記事の強調点は、世界陸連や世界水泳連の決定への批判が多数である、ということだ。つまり、「女子種目」は、「トランスジェンダー女性」はもちろん、将来的には「性自認女性」なども女子種目への出場を可能にし、「女性の特別扱い」はやめ、「男子種目」と「男子以外種目」のふたつにしろ、ということである。公衆トイレの傾向と同じだ。さて、これは女性にとって好ましい流れだろうか。私にはまったくその反対に思える。
(追記)まあ、男には眼福かもしれないし、自分の体に自信のある女性はいいだろうが、大部分の女性は「市民プール」に来るな、と言われたようなものではないか。
(CNN) ドイツの首都ベルリン市内の市営プールで、女性が男性と同じようにトップレスで泳ぐことが認められ、ジェンダーの平等に向けた一歩前進として歓迎されている。
この対応は、19世紀を起源とする「フライケルパークルトゥアー(『自由な体の文化』の意味)」の表れでもある。
市当局が行動を起こしたのは、女性水泳選手が2022年12月、胸を隠さずに市営プールで泳ごうとして止められたことがきっかけだった。
女性は上院司法・多様性・反差別局のオンブズマン事務所に不服を申し立て、当局はこの女性が差別の被害に遭ったと認定。ベルリンの市営プールでは、女性も女性でも男性でもないノンバイナリーの人も含め、全利用者のトップレスを認めると発表した。
ベルリンでは21年にも水泳施設を訪れたフランス人女性が、胸を隠すことを拒んで警備員から退去を求められたとして、市に損害賠償を求めていた。
(以下引用)
世界陸連、トランスジェンダー女性の女子種目出場を禁止
世界陸連は23日、トランスジェンダーの女性が国際大会で女子カテゴリーに出場するのを禁止した。
世界陸連のセバスチャン・コー会長は、男性として思春期を過ごしたトランスジェンダーの選手について、今月31日以降は女子の世界ランキング大会への出場を認めないと説明した。
世界陸連は今後1年間、ワーキンググループを設置し、トランスジェンダー選手の出場指針に関してさらに検討する予定。
コー氏は「永遠にだめだと言っているわけではない」と説明。今回の決定は、「女子カテゴリーを守るという包括的な原則に基づくもの」と述べた。
これまでの規則では、トランスジェンダーの女性は競技前の1年間、血中のテストステロン(男性ホルモン)を1リットル当たり最大5ナノモルに抑えれば、女子カテゴリーに出場できた。
コー氏によると、現時点では陸上の国際大会で競技しているトランスジェンダー選手はいないという。
コー氏は、「異なる集団間でニーズや権利が対立する場合、決断は常に困難だ。だが、何よりも女性アスリートの公平性の維持が必要だという見解は変わらない」と強調。
「身体的パフォーマンスや男性がどのように有利なのかについて、科学は今後数年間で必ず発展し、私たちの指針となるだろう。証拠が増えれば、私たちは方針を見直す。だが、最も重要なのは陸上競技における女子カテゴリーの公正だ」とした。
DSDのルールも変更
世界陸連はまた、性発達が一般と異なる性分化疾患(DSD)の選手についても、血中テストステロン値の上限の引き下げを決議した。南アフリカのキャスター・セメンヤ選手などが対象になる。
DSDの選手にとってはこれまで、国際大会の女子カテゴリーに出場するための血中テストステロン値の上限は1リットル当たり5ナノモルだった。今後はそれが同2.5ナノモルに引き下げられ、その上限を超えない状態を2年間維持することが出場の条件となる。
これまでの規定では、DSDの選手は400メートルから1マイル(約1600メートル)までの種目でのみ、出場が制限されていた。それ以外の種目で競技しているDSDの選手は暫定規定によって、新たな基準をクリアするまで半年間以上、テストステロン値が1リットル当たり2.5ナノモルを超えなければ、出場が認められる。
コー氏によると、影響を受けるDSDの選手は13人。うち7人は1マイル以上のランニング種目に、6人は400メートル未満のスプリント種目に出場している。全員、8月にブダペストで開かれる世界選手権には出場できないが、2024年パリオリンピックを含む今後の大会には、基準をクリアすれば出場できるという。
提案は「ほとんど支持得られず」
世界陸連は今年1月の時点で、トランスジェンダー女性の女子カテゴリー出場について、規定を厳しくして引き続き認める方針だった。
国際自転車競技連合(UCI)の昨年の改正と同様、血中テストステロン値を2年間、1リットル当たり2.5ナノモルまでに抑える基準を提案していた。
しかし、加盟団体や選手、コーチ、国際オリンピック委員会(IOC)、トランスジェンダー団体、人権団体などからは、「ほとんど支持を得られなかった」という。
トランスジェンダーの女性はエリートレベルの女子スポーツで競技すべきではないとする意見が多い。他方で、スポーツはもっと包括的であるべきだとの主張もある。
IOC が2021年11月に公表したトランスジェンダー選手に関する基本方針は、トランスジェンダーの選手について、女子スポーツで不当に優位だと無条件に仮定すべきではないとし、各競技組織に出場基準を決めるよう求めている。
イギリスの陸連は今年2月、誕生時に女性とされた選手たちのために女子カテゴリーを法的に守る法改正を望むと表明。すべてのトランスジェンダーの選手は、オープンカテゴリーで男子選手と競技することが認められるべきだとした。
他のスポーツでは
国際水泳連盟(FINA)は昨年6月、トランスジェンダー選手が男性の思春期の一部を経験していた場合、女子のエリートレベルの競技会への出場を認めないと決定した。それらの選手はテストステロンを減らす薬物療法を受けても、「生物学的女性よりも相対的にパフォーマンス面で有利」だとした。
FINAはまた、性自認が出生時の性別と異なる選手のため、競技会で「オープン」というカテゴリーの設置を目指すことも決めた。
英トライアスロン連盟は昨年、イギリスのスポーツ団体では初めて、トランスジェンダーの選手が出場できる「オープン」カテゴリーを新設。
同国のラグビーフットボールリーグとラグビーフットボールユニオンは、女性だけが出場する試合へのトランスジェンダーの女性の出場を禁止した。
これは、ラグビーの国際統括団体ワールドラグビーが2020年、女子のエリートレベルおよび国際レベルの試合でトランスジェンダーの女性の出場を禁止し、最初の国際スポーツ組織となったのを受けた措置。
こうした規則に対しては、差別的だとの批判も出ている。
水泳の高飛び込みの五輪金メダリスト、トム・デイリー選手(イギリス)は、トランスジェンダーの選手の女子エリートレベル大会への出場を禁じたFINAの決定について、「怒り心頭だ」と発言。「自分が何者かという理由だけで、競技に参加できないとか、好きなことをしてはならないなどと言われるのは、誰だって嫌なものだ」と述べた。