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仏は常にいませども、現(うつつ)ならぬぞあはれなる。
人の音せぬ暁に、ほのかに夢に見えたまふ。(「梁塵秘抄」)
不幸な民衆の精神的な救いは仏への帰依でした。私は神も仏も信じない人間ですが、かつての庶民の信仰のいじらしさには胸が打たれる思いがします。仏がもし存在するなら、この謡のようなひそやかな存在の仕方なのかもしれません。「あはれ」とは、しみじみと心打たれる感じを言います。必ずしも「哀れ」という悲哀感だけではなく、「しみじみと喜ばしい」ことをも言います。
仏は常にいませども、現(うつつ)ならぬぞあはれなる。
人の音せぬ暁に、ほのかに夢に見えたまふ。(「梁塵秘抄」)
不幸な民衆の精神的な救いは仏への帰依でした。私は神も仏も信じない人間ですが、かつての庶民の信仰のいじらしさには胸が打たれる思いがします。仏がもし存在するなら、この謡のようなひそやかな存在の仕方なのかもしれません。「あはれ」とは、しみじみと心打たれる感じを言います。必ずしも「哀れ」という悲哀感だけではなく、「しみじみと喜ばしい」ことをも言います。
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