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術(すべ)もなく苦しくあれば、「出で走り去(い)なな」と思(も)へど、
児らに障(さ)やりぬ。 (山上憶良)
どうしようもなく苦しいので、家を捨てて逃げ去ろうかと思っても、子供らゆえに、それもできない、ということで、昔から「子は三界の首枷」と言われるように、子供らへの愛情は、行動の束縛にもなります。「銀も金も宝玉も、子供にまさる宝は無い」と詠んだ山上憶良のもう一つの面です。「去なな」は、動詞「去ぬ」の未然形の「去な」に上代の希望の終助詞「な」が付いたものです。
術(すべ)もなく苦しくあれば、「出で走り去(い)なな」と思(も)へど、
児らに障(さ)やりぬ。 (山上憶良)
どうしようもなく苦しいので、家を捨てて逃げ去ろうかと思っても、子供らゆえに、それもできない、ということで、昔から「子は三界の首枷」と言われるように、子供らへの愛情は、行動の束縛にもなります。「銀も金も宝玉も、子供にまさる宝は無い」と詠んだ山上憶良のもう一つの面です。「去なな」は、動詞「去ぬ」の未然形の「去な」に上代の希望の終助詞「な」が付いたものです。
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