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メモ日記 7 (#15)

#15   言葉の前で立ち止まる

我々が本を読む場合、先が早く知りたくてじりじりしているものである。だから、時には飛ばし読みをすることもある。もちろん、本から些末的な情報を得るための読書なら、飛ばし読みも大いに結構だ。しかし、これが癖になると、我々の人生に真に役立つ本や、味わいながら読むべき本にまで、つい飛ばし読みをすることになる。たとえ、目は文字面をずっと追っていても、その意味や含蓄をほとんど考えずに読むなら、それは飛ばし読みの一種である。読書は読んだ量ではなく、何を読み取ったかという質を問うべきものである。私は断片的読書も悪くないと思っているが、しかし、時には言葉の前で立ち止まることが必要だと考えている。
「徒然草」第七十五段に、「人に交はれば、言葉、よその聞きに随ひて、さながら心にあらず」という言葉がある。前に読んだ時には何気なく読み飛ばしていた所だ。しかし、日常生活における我々の会話の実相をこれほど鋭く簡潔にえぐった言葉は無いのではないだろうか。我々は、他人との会話の中で、自分の思うことを言っていると思っているが、しかし実は、他人がそれをどう聞くかを考えて、さしさわりのないことだけを言っているのである。我々が自分の本心を言うことなど、滅多にない。対人関係における孤独と疎外はここから始まるのであろう。
立ち止まって眺めれば、たった一行の言葉でも、大きな世界を含んでいる。

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空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
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