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保守と革新

「晴耕雨読」から転載。
今日の「徽宗皇帝のブログ」で「保守政権」という言葉を不用意に使ってしまったが、下記記事を今読んで、そう言えば、今の自民党は「保守政党」とは言えないな、と反省した。
まあ、「自殺党」か「自滅党」と言うべきであり、「日本を憑(と)り殺す」ために存在している政党である。
私自身は、今の政治には不満だから当然「革新」を支持するが、満足できる政治になれば、言うまでもなく「保守」支持者になるのも当然の話だ。つまり、「保守」とは現状維持を意味するわけで、今の自民党はTPPや憲法改定など、日本を根底から覆そうとする、日本近代政治始まって以来の「革新政党」である。だが、その方向性は、私の望む方向とは正反対だ。よく日本の右翼が自民党政治家やその後援者をテロのターゲットにしないものだ。今の自民党が日本精神や日本文化(あるいは日本社会そのもの)を破壊し、国家主権すら欧米企業に売り渡そうとしているのは明瞭なはずだが。



(以下引用)


2013/4/16


「保守とは、国柄を大事に守るのが役割であろう。もはや、自民党は保守政党ではない。:川内 博史氏」  TPP/WTO/グローバリズム

https://twitter.com/kawauchihiroshi

TPPに関して、国益という言葉がよく出てくる。

TPPに国益という言葉は馴染まない。

あるのは、企業益である。

その象徴がISD条項。

多国籍企業にとっては、国境は邪魔なのだ。
 



TPPとは、多国籍企業の為に、歴史や伝統や文化の違いを捨て国境を無くす協定。

もはや、自民党は保守政党ではない。

国内の法律や規制は、その国の歴史、伝統、文化に根拠を置く立法事実に裏付けられている。

国柄と言ってもよい。

だから、それぞれの国で法律や規制は違いがあるのだ。

他方、条約は国内法や規制に優位する。

TPPは、条約として、あらゆる非関税障壁のルールの統一を求めるもの。

即ち、国柄の放棄である

保守とは、国柄を大事に守るのが役割であろう。

国柄を放棄する政党を、保守とは言わないのでは?

因みに、EUの混乱は、国柄を無視し統一を目指したところに、その根源があるのでは?




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安倍さん、パンツいっちょで野球拳始めちゃ駄目でしょう

「ネットゲリラ」から転載。
引用コメントの最後の「日本国を守る奴はブサヨwwwww」は、まさしくネトウヨがいつも言っているグダグダした理屈を簡単に言い換えるとこうなる、というもので、感心した。まあ、それを引用したかったから転載しただけの記事である。
「日本はTpp前から自由化してるからカードがないw
パンツいっちょで野球拳www」
も面白い。もっとも、安倍の野球拳している姿など想像しても吐き気がするが。





(以下引用)




安倍は死んで詫びろ

野次馬 (2013年4月14日 21:45) | コメント(15)





まぁ、驚異のヘタレ交渉で、アメリカ側のいうことは全て無条件受け入れ、日本側の主張は全て後まわしという、驚いた話なんだが、それがマスコミで話題にならないように、毎日毎日、北朝鮮の打ち上げ花火で大騒ぎですw 馬ッ鹿じゃねーの、という感じなんだが、北朝鮮なんざ、島根県くらいのボリュームしかない国なので、アメリカなんぞに頼らなくても、自衛隊だけで潰せるだろ。南朝鮮が報復されても知ったこっちゃないので、とりあえず平壌空爆したれ。アメリカは反対するだろうが、知ったこっちゃない。北朝鮮のミサイルが、核積んで、永田町直撃出来るわけでもなし、そんなもんに脅されて、TPPで言い成りにされてたまるもんか。







【TPP】安倍さん譲歩し過ぎオワタ 自動車:米韓FTAより不利 保険、知的財産、公共事業、JIS規格 多くで譲歩か

1 ベンガル(埼玉県) 2013/04/13(土) 09:40:18.83 ID:NsPJfiuDP

 TPP=環太平洋パートナーシップ協定を巡り、今回、日米の事前協議で合意された内容です。

 一方、アメリカが日本車にかけている関税については、TPP交渉で認められる最も長い段階的な引き下げ期間で撤廃され、かつ最大限に後ろ倒しされるとして、可能な限り猶予期間が設けられるという内容です。
 これに加えて、アメリカの関税撤廃までの期間は、乗用車は5年、トラックは10年としているアメリカと韓国が締結したFTA=自由貿易協定の中での取り決めよりもアメリカにとって実質的に有利になることなどを確認したとしています。
 一方、今回の合意では、非関税措置について保険や投資など9つの分野で、自動車分野と同じようにTPP交渉と並行して日米間で協議していくことが合意されました。
 具体的には、アメリカ側が「競争条件が公平ではない」などと指摘している日本郵政傘下のかんぽ生命保険をはじめとした「保険分野」、貿易の手続きを簡素にする「透明性と貿易円滑化」、「投資のルール」、「知的財産権」、工業製品などの「規格や基準」公共事業などの「政府調達」企業などの競争を促す「競争政策」、「宅配便」、「食品の安全基準」です。

2 ベンガル(埼玉県) 2013/04/13(土) 09:41:07.89 ID:NsPJfiuDP >>1つづき

  また、保険分野を巡っては麻生副総理兼金融担当大臣がかんぽ生命が、がん保険など新規業務の認可を申請しても民間との適正な競争関係が確保されなければ認可しないという考えを示しました。

3 キジトラ(北海道). 2013/04/13(土) 09:41:52.12 ID:T86upm/o0

あんな脳溶けに交渉なんてできるわけねーだろwww
TPPは無いと見込んで自民に投票した奴はアホすぎwww

5 マンクス(dion軍). 2013/04/13(土) 09:42:41.46 ID:aLN34FRc0

ついでに台湾に領海を割譲wwwwwww

7 サバトラ(東海地方) 2013/04/13(土) 09:42:58.98 ID:XVe7NShR0

自動車の関税がなくなって日本からの輸出が増えるんだよな

8 イエネコ(長野県) 2013/04/13(土) 09:43:06.02 ID:6lsppXDx0

こういうのは交渉じゃなくて御用聞きってんだよゲリゾー

9 ブリティッシュショートヘア(愛知県). 2013/04/13(土) 09:43:40.80 ID:D/08xIbX0

国益(笑)、交渉力(笑)

11 白(兵庫県) 2013/04/13(土) 09:45:31.68 ID:qMtDtTIJ0

日本の農業大丈夫なん?
牛乳がヤバイと聞いたが

23 ボブキャット(岩手県). 2013/04/13(土) 09:51:41.31 ID:YLxWTTz10
 
>>11
この調子じゃ終わりだろ
農家ざまぁwwwwwwwwww

14 ラ・パーマ(長崎県) 2013/04/13(土) 09:46:36.91 ID:1xwwDfcD0

こら、ダメかもしらんね
てか、ダメか

19 ジャパニーズボブテイル(静岡県)[age] 2013/04/13(土) 09:49:44.06 ID:LaGGeidq0

ジィちゃんの世代から「売国奴」だった、安倍一族だけあるわ。
日本の「終わりの始まり」だな。

21 キジトラ(北海道). 2013/04/13(土) 09:49:48.90 ID:T86upm/o0

ニッポンを、差し上げる!

24 ヨーロッパヤマネコ(山陽地方) 2013/04/13(土) 09:51:42.86 ID:Xj4c9+V7O

日本になんの得があるんだよ

25 キジトラ(北海道). 2013/04/13(土) 09:53:35.89 ID:T86upm/o0

まだ震災復興が終わってない時点でのドサクサ消費税増税さえ調子に乗りすぎだったのに、
その上TPPなんて何考えてんだwwwwwwwwwwwwwwwww

26 イエネコ(長野県) 2013/04/13(土) 09:54:31.27 ID:6lsppXDx0

自殺が捗るな
小泉改革詐欺時代の再来やで

27 アムールヤマネコ(大阪府) 2013/04/13(土) 09:54:35.65 ID:BgK0HZiN0

それよりエロ漫画どうなるんだよ
米がピザに変わってもいいがエロ漫画だけは代わりがねえ

29 マンチカン(埼玉県). 2013/04/13(土) 09:55:42.92 ID:77vZWMp30

終わったな
日本がアメリカ領土になる日は近い
まぁ奴隷の扱いだけどね

32 オシキャット(神奈川県) 2013/04/13(土) 09:57:46.81 ID:QzD+Lw7S0

ま、自民党はアメちゃんのいいなりだから当然の帰結だよね
日本の農家は円安で肥料高騰、生産原価うpな状況でTPPを迎える訳だからそりゃ死ぬよ

34 ハイイロネコ(関東・甲信越) 2013/04/13(土) 10:04:48.55 ID:noyDOpJrO

そもそも不利とか有利とかおかしくね?
自由貿易協定でしょカードはこっちも握ってる
交渉結果参加しない事も出来る訳だし

39 三毛(東京都). 2013/04/13(土) 10:13:24.32 ID:M3c+fdWh0 >>34

日本はTpp前から自由化してるからカードがないw
パンツいっちょで野球拳www

36 猫又(中部地方) 2013/04/13(土) 10:08:39.56 ID:kXtKbBxd0

利益のためだけに働く現在の企業を一人の人格として精神分析すると、
「他人への思いやりがない」「罪の意識がない」などの項目に該当し、
完全なサイコパスと診断されるという

遺伝子組み換え TPP モンサント社
http://www.youtube.com/watch?v=V-ESDpUrKck
ザ・コーポレーション
http://www.nicovideo.jp/watch/sm14312793
ダーウィンの悪夢
http://www.youtube.com/watch?v=Dl_xCfHg3iY

37 ヨーロッパオオヤマネコ(青森県). 2013/04/13(土) 10:09:14.42 ID:l+u5sExr0

×譲歩
○言いなり

40 ベンガル(東日本). 2013/04/13(土) 10:15:55.96 ID:swI0YY9ZP

>>1
>「保険分野」「政府調達」「食品の安全基準」

始まったな。日本解体が。
貿易の手続きを簡素にする「透明性と貿易円滑化」で、検疫の簡略化。
混合診療で、医療費が安くて長寿の日本の解体。
政府調達の外国企業参入で「国土強靭化」に注ぎ込まれる消費税がそのまま外国企業へ。
食品安全基準をアメリカ並みに引き下げ。遺伝子組み換え野菜の全面解禁。

42 ボンベイ(山口県) 2013/04/13(土) 10:18:27.80 ID:8LLCQvvT0

だめだこりゃw

44 クロアシネコ(catv?). 2013/04/13(土) 10:19:54.80 ID:uTV3JDZK0

ゴミジミン信者に告ぐ
バーーーーーーーーーーーーーーカ

45 エキゾチックショートヘア(東京都) 2013/04/13(土) 10:20:32.63 ID:rPD3gYcE0

TPPに否定的な意見を連呼して、政権攻撃に繋げようってのが、ブサヨの浅はかな作戦かな?
ブサヨって、本当に印象操作しかできないんだな。しかも見透かされてて裏目に出てるし。
「参院選の争点は改憲」←ブサヨがいやがりそうなキーワード

49 オシキャット(神奈川県) 2013/04/13(土) 10:23:50.69 ID:QzD+Lw7S0 >>45

自民党のTPP反対議員もチャンネル桜の水島社長もサヨクか
これぞ低能って感じのレスだねw

50 ベンガル(東日本) 2013/04/13(土) 10:24:01.31 ID:+Ha61/fD0
 
>>45
三橋貴明=ブサヨ?
http://www.nicovideo.jp/watch/sm20315239

47 クロアシネコ(catv?). 2013/04/13(土) 10:23:03.08 ID:uTV3JDZK0

ネトサポがいくら言い訳しても「TPP断固反対」という詐欺ポスターを貼っていた事実は変わらない

48 スフィンクス(長屋) 2013/04/13(土) 10:23:32.91 ID:Y0ZU1YAF0

でも、自民党の多くはTPP参加反対で
国会で条約批准を否決すればいいだけだから...(震え声

51 マンクス(dion軍). 2013/04/13(土) 10:25:20.30 ID:aLN34FRc0

ネトウヨ 「日本国を守る奴はブサヨwwwww」



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これほどの不合理が堂々と罷り通る理由

「志村建世のブログ」から転載。
徽宗皇帝のブログに書いた通り、日本の原発は「アメリカの軍事施設」だと考えれば、すべては明瞭になる。

「日本の未来のことも、経済のことさえ全然考えてない。」
「問題先送りの典型」

と言えばそうも言えるのだが、実は、日本政府にはそれ以外やりようが無い、ということだ。すべての権限はアメリカにあるのだから、当然の話である。
だが、アメリカには実は「アキレス腱」がある。
それは、アメリカは民主主義を標榜していることだ。
日本国民全体(あるいは過半数)の意思が原発反対、あるいは在日米軍基地反対であることを明瞭に示すことさえできれば、原発も即時停止、米軍基地も即時撤収可能だろう。つまり、選挙で隷米政治家を全員落選させればいいだけの話である。もっとも、電子投票や電子票読み機などを使った不正選挙への対策をどうするかは、また別の話である。
まあ、自民党を応援している連中にはまず、原発に起因する高額電気料金を彼らだけに負担してもらうべきだろう。


(以下引用)



2013.4.10


これでも原発やめないの?

[ 政治・政党 ]

(熊さん)今年の夏は、節電の目標ってのがないそうですね。
(ご隠居)ああ、全国的にそのようだな。関西では大飯の原発が2基動いてるんだが、これが8月には定期点検で止める期限になる。その2基が止まっても、やりくりすれば大丈夫という計算になるそうだ。つまりは原発が全然動いてなくても、日本の電力は足りるということだ。
(熊)それなら早く原発はやめると決めちまえばいいのにね。福島では汚染水のプールが漏れてるとかで騒いでるじゃないですか。事故の始末もできない頼りなさで、よく再稼働だ、新しいのも作るなんて言えたもんだ。
(隠)原発やめても、それで汚染水漏れが止まるわけじゃないけどな。でも、ちょい漏れパンツじゃあるまいし、防水シートの穴が問題だなんて、みっともない話だ。トイレのないマンションと言われてたのを、地で行ってる感じになってきたよ。後の始末の悪さ、これが原発の命とりだな。
(熊)ちゃんと計算すると、原発を廃炉にするのも、えらく金がかかるんだってね。
(隠)うん、高木仁三郎さんの計算だと、全部の廃棄物を地層処分すると原発の建設費よりもずっと高くなるそうだ。低レベルは簡単に処理するとしても、それはそれで放射能を撒き散らすことになるから管理が必要になる。どこから見ても引き合う話じゃないんだな、経済的にもだ。
(熊)それなのに、使用済み燃料を再処理してプルトニウムを取り出すリサイクルの建前を、まだ続けてるって本当なんですか。
(隠)そうなんだ。先日も新聞に出てたが、イギリスの会社に頼んでた使用済み燃料の再処理費用が、先方もトラブル続きで、えらく値上がりしてるということだ。契約で引取りを拒否できないようだが、いずれは日本の電気料金に転嫁されると書いてあったよ。その後は日本の六ヶ所村の再処理工場で事業を続けるというんだが、これはもう正気の沙汰ではないな。どえらい金かけて、今でさえ使い道に困ってるプルトニウムを、もっと積み上げるってんだから。
(熊)そのプルトニウムの使い道が、MOX燃料ってことですよね。
(隠)それでMOX燃料(ウランとプルトニウムの混合)専用の大間の原発を作りたいってんで工事を進めてるわけだ。こりゃいったい全体何なんだ。原子力村の理屈を押し通してるだけじゃないか。日本の未来のことも、経済のことさえ全然考えてない。それくらい熊公にだってわかるだろう。
(熊)わかりますよ。とりあえず今さえよけりゃいい、問題先送りの典型ですね。

Posted by 志村 建世 at 16:58:10 | コメント (2) | トラックバック (2) | リンク (0)



(追記)


「日々坦々」資料ブログから転載。


(以下引用)




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電力会社ベラボー役員報酬リスト
それでも高い! 電力会社ベラボー役員報酬リスト
それでも高い!
電力会社ベラボー役員報酬リスト
(日刊ゲンダイ2013/4/4)

東電に続き関電、九電が値上げ

関電、九電が5月から電気料金を値上げする。家庭向け料金は関電で平均9・75%、九電で6・23%引き上げられる。すでに東電は昨年9月に値上げを実施済みで、東北電、四国電は経産省に申請中。北海道電も料金改定を表明している。



各社、値上げのオンパレードなのだが、ヤリ玉に挙げられている役員報酬は別表の通り。減額しても、相変わらずの高額報酬だから許せない。
関電は当初、役員1人当たり4100万円、九電は3300万円の報酬額を申請していた。さすがにこれは認められず、“国家公務員並み”に減額するよう要請されたが、それでも、官僚トップの事務次官級の報酬2000万円超なのだ。

「東北電は役員全体の報酬として6億円、四国電は5億円を申請しています。1人当たりにすると、やはり軽く2000万円を超える計算です。もちろん、査定で修正を求められるでしょうが、電力会社は、経産省が認可した役員報酬額を守らない。関電や九電は報酬額1800万円への減額を求められたが、実際は、これに200万円も上乗せしている。九電は、やらせメール問題で辞任した真部利応前社長ら顧問・相談役3人にも計約5000万円を払うとしています」(事情通)
なぜ、こんなデタラメがまかり通るのか。資源エネルギー庁によると、「電気料金の原価に含まれる人件費は認可された金額でなければいけないが、原価に含まれない部分での上乗せについてはルールで規定していない。法的拘束力もない」(電力市場整備課)という。とんでもない“ザル法”である。
結局、電力会社が都合良く帳尻合わせをすれば、いくらでも役員報酬に色をつけることができるわけだ。庶民には電気料金アップを押しつけておいて、自分たちは事務次官級の高額報酬で左うちわ。とことん感覚がズレている。
[電力会社]
[役員数]
[平均報酬]
[値上げ]
北海道電力
15人
2833万円
表明
東北電力
21人
2228万円
申請中
東京電力
22人
※1047万円
実施済
中部電力
17人
3747万円
北陸電力
12人
3308万円
関西電力
20人
※2100万円
認可
中国電力
18人
3144万円
四国電力
19人
3294万円
申請中
九州電力
17人
※2000万円
認可
沖縄電力
15人
2027万円

※は減額後の報酬。それ以外は12年3月期の有価証券報告書に基づく。東北電は報酬とは別に、平均7705万円の株式報酬型ストックオプションあり





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公教育の死と、再生の可能性

「BLOGOS」所載、内田樹の「学校教育の終わり」という文章の最後の部分を転載。

「だが、日本の場合、東大や京大の卒業者の中に「ノブレス・オブリージュ」を自覚している者はほとんどいない。

彼らは子どもの頃から、自分の学習努力の成果はすべて独占すべきであると教えられてきた人たちである。公益より私利を優先し、国富を私財に転移することに熱心で、私事のために公務員を利用しようとするものの方が出世するように制度設計されている社会で公共心の高いエリートが育つはずがない。」

という言葉は、国民全部がよく考えるべき大事な問題を提示しているのではないだろうか。
この内田樹の言葉が事実であること、つまり今の日本の政治経済のすべてが官僚自身への利益誘導のために利用されていることは、少しでも見る目のある人間なら誰でも分かることだ。それを一目瞭然に示しているのが東電と原子力村、そして政府の福島原発事故の処理の仕方すべてである。原発事故被害者はそっちのけで、東電を救済すること(つまり官僚の利益を守ること)に全精力を傾けている、あの原発事故処理の仕方を見れば、この日本が官僚による「私物国家」であることは歴然としている。
そして、官僚のそのようなエゴイズムがどこに胚胎しているかと言えば、東大を頂点とする受験ヒエラルキーの中での勝者となるために彼らが費やした努力に彼らが自ら報酬を与えている、ということなのである。すなわち、内田樹が言うように、彼らが「公共心の高いエリート」に育つはずはない。
ならば、この「制度」をどうすれば変えられるか。
内田樹は、公教育を変えるのは不可能だ、と見ているようだ。その代わり私塾が新たな、社会の牽引者となる真のエリートを作るのではないか、としている。
さて、その私塾が今の私立大学に類するものならば、これはまったく期待はできないだろう。また、それが企業の金で作られた「松下政経塾」のようなおぞましいものになるとしたら、これはむしろ害悪の方が大きそうだ。そうなると、その「私塾」はどのようなものが考えられるか。
確かに「適塾」や「松下村塾」のような私塾を誰か篤志者が作るのなら、それが理想的ではあるが、しかし、そうした「無資格校」卒業者が日本社会の指導層の中に入っていくことは、現在の世の中では不可能に近いのではないだろうか。
まあ、この問題は、宿題としておいおい考えていきたい。


(以下引用)

残念ながら今の日本の支配層の過半はすでにグローバリストであり、彼らは「次世代の日本を担う成熟した市民を育てる」という目的をもう持っていない。

ご本人たち自身が子弟を外国の学校に通わせており、国内での雇用創出にも地域経済の振興にも興味がなく、所得税も法人税もできれば納めずに済ませたく、彼らがその収益を最優先に配慮する企業の株主も社員もすでに過半が外国人なら、それも当然である。

だが、不思議なことだが、「正直なところ、日本なんかどうなってもいい」と思っている人間しか社会的上昇が遂げられないように今の社会の仕組みそのものが再編されつつあるのである。

だから、まことに絶望的なことを申し上げなければならないのだが、今の日本では学校教育を再生させるために打つ手はないのである。

教育改革をうるさく言い立てる政治家やメディア知識人はいまだに「勉強すれば報償を与え、しなければ処罰する」という「人参と鞭」戦術で子どもたちの学びを動機づけられると信じているようだが、それがもう破綻していることにいい加減に気づいたらどうかと思う。

利益誘導は、高い学歴や社会的地位や高い年収といった「人参」に魅力を感じない子どもたち、「欲望を持たない子どもたち」には何の効果も持たない。「そんなもの、欲しくないね。僕は家に引きこもって、ゲームをしている方がいいよ」と言う子どもに利益誘導はまったく無効である。

同じように、あまりにスマートであるために、学校に通って付加価値を高めるというような遠回りを「かったるい」と思う子どもたちにも利益誘導は無効である。彼らは学校に通う時間があったら、起業したり、ネットで株を売買したりして、若くして巨富を積む生き方を選ぶだろう。学校に通う目的が最終的に「金をたくさん手に入れるため」であるなら、自分の才覚で今すぐ金が手にできる子どもがどうして学校に通うだろう。  

「人参と鞭」で子どもたちを学校に誘導しようとする戦略はこうして破綻する。「欲望のない子ども」たちと「あまりにスマートな子どもたち」が学校から立ち去ることをそれはむしろ推進することになる。

引きこもりや不登校の子どもたちは別に「反社会的」なわけではない。むしろ「過剰に社会的」なのである。現在の教育イデオロギーをあまりに素直に内面化したために、学校教育の無意味さに耐えられなくなっているのである。

だから、ひどい言い方をすれば、今学校に通っている子どもたちは「なぜ学校に通うのか?」という問いを突き詰めたことのない子どもたちなのである。「みんなが行くから、私も行く」という程度の動機の子どもたちだけがぼんやり学校に通っているのである。
欧米の学校教育は、まだ日本の学校ほど激しく劣化していない。「何のために学校教育を受けるのか」について、とりあえずエリートたちには自分たちには「公共的な使命」が託されているという「ノブレス・オブリージュ」の感覚がまだ生きているからである。パブリックスクールからオックスフォードやケンブリッジに進学するエリートの少なくとも一部は、大英帝国を担うという公的義務の負荷を自分の肩に感じている。そういうエリートを育成するために学校が存在している。

だが、日本の場合、東大や京大の卒業者の中に「ノブレス・オブリージュ」を自覚している者はほとんどいない。

彼らは子どもの頃から、自分の学習努力の成果はすべて独占すべきであると教えられてきた人たちである。公益より私利を優先し、国富を私財に転移することに熱心で、私事のために公務員を利用しようとするものの方が出世するように制度設計されている社会で公共心の高いエリートが育つはずがない。

 

結論を述べる。

日本の学校教育制度は末期的な段階に達しており、小手先の「改革」でどうにかなるようなものではない。そこまで壊れている。

唯一の救いは、同じ傾向は世界中で見られるということである。

学校教育が国民国家内部的な装置である以上、グローバル化の進行にともなって、遠からず欧米でもアジアでも、教育崩壊が始まる(もう始まっている)。だから、日本の学校教育の相対的な劣位がそれほど目立たなくはなるだろう。
もう一つだけ救いがある。それは崩壊しているのが「公教育」だということである。国民国家が解体する過程で、公教育は解体する。だが、「私塾」はそうではない。

もともと私塾は公教育以前から、つまり国民国家以前から存在した。懐徳堂や適塾や松下村塾が近代日本で最も成功した教育機関であることに異議を唱える人はいないだろうが、これらはいずれも篤志家が「身銭を切って」創建した教育機関である。

このような私塾はそれぞれ固有の教育目的を掲げていた。「国家須要の人材」というような生硬な言葉ではなく、もっと漠然と「世のため人のために生きる」ことのできる公共性の高い人士を育てようとしていた。

それがまた蘇るだろうと私は思っている。隣人の顔が見え、体温が感じられるようなささやかな規模の共同体は経済のグローバル化が進行しようと、国民国家が解体しようと、簡単には消え失せない。そのような「小さな共同体」に軸足を置き、根を下ろし、その共同体成員の再生産に目的を限定するような教育機関には生き延びるチャンスがある。私はそう考えている。そして、おそらく、私と思いを同じくしている人の数は想像されているよりずっと多い。







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TPPの心配をすることはやーめた

「スカイヲーカー」さんのブログの、或る記事の末尾を転載する。
このヒトラーの予言は、井口博士のブログで以前に読んでいたが、2014年が来年であることは今気づいたばかりである。つまり、ヒトラーの予言が当たるなら、スカイヲーカーさんの言う通り、今年中に世界的な経済破綻(あるいは第三次世界大戦)が起こるわけだ。
2013年も3か月が過ぎた現在、その予言は既に実現しかかっているとも言える。ヨーロッパの3分の1の国々は経済的に荒廃しているし、アメリカの3分の1の地方自治体は破産しかかっている。アフリカと中東は完全に荒廃していると言っていい。べつに「今年中にとんでもない経済的大混乱が引き起こる」ことがなくても、事実上、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ、中東は荒廃しつつあり、しかも回復の見込みは無い。アメリカの最後の一手がTPPだが、私が何度か言うように、TPPが発効する以前に、アメリカが国家破産する可能性は大いにあると私は考えている。つまり、TPPについて心配する必要は無いのかもしれない。
「ストレンジ・ラブ博士 または、私は如何にして心配するのをやめ、原爆を愛するようになったか」というのが、スタンリー・キューブリックの「博士の異常な愛情」の原題だったと記憶しているが、私も心配するのはやめることにする。そもそも、ただの一市民が如何に心配しようが、TPP問題に何の影響もあるはずはないのだから心配するだけ無駄というものだ。
世の中の真面目な人は自分に手の届かない問題(政治問題など)を真剣に考え、悩み、怒り、ストレスを溜め込むことが多いようだが、私は忘れっぽい性格が幸いしてか、ストレスは非常に少ない人間のようである。(私が政治や経済を論じるのは、娯楽としてである。)さらに蛇足を言うなら、考えることと感情を発動させることは本来別の機能である。(グルジェフ流に言えば、「知性のセンター」と「感情のセンター」は別である、ということだ。)昔、私が、すぐに解決する必要のある、或る問題で悩み、あせりまくって頭を空回りさせていた時、私の兄はこう言った。「気を使うな。頭を使え」と。それで、私は自分が実はまったく「考えて」いなかったことに気づいたのである。この言葉は私の一生の財産である。

聖書の「伝道の書」に曰く、「汝の手に堪ゆることは、力を尽くして是を為せ」。
逆に言えば、自分の手の及ばないことは考えるだけ無駄だ、ということだ。もちろん、考えるのが趣味である私は、世界政治や世界経済など、まったく自分の手の届かないことでもあれこれ考えるのだが、そういう思考の無駄遣いもまた娯楽なのである。




(以下引用)


ヒトラーは、2000年以降の世界をこのように予言していた。

「2014年にはヨーロッパの3分の1とアメリカの3分の1が荒廃してしまう。アフリカと中東も完全に荒廃する。結局、いまの文明は砂漠しか残さない。」 

たぶん、こういうことなんだろう。急激な財政破綻が実現し欧州も米国も国家組織がメルトダウンする。欧州ではドイツの一部、ロシア、中国、日本、それに米国の中心部分だけが生き残る。ヒトラーの予言に従えば、今年中にとんでもない経済的大混乱が引き起こるということ。アベノミクスで沸く自民党だが、安倍政権の退陣はそれほど遠くのことではないだろう。




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銀行システムはまもなく崩壊するか

「シャンティ・フーラの時事ブログ」から転載。
銀行預金の80%カットなど、いつもならエイプリル・フールの冗談かと思うところだが、キプロスの話だから、ありうることだろう。だが、その結果は、下記記事に言うように、銀行システムそのものが崩壊するというめでたい結果になるかもしれない。つまり、全世界の人間が箪笥預金時代に戻るのである。西洋ならば、甕の中に金貨でも入れて地中に埋めておくとかね。これからは、大型金庫が馬鹿売れする可能性もあるな。重さが100キロくらいもある金庫なら、なかなか泥棒するのも大変だから、泥棒も激減するだろう。まあ、トラックで運び出す手もあるが。
さて、銀行システムの崩壊がなぜめでたいかと言うと、銀行の信用創造機能によって、世界には実際に発行された金の数十倍、数百倍の「架空の金」が流通しており、その架空の金と株取引(証券取引)を利用して国際金融資本は世界を支配する金を手に入れているからである。つまり、銀行システムの崩壊は、ロスチャイルドその他のユダ金の世界支配の終わりを意味することになる。だから、めでたいことであると言ったわけだ。
銀行システムが無ければ、庶民も困るだろう、と考える人が多いと思うが、はたしてそうか。
イスラム教では「利子」の取得が罪悪視されていることを知っている人も多いだろう。だからこそ、世界金融資本の目の仇にもされてきたわけだが、イスラム世界がそれでも成り立っているということは、利子取得が存在の大前提である銀行システムは、必ずしも庶民生活に不可欠のものとは限らないわけである。
当座に金が必要なら、庶民間の「互助システム」(沖縄の「模合」などはそれである。「モアイ」の字がこうだったか不確かだが。)によって金を融通しあえばよいわけで、さもなくば、政府が無利子で融通するシステムを作ればもっとよい。いずれにしても、サラ金、闇金も含め、現在の「金で人間を縛る」銀行システムは、そろそろ年貢の納めどきではないだろうか。


(以下引用)


[NEVADA]キプロス(預金最大80%カットへ)

2013年3月31日 9:00 PM
( 世界経済, 竹下雅敏氏, 経済危機, 通貨・銀行 )
Tweet(臨時)





竹下雅敏氏からの情報です。


私はあと半年、世界がこのままでいられるとは思っていません。


(竹下 雅敏)


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キプロス(預金最大80%カットへ)


転載元)

NEVADAブログ 13/3/31

キプロスの金融危機は第2段階に入ってきており、大手銀行の一つである【ライキ銀行】の10万ユーロ(1000万円)以上の預金については、最大80%程度のカット、【キプロス銀行】は最大60%になると報道されてきており、果たして大口預金者は納得するでしょうか?

また、1000万円なら普通の個人商店主なら保有しており、これが60%から80%カットされれば、事業継続は不可能になります。
更に残った預金も解約が出来ない状態になっており、今後、今回の破たん処理に国民的反発が起こり、大混乱に陥るかも知れません。

更に問題は株式市場です。
イースター休暇明けに売り物が殺到して値がつかない状態になれば、株式市場は崩壊します。
カットされた預金が【キプロス銀行】の株式に転換されるとなりましても、その【キプロス銀行】の株価が価値をなくせば事実上価値はありませんし、【キプロス銀行】から小口の預金までもが引き出された場合、残すとなっています【キプロス銀行】も破たんすることになります。

銀行システムの崩壊が進む【キプロス】ですが、果たして今回の危機を【キプロス】だけに封じこめることができるのかどうか。

イタリア・ポルトガル・スペインでも大口預金が解約されていると密かに語られるようになってきており、これが拡大すれば、銀行システムが崩壊する事態になり兼ねません。

市民が銀行預金を信用しなくなれば、銀行は生きていけません。
1000万円の預金を払い出そうと思いましても、日本であれば日本銀行は100万円分の現金も刷っていないのです。
殆どの預金者はお金を引き出さないものとして、成り立っているのが銀行システムだからです。

崩壊は一瞬で覆ってきます。










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現代生活と化学物質と癌

「NEWSポストセブン」から転載。
私自身は、癌にかかったら医者には全く行かないつもりである。仕事にも毎日の生活にも大きな支障が出て、日常生活にも他人の手を患わすようになったら自分で死ぬ予定だが、まあ、その時にならないとどうなるかは分からない。
しかし、全国民のおよそ半数がほぼ確実に癌にかかるのならば、その「原因」がはっきり示され、予防法が周知徹底されなければならないはずだが、その辺のことがまったくスルーされて、「治療」ばかりが絶対に必要な事とされている感がある。私のように、癌になったらあきらめて死ぬ、というのも一つの選択肢だと思うのだが、そういう意見をマスコミ上で見ることはほとんど無い。せいぜい、近藤誠医師の「癌とは戦うな」という言葉くらいしか私の記憶には無いのだが、もちろん、これは癌治療が医学界と製薬業界の最大の金づるだからだろう。
で、癌の原因は実は明らかだと私は考えている。それも、ずっと前から医学界では知られているのではないか。
以前は、私は、癌は老化に伴って必然的に生じる「老化作用」の一つではないか、と考えていたのだが、全国民の半数「しか」癌にかからないのなら、そうとも言えないようだ。
最近、偶然にレイチェル・カーソンの古典的著作「沈黙の春」を流し読みしたのだが、その中に、癌の発生原因は「化学物質」と「放射性物質」だという趣旨のことが書いてあった。(ただし、流し読みなので、正確さは保証しない。)これは納得できる言葉であり、だからこそ近現代になって癌の発生率が異常に増えたのであり、また、逆に「化学物質」と「放射性物質」は癌治療にも有効(ただし、癌の根本治療にはならず、むしろ健康を悪化させる)なのだろう。毒になるものは薬にもなるということだ。
そして、癌の発生の原因が主に化学物質であるならば(放射性物質にさらされることは、普通の人間は滅多に無い。もちろん、福島原発事故以降はそうでもないが。)ほとんどすべての日常生活での消耗品や食品、身の周り品の生産に化学物質が関わっている現代生活において、癌の原因や発生のメカニズムについて産業界が「口封じ」をしているのは当然のことだろう。
つまり、ここには「全産業的コーポラティズム」というものがあるわけだ。
もっと簡単に言えば、「俺が金儲けをするためには、自分以外の人間がすべて死んでもかまわない」という思想が癌の世界的な広がりの根底にあるわけである。
あなたの食べている食品、あなたの使う消耗品は、実はあなたを日々、癌の危険性にさらしているかもしれない。いや、おそらくそうだろう。
普段は気づかないが、体力の弱っている時には、毎日平気で食べている食品が、異常に不快に感じられることがある。実は、以前に私は、胃が弱っていた時に、コンビニのうどん(買ったばかりのものだ)を食べて異様な不快感を感じたのだが、それは、おそらくうどんかうどんスープ(これは安物。名前も挙げるなら、イオンのいわゆるTV商品だ)のどちらかに入っていた化学物質を、弱った胃が受け付けなかったのだろう。
うどんなどというと、むしろ弱った胃にも受け入れられ易そうだが、それでさえこんな具合だ。その他の食品にどんな化学物質が入っているのか、分かったもんではない。
つまり、我々は毎日毎日多量の化学物質を体内に取り込み、それが肝臓の浄化作用の限界を超えた時に、癌となって現れる、というのが癌発生の主なメカニズムだろう。これによって、年齢が高くなるほど癌が発生しやすいということの理由も分かる。
まあ、この程度のことはかなり前から言われているのかもしれないが、問題はその後だ。

我々は、これに対して、どのような対策を取ることも事実上不可能だ、

ということが最大の問題なのである。
近代文明生活と化学物質はシャム双生児のようなものであり、化学物質を日常生活から追放することはまったく不可能なのである。
ではどうするか。
せいぜいが、有機農法で自給自足生活をするとかいう案しか出ないが、それができるのはごく少数だし、また、食品だけが化学物質に汚染されているわけでもない。
結局は、最初に書いたように、「癌になったらあきらめる」しかないのではないか、と私は思っているわけである。



(以下引用)



がん患って依願退職・解雇 34.7%が離職せざるを得ぬ状況に
2013.03.30 07:00




 がんは日本人の「国民病」ともいわれ、男性の54%、女性の41%が罹るといわれる。いつあなたやあなたの家族が冒されてもおかしくない病だが、がんが脅かすのは、私たちの命だけにとどまらない。
 検診で肺がんが見つかった40代の男性会社員・Aさん。幸いにも、がんがあまり進行していない「ステージ1」の段階で発見することができ、そのことを会社の人事や上司に相談すると、「会社を休め」と指示された。営業職のAさんは会社の配慮に感謝しつつ、休職して治療に専念した。
 それから3か月後、がんが癒えたAさんは仕事に復帰。ところが会社にはもう、Aさんの席はなかった。Aさんは就業規則に定めてある2週間の休職期間を過ぎても出社しなかったとして会社から「解雇」されていたのである――。
「私は全身がんなので、来年の仕事はお約束できない」
 女優・樹木希林(70)のがん告白が大きな波紋を呼んだのは記憶に新しいが、「がん闘病と仕事の両立」という問題は、今や私たちにとって極めて深刻な事態となっているのだ。
 厚生労働省研究班の調査によると、がんを患った勤労者のうち、それまで働いていた職場を「依願退職した」という人が30.5%、「解雇された」という人が4.2%。両者を合わせると34.7%、つまり3分の1以上の人が、がんを発病したために離職せざるを得なくなっていることになる。
 また、ソニー生命が2011年に実施した調査では、がんを患った人の42.0%が、発病後、「収入が減少した」とも回答している。
「日本企業の多くが業績を回復できていない現況をみると、がん患者をめぐる雇用の実態は、さらに悪化していると予想されます」(社会保険労務士)
 今やがん患者の「5年生存率」は5割を超え、長期入院をせずとも通院によって治療可能なケースも増えている。こうした医学の進歩で、仕事をしながらがん治療をしようと考えたり、がんが治ってから仕事に戻ろうとする人は多いだろう。しかし、現実は“職がない”という事態に陥りかねない厳しいものなのだ。
 がんになったうえに、もし仕事をも失うことになれば、精神的にも経済的にも追い込まれることは間違いない。
 iPS細胞の応用など、「がん特効薬」開発の研究が注目を浴びているが、多くのがん患者にとっては、治療代や日々の生活を支える職を失う「がん失業」が、切実な問題となっているのである。

※週刊ポスト2013年4月5日号






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