆り出されるのは東国の青少年が多かったようですが、この歌には中部地方の方言が混ざっています。「て」は引用や発言を受ける「と」、「ぜ」は強意の係助詞「ぞ」です。この歌の作者はまだ少年のようで、頭を父母に撫でられるくらいの年齢です。そうした少年は防人に行った後も、父や母のことを偲ぶことが多かったのでしょう。家族間の愛情の強さは、衣食住すべて備わった現代よりも、すべてに不自由だった昔のほうが強かったように思われます。この歌は、幼い感じの方言が、少年の真情をよく伝えているようです。
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