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易経 5

5 序言の終わりに

 この文章の中では易経の引用をいろいろすることになるが、易経の中の漢字は当用漢字や常用漢字の中には無い字が多いので、今後、漢字については適当に変えることもあるのをよろしくご理解頂きたい。気になる所がある場合は、岩波文庫やその他の文庫の「易教」の中に、本来の卦の文言はあるので、それを自分で調べればいい。
 私の解釈自体、勝手なものではあるのだが、まあ、それでも一応は易教の本文に基づいてはいるのだから、テレビ番組の星占いなどよりはずっとましではあるはずだ。同じ星座に生まれた人間のすべてが同じ日に同じ運命になるということを信じている方がおかしいのだが、星占いという奴は結構人気がある。それは、自分の運命が星座と結びついているという壮大なロマンに人々が酔うからだろう。これを考え出した人は、天才的な商売人ではある。しかし、生まれた年月日だけで一生の運命が決まるというのはどうだろうか。まあ、確かに少女漫画の「24年組」のように、天才が揃って生まれる年はあるようだが、24年に生まれた凡人もまた無数にいたわけだから、あまり当てにはならない。

 易教の成り立ちなどについて知りたい人は本物の「易教」の解説などを読めばよい。私としては、はるかな昔に、八つの象徴の組み合わせで運命を占おうと誰かが考え、そしてその判断の中に人生の哲理を織り込んだ、それだけで十分だと思う。後は、それぞれの人が、易の言葉に共感するかどうかだけだ。「当たるも八卦、当たらぬも八卦」である。
 易の難点は、これがもともとはおそらく占う主体として君主を対象としていたらしいことで、占い好きの女の子が好む恋愛の話がほとんど無いことだ。何しろ、お堅い古代の占いだから、自由恋愛などは無縁である。しかし、縁談についての卦は多少はあるし、それに易はすべてが象徴なのだから、お望みなら、出た卦を恋愛についての託宣だとして解釈すればよいのである。
 繰り返すが、自分でできる占いとして、易はかなり面白いものなので、その面白さを多くの人に知ってもらおうという意図でこの文章は書いている。内容については、これも繰り返しになるが、素人の判断だから、学問的には大間違いも沢山あるだろう。しかし、日本語に訳された文章や、昔に解釈された文章の意味さえも不明な書物なのだから、それをある程度理解できるようにするという作業だけでも、なかなか大変ではあるのだ。まあ、それが面白いからやっているのではあるが。



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空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
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