つまり、「老後資金が2000万円でも足りない」のは、投資を考えての言葉なのだろう、ということである。
なるほど、運用益が4%でなんとか成功(というか、それが平均的)だと言うのなら、2000万円全部を投資しても、得られるカネは年間80万円だけである。年金や持ち家などが無ければ80万円ではまず生活できないだろう(家賃だけでも年間60万円以上はかかるはずだ。)し、そうなると、貯金をどんどん取り崩すしかない。そもそも、投資の運用益以外の収入が無ければ2000万円全部を投資に使えるはずもない。投資だけで食っていく、というのは大方の人が考えるよりはるかに困難な、ほとんど夢物語だろう。カネを何かに投資するだけで遊んで暮らせるには、最初から投資などしなくても遊んで暮らせるくらいの巨額な資産が必要だ、ということだ。まあ、実際の庶民の投資行為は「小遣い稼ぎ」(にすらならず、失敗することが多いはずだが)くらいの意味しかないのだと思う。
下の記事を書いた孔徳秋水氏は、投資をすることで「経済リテラシー」を持つべきだ、と主張することが多いが、むしろ、無産階級の人間が投資をすることの無意味さを下の文章は教えてくれる。まあ、投資を研究すれば経済の勉強にはなるだろうが、今のようなゼロ金利マイナス金利時代には投資行為自体が経済的自殺的行為だ、という「大きな字」が孔徳秋水氏には見えていないような気がする。
ロバート・キヨサキの「金持ち父さん貧乏父さん」は、その拝金主義精神が大嫌いで(自分の実父を「貧乏父さん」と呼ぶ、その神経が嫌だ。)、被雇用者でいる限りは資産家にはなれない、というその主張には同意するが、はたして投資で資産家になれるか、と言えば、今の時代にはほとんど無理だろうし、では起業して経営者になるか、と言えば、それには最初から資産を持っている必要がある。つまり、ロバート・キヨサキ的思想はとっくの昔に破綻しているのではないだろうか。
(以下孔徳秋水氏のツィッターから抜粋転載)
アメリカの資産家たちの間では、”4%ルール”というものが言われている…
だいたい資産が1億円あったとしても、運用平均はせいぜい4%程度という意味だ。
すると、それは”年収400万円”にしかならない。
勤め上げてリタイアしたときに1億の資産があったとしても、
そこから得られる年収は400万円(税引きで320万円)でしかない。
これじゃあ、つまんないからと…
家も買って、クルマも買い換えて、旅行もして、孫にもお小遣いなんて言っていたら
年金収入以外のカネはなくなってしまう。
ちょっとガマンして、半分の5000万だけ使ってしまえ…
その場合は、資産運用で入ってくるおカネは200万(税引きで160万)となってしまう。
健康でずっといけばよいが、寝たきりになったり、介護が必要になれば、いくらかかる?
そうすると、「ゆとり」をもつためには、1億の資産をもったところでカツカツだと言えよう。
『金持ち父さん』では、
「とてもたくさんのおカネを投資に回す必要がある」と教えている。