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愛だって金で買える、と言った男もいた

「東海アマ」経由で知ったニュースである。
特に今日性は無いニュースだが、警察というものはこの程度のもの、ということを国民は常識にしたほうがいいだろうと思って転載した。
ついでに言えば、教師というもの、弁護士というもの、新聞記者というもの、科学者というもの、すべて専門家という連中を日本人はやたらと畏敬する傾向があるが、彼らの大半は「資格試験に通っただけの人間」「専門家としての演技に長けているだけの人間」だ、と私は思っている。
プロスポーツ選手や小説家、漫画家などのように、パフォーマンスや作品が大衆の前に常に示されている存在ならば「本物か偽物か」は明らかだが、逆に、そういう人々は今度は「誰が彼らの仕事を、どう評価するのか」という問題にさらされる。そして、たいしたこともない仕事が高く評価されたり、つまらない仕事が巨額の報酬を得たりする一方で、歴史的な偉業がほとんど無評価のまま埋もれていったりする。
まあ、そういうものである。
例によって、引用記事から大きく脱線したが、まあ、記事は記事本文に語らせればいい。





(以下引用)



愛知・警官脅迫:「内通者」揺れる県警 山口組系に漏えいか 警部脅迫で証言続々

毎日新聞 2013年06月30日 東京朝刊

脅迫事件で浮上した内通者問題
脅迫事件で浮上した内通者問題

 ◇「最高2000万円で買収したと聞いた」

 愛知県警が揺れている。暴力団捜査を担当していた警部を電話で脅したとして脅迫罪などに問われた男の公判で、「県警に内通者がいた」との証言が相次いでいるからだ。男は、指定暴力団山口組のトップ2人の出身母体である弘道会(本部・名古屋市)と密接な関係にあったとされ、日本最大の暴力団に捜査情報が漏れていた可能性が出ている。

 「警察に内通者がいると確信した」。4月23日、脅迫の被害者とされた警部は名古屋地裁の証言台で断言した。名古屋市を中心に展開する風俗店グループ「ブルー」を率いる佐藤義徳被告(55)の公判でのことだった。

 起訴状などによると、佐藤被告は、自宅新築計画が住民反対運動で進まないのは県警組織犯罪対策課にいた警部の妨害だと邪推し、2010年7〜8月、警部の自宅や携帯電話に「娘がどうなっても知らないぞ」などと5回にわたり、部下を使って脅迫電話をかけたとされる。警部は、ブルーを弘道会の資金源とみて捜査していた。

 警部の証言によると、電話を掛けてきた男は捜査班の名称を挙げ、「10日くらい前(家族を守るための)保護願を(県警に)出したでしょ」などと、県警幹部ら数人しか知らない情報を語った。「警察の動きは全て分かっているぞ、という脅しだと理解した」と警部は振り返った。

 5月28日には、元県警捜査員(10年退職)が検察側証人として出廷。風俗店への摘発情報を佐藤被告に教える代わりに、現金などを受け取るようになったことを認めた。ただ警部によると、脅迫があった当時、元捜査員は捜査情報を知る立場ではなかったという。

 「『警察の人もお金で買える。一番ランクの上の人で2000万円で買った』と(佐藤被告が)言っていた」と、佐藤被告と交際していた女性も同日の法廷で証言。複数の警察官が買収されていた可能性が浮上している。

 県警は10年に「弘道会集中取締総合対策本部」を設置し、同会ナンバー2など有力幹部を次々に逮捕、資金源とみられる企業を積極的に摘発してきた。県警幹部は「現役警察官の中に内通者がいる証拠が得られれば、捜査に乗り出す」と語気を強める。

 愛知県弁護士会で民暴委員会委員長を務める渡辺一平弁護士は「一部の警察官による癒着が、暴力団排除の機運をそぐことになりかねない。徹底的にウミを出し切ることが必要だ」と指摘する。

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究極の「日本独立手段」

「阿修羅」の或る記事のコメントに面白い発言があったので、転載する。
あまりにも単純な方法なので、まさか、と思うだろうが、案外とこれこそが究極の「日本独立手段」かもしれない。
私は国連という機関はNWOの世界支配手段の一つだ、という頭しかなかったが、逆にそれを利用することもできるわけである。

もっとも、このアイデアを実現するには、真の愛国者である総理を日本国民が持つ必要があるのだが。(笑)



(以下引用)



17. 2013年6月28日 13:40:47 : 4I0tVOr5JQ
11さん、
たった一つだけ軍事力によらず日本が独立出来る方法がある。
それは、日本の総理大臣が正式に記者会見を開き
小沢事件から3.11、不正選挙、日本で行ったアメリカの
テロを証拠、証人とともに発表し、その後国会でとりあげ
国連に訴え、世界に訴える事です。
その時、米軍の撤退を要求するのです。

まずは、小沢事件で架空検察審査会が開かれた事が
証明される事が出発点になると私は思います。







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アベノミクスによる「円安誘導」の当然の帰結としての生活苦

「ライブドアニュース」で読んで、後でブログに書こうと思っていたら、1時間後にはもうトップ記事群から消えていた。この「スポンサー(政府も含む)にとってマズイ記事は、一応広報はするが、すぐに消す」というマスコミ報道の姿勢こそが一番の問題だろう。我々の知らないうちに、ほんの僅かな間だけ現われて、消えていった重要情報がいかに多いか想像できる。

水道・電気・ガスなどが生命と生活に直結し、それらが事実上の独占事業である以上は、その値上げは庶民にとっては死活問題であるのだから、料金値上げは政府によって抑止されねばならないはずだ。だが、政府は値上げ申請をほとんどフリーパスで認めている。
これは、政府はもはや「国民収奪機関」と化していることを意味している。

福島棄民政策、原発政策などを考え併せても、この国は飢えたハイエナが群がって貪り食う、屍骸になっているように見える。






(以下引用)


8月分電気・ガス料金、2か月連続で最高水準に

 電力10社と都市ガス大手4社は27日、使用量が平均的な家庭で8月分の料金が値上がりすると発表した。

 全社値上げは5か月連続となる。円安で、火力発電に使う原油や液化天然ガス(LNG)の輸入価格が上昇しているためだ。

 7月分と比べて、電気が12~58円、ガスが29~47円、それぞれ値上がりする。東京、中部両電力の値上げ幅が大きいのは、輸入価格の上げ幅が大きいLNGを使って発電する割合が高いためだ。

 今回の値上げで、最近3か月の燃料や原料の価格変動分を反映させる毎月の料金変更が始まった2009年5月以降の最高水準を、電気は2か月連続で、ガスは4か月連続で更新する。

 東北電力と四国電力はこれとは別に、コスト増などを反映させた家庭向け電気料金の値上げを政府に申請している。両社は7月からの値上げを目指していたが、経済産業省の審査がずれ込み、9月以降となる可能性が高まっている。




(追記)他のネットニュースからも拾っておく。部分的に詳しい内容もある。こちらは朝日新聞系だと思う。なお、大阪ガスの「標準家庭で6475円程度」という発表はかなり疑わしい。うちは現在二人暮らしだが、6月のガス料金(大阪ガスである)は1万2000円ほどもあり、冬場とほとんど同じであった。つまり、値上げの結果そうなったということだろう。この調子で行くと、今年の冬はガス料金が2万円台になるのではないかと思う。そうなれば、貧困家庭ではガス利用をやめ、凍死するしかないだろう。


電気・ガス料金、8月も値上げへ 関西電力と大阪ガス


 

 関西電力大阪ガスの8月の料金が引き上げられる方向になった。電気料金は標準家庭(1カ月の使用量300kWh)で、前月より36円ほど高い7691円程度。ガス料金(同33立方メートル)は約47円高い6475円程度の見込み。原燃料の輸入価格が上がったためで、関電は6カ月連続、大ガスは5カ月連続の引き上げになる。








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プーチンの心の底の「社会主義的理想」

「田中宇の国際ニュース解説」から一部転載。
私の自慢の一つは、かなり早い段階から自分のブログでプーチン大統領(一時は首相)を高く評価していたことだ。10年ほど前は、ロシアやその政治家に好意的な記事を書くこと自体、ある意味冒険的な所業だったのである。今では、プーチンを希代の政治家として高評価する声の方がむしろ一般的だろう。
要するに、人間は顔と行動(言葉ではない)を見ればその値打ちは簡単に分かるのであり、世間の人間が他人に容易に騙されるのがむしろ不思議なくらいである。橋下に対する評価など、最初から私は最悪の評価をしており、彼に関してだけはいくらでも悪口が言え、彼も「期待」に違わずその私の言葉を証明する愚行悪行をし続けてきた。(にも関わらず、マスコミは彼を擁護し続け、また一般大衆の中にも彼を支持する馬鹿がまだけっこういるのだが)あるいは鳩山由紀夫に対する世間の評価など、彼の辞任当時は最悪であり、彼を支持した人間は、私以外にはほとんどいなかった記憶がある。その鳩山由紀夫への評価もずいぶん上がってきたが、それには私のような無名ブログも「貧者の一灯」くらいの貢献はしたと思う。
あるいは、人間ではないが、日本共産党への好意的評価というものも、私以外の他のブログではほとんど見ないが、日本共産党への評価も直近の都議選を見ると、だいぶ変わってきたようだ。そのうちに私が常々主張してきた「漸進的社会主義」あるいは「社会主義」そのものへの評価も変わってくるのではないか。
何度も言うが、個人や一部の集団の利益よりも社会全体としての利益を優先する、というのが社会主義であり、それは「不当利得」を得ている人間以外は反対する要素は無いものなのである。
高度成長期の日本が「世界で唯一成功した社会主義国家」とからかわれていたが、それは冗談でも何でもなく、真実だったのである。そして、現在の日本が格差と貧困に苦しんでいるのは、その「社会主義」的政策、をどんどん切り捨ててきたからなのである。
またしても引用記事とは無関係の前置きになったが、まあ、それがこの駄弁ブログの持ち味と許してほしい。私は思いつくままに書いているだけで、こうした文章が嫌いな人は読まなければいいだけだ。

プーチンがなぜあれほど立派な政治家であるのかというと、実はその心の底にはまだ社会主義の理想が残っているからだと私は考えている。だからこそ彼はユダ金一党(政治家や官僚も含む)をロシアから追い出し、彼らによるロシア崩壊を防ぐことができたのである。

さて、日本の政治はどうだろうか。




(以下引用)



6月17日からのG8サミットでは、米英がシリアのアサド政権に対する非難文を共同声明に盛り込もうとしたが、ロシアのプーチンに強く反対され、シリア内戦を終わらせるための和平会議の開催目標のみが盛り込まれ、アサドに対する言及は全くなかった。米欧以外の途上諸国の多く(アラブ以外)は、米欧によるアサド転覆の試みに反対しており、ロシアの反対論は国際的に広く支持されている。(G8 Backs Syria Peace Talks, Doesn't Demand Regime Change

 ロシアは、シリアに軍艦を寄港させたり迎撃ミサイルを売ることで、米欧がシリアと戦争するならシリアの肩を持つ姿勢を打ち出し、戦争抑止に一役買っている。ロシアはソ連崩壊以来、国際社会での力を失い、米国より劣った存在になっていたが、プーチンは自国を米国と肩を並べる存在に戻したい。シリアをめぐる米露の駆け引きは、プーチンが野望を実現するための舞台となっている。(Russia Flexing Its Muscles With Syria And The World Takes Notice

 イラク侵攻の時、ロシアはほとんど何もできなかった。リビア侵攻の時、ロシアは戦後処理の会議に呼ばれもしなかった。しかし今回シリアでは、ロシアは米国と肩を並べている。ロシアは、米国が中東で引き起こしている悲喜劇の二枚目役である。中国も、ロシアより目立たないが、中東外交に必須の存在に成り上がっている。(露中主導になるシリア問題の解決

 ブッシュ政権は、大量破壊兵器を持っていないイラクに本気で侵攻してしまい、米国の軍事財政力や国際信用を浪費する、米国にとっての悲劇を挙行した。オバマ政権は、大量破壊兵器(化学兵器)の使用者を(間抜けにも、もしくは意図的に?)取り違え、シリアに侵攻するようなことを言いつつ実はせず、米国の国際信用をますます落としている(財政力はすでに落ち、軍事力はこれ以上使いたくない)。おまけに、米国のライバルであるプーチンのロシアが、米国よりも正しくて国際政治力が強いことが示されてしまった。二度目は、喜劇というより茶番劇である(もともとマルクスも、喜劇という言葉を風刺的に使ったようだが)。シリアやイラクの地元の人々にとっては、1度目も2度目も大惨事の悲劇である。(Brzezinksi: Obama Syria plan is `chaos, baffling, a mess, tragedy'

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A層とB層をつなぐ新しいマスコミを作ること

「泉の波立ち」から転載。
記事自体面白いが、私は表マスコミとネットをつなぐ新しいメディアの創出を提唱しているので、その参考にもなる。ここに書かれたこと、つまり、ジャーナリストではなく、単なるウェブ技術者をネット雑誌編集者にするということの愚かしさは言うまでもないが、では有名ジャーナリストを編集長にすればいいかというと、それも私は疑問である。つまり、表マスコミの慣習や常識に毒された人間では、新しいジャーナリズムを創出することはできないだろう、と思う。
私としては南堂氏自身がそういう新しいメディア、あるいはウェブ雑誌を作ってみてはどうかと思う。毎日のように多くの社会事象を検証し、精力的に記事を書く「知的体力」のある人だから、本業の傍ら、そういう副業もできるだろうし、それは社会的に意義があることだ。毒舌家で偽悪家めいたところはあるが、彼自身、リベラル派に近いと私は見ているので、そういうリベラル派のウェブ雑誌編集長には適任だろう。
あるいは内田樹あたり、大学を退官した後の仕事としてそういうウェブ雑誌編集長になるのもいいのではないだろうか。日本には、A層とB層をつなぎ、B層の意識を引き上げる、そういう新しいマスコミが必要だ。



(以下引用)


2013年06月20日
◆ ハフィントンポストはなぜ失敗したか?
 鳴り物入りで始まったハフィントンポストは、どうやら失敗したようだ。ではなぜ、失敗したのか?

 ──

 鳴り物入りで始まったハフィントンポストは、どうやら失敗したようだ。記事を紹介しよう。
 《 「ハフィントン」オープン1か月 アクセス伸び悩み目立つ 》
米有名ブログサイト「ハフィントン・ポスト」(ハフポ)と朝日新聞社との合弁でスタートした「ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン」開設から1か月経ち、失速ぶりを指摘する声が増えてきた。
 サイト開設直後は多くのアクセスを集めた模様だが、5月中旬以降は開設時の半分以下で推移している。
 ヤフーのリアルタイム検索でハフポが話題になった回数を調べてみると、5月15日にはサイト立ちあげ関連の話題で300件以上ヒットしたが、5月25日以降は100~50件。やはり同様の傾向だ。
独自記事ではない外部からの記事の配信が目立つ上に、市況のニュースを大きく取り上げる割には続報が乏しいといった、「ちぐはぐ」ぶりを指摘する声もある。
 「ブログ記事」も目玉のひとつに掲げており、安倍晋三首相をはじめとする著名人を含めて70人以上が参加しているが、実際に更新されているブログの記事数は1日に5本程度だ。
( → J-CAST )
 《 ハフィントンポストとかほんと何だよ 》
 あんだけ偉そうなこと言ってて、あのハフィントンポスト日本版のサイトはなんなんだよ。更新も少なければ記事も「ここでしか読めない」ネタもない、毎日何かあるかと思って訪れちゃった私が馬鹿みたいじゃないですか。
 それにしても、ハフィントンポストこのやろう。期待だけさせてクソみたいなサイト作りやがって。これではネットヲッチの素材にすらなりません。
( → やまもといちろうBLOG )
 では、どうしてこういうひどい状況になったのか? 実際の記事に即して、考察してみよう。

 ──

 (1) 経済
 経済の記事として、次の記事がある。
  → 日本企業のグローバル化は待ったなし
  → ユニクロ「世界同一賃金」が示すのは日本型雇用システムの終焉
 呆れる。ユニクロの社長と同じことを言っている。「グローバル化時代だから日本人が賃下げになるのは当然だ」というふうに。
 しかしこのことが成立しないことは、「為替レート」という概念を理解するだけで簡単にわかる。
 仮に著者の見解が正しければ、円のレートが下がり、途上国のレートが上がり、結果的に賃金水準が近づいていく。ところが現実には、そうなっていない。ということは、先進国では先進国なりに、独自の先端技術によって高い価値創造をなしている、ということだ。
 こんな経済学のイロハもわからないで、さんざん批判されたユニクロの社長と同じことを主張しているんだから、世間知らずにもほどがある。(周回遅れ。)
 
 どうしてこれほど無能な人間が、デタラメな経済論を書いて、掲載されるのか? そのことが不思議だったが、次のページを見て、わかった。
  → ブロガー一覧 (あいうえお順)
 「あいうえお順」をクリックすると一覧が出る。それを見ると、ブロガー一覧が出るが、ひどいものだ。経済学に関する限り、まともな人間は一人もいない。いくらか目立つのは、アゴラや BLOGOS に書いている二流の人間だけだ。そういう無能な人間を、よりによって選択して、あえて書かせている。それも、ユニクロ擁護というような、保守派の理屈を。
 どうせなら、保守派であっても、池田信夫でも呼べばいいのだが、そうすることもできずに、無能な保守派ばかりを呼ぶ。これでは結局、次のようになる。
 「ハフィントンポストは、アゴラや BLOGOS の劣化版である」
 あまりにも馬鹿げている。

 では、どうして、こういうことが起こったのか? 朝日やハフィントンポストは、リベラルが基調なのだから、リベラルな論者を選べばいいのだ。なのに、どうして、よりによって、アゴラや BLOGOS という保守派の論客ばかりを選ぶのか? しかも、保守派のなかでも無能な人々ばかりを?
 それが疑問だったが、編集長を見ると、わかった。
  → ハフィントン・ポスト 編集長にインタビュー
 この編集長の経歴はこうだ。
 東京理科大学工学部経営工学卒業後、ライブドアでポータルサイトの統括、コンデナストで日本版「WIRED」のウェブエディター、グリーで「GREE ニュース」等などを担当。
( → プロフィル )
 一読してわかる通り、根っからのウェブ屋だ。もちろん、政治や社会や経済などの素養は素人同然だ。だから、経済学で何が正しいかも理解できず、単に「アゴラや BLOGOS で活躍している論客を選ぼう」と考えたのだろう。
 これを一言でいえば、「編集機能の喪失」だ。
 ハフィントンポストは、本来は米国のハフィントンポストの真似をしようとしたはずだ。ところがどういうわけか、そこには朝日新聞社の社員のような、政治や社会や経済の素養を持つ人物がいなかった。編集長に素養がないだけでなく、編集部員にも素養がなかった。新聞や雑誌としての編集機能はなくて、単にウェブ屋の機能だけがあった。そのあげく、先人であるアゴラや BLOGOS の真似をしようとした。結果的に、独自の記事はなく、リベラルな記事もなく、保守派のゴミ記事ばかりになった。つまり、アゴラや BLOGOS の劣化版になった。

 ここが最大の「がっかり」の点だ。なぜなら、たいていの人は、次のようなものを期待したはずだからだ。
 「アゴラや BLOGOS と違って、リベラルな見解」
 「優秀な編集部員によって精選された記事」
 現実には、こういうものは現れなかった。その逆に、次のようなものが現れた。
 「アゴラや BLOGOS のような保守派の見解」
 「無知な編集部員によって拾われたゴミ記事」
 その典型が、冒頭のような記事だ。つまり、
 「グローバル時代には、日本人の賃金が途上国並みに賃下げされるのは当然だ」
 というユニクロの社長みたいな見解だ。経済学に無知なユニクロの社長がこういう見解を唱えるのは、「素人の無知」で笑いものにすれば済むが、ハフィントンポストのようなウェブ媒体が同じような見解を堂々と掲載すれば、ハフィントンポストそのものが馬鹿にされるだけだ。
 それが現状である。もちろん、まともな人は、いちいち読んだりはしない。経済に関する限り、ゴミ記事ばかりである、ということは明白だろう。
 そして、その理由は、編集部に人材を欠いていることだ。

 (2) 政治
 ゴミ記事ばかりである証拠として、次の記事も紹介しておこう。これは政治の記事だが。
  → 日本版NIHに期待すること( 2013-06-20 )
 まったく内容稀薄なゴミ記事だ。「グローバルな視点をもて」という一言だけを書いている。具体性が何もない。これを読んでも、何をどうすればいいのか、さっぱりわからないだろう。もしかしたら、何か重要なことを示唆しているのかもしれないが、文章を読んだ限りでは、何も伝わってこない。ゴミ記事の典型だ。

 どうせなら、同じテーマでも、次のような文章を書くべきだろう。
  → 日本版 NIH とバイオクラスター (★)
 読めばわかるように、ここには「何をどうするか」という具体的な提言がある。
 こういう具体的な提言があって初めて、まともな論拠をなる。
 なのに、ハフィントンポストは、有益なブログ記事を掲載しないで、ゴミ記事ばかりを掲載している。まったくひどいものだ。
( ※ 「日本版 NIH 」について話題にするのだから、「日本版 NIH 」という語で Google 検索すれば、いくつかページがヒットする。上記の(★)もかなり上位にヒットする。報道や解説を除いたオピニオンでは、この記事が最上位だ。だから、Google 検索するだけで、有力なオピニオンが見つかる。それを掲載すればいいのに、そうすることすらできず、よりによってゴミ記事を掲載する。……つまり、ググるという知恵さえないことになる。)
 
 では、どうして、こういうひどいことになったのか? それは、次のシステムによる。
 「掲載するブログ記事の筆者を、あらかじめ固定する。すべての優れた論者の記事から精選するのではなく、まず日本人全体の 100万分の1ぐらいに範囲を限定した上で、彼らの記事だけを掲載する」
 こういうシステムを取る。これでは、まともな記事を精選できるはずがない。精選する対象が、もともと全体 100万分の1しかないからだ。これでは、まともな記事を選べるはずがない。
 かくて、上の二つの記事の例からもわかるように、「駄目な方の記事が掲載されて、まともな方の記事が掲載されない」というふうになる。
 記事の掲載システムそのものが、根本的に狂っているわけだ。

 (3) 地球環境
 では、外部の論者から記事を集めればいいのではないか? そう思うだろう。ところが、それはできないようだ。「原則、拒否」という立場を取っているようだ。そのことは、私が次の記事で確認した。
  → 地球環境の変化(緑地減少)を画像で見る (¶)

 この記事は、私はハフィントンポストに「転載してください」というふうに申し出た。ところがハフィントンポストはかなり時間を経てから、「ご遠慮します」という返事を寄越した。ま、そのときは、「興味がないのかな」と私は思った。ところが、それから数日たって、まったく同じテーマで、次の記事(ゴミ記事)が出た。
  → 地球環境「28年の変化」早送りで:Google Earth 動画7選

 このゴミ記事を掲載することは、何重もの意味で、問題点がある。
  ・ Google のページが話題になったのは、日本で 5月10日。
  ・ 私がハフィントンポストに申し出たのも、5月10日の夜。
  ・ なのに、掲載日は 5月14日であり、あまりにも遅い。
  ・ 米国版で 5月09日の記事を、5日遅れで翻訳しただけ。
  ・ 掲載内容は、他サイトが 5月10日に出したものと同様。
  ・ その内容は、Google のサイトのパクリ。独自情報はない。
  
 要するに、「無内容のパクリを五日遅れで出した」というだけの記事だ。完全なるゴミである。(五日前の古新聞みたいなもの。いや、五日前の広告みたいなもの。)
 どうせなら、Google の公開した情報よりもはるかに豊富な情報を、多数の画像(見て楽しい)といっしょに出したページ( → 上記の ¶)を、5月11日の時点で掲載すれば良かったのだ。そうすれば、「内容豊富な情報を、最速で掲載した」というふうになるだろう。このことが米国のハフィントンポストでも話題になって、「日本のハフィントンポストから米国のハフィントンポストへ翻訳される」という栄誉に浴したかもしれない。
 ハフィントンポスト(日本版)は、そうすることができたのだ。なのに、その機会をあえて捨てて、かわりに、ゴミ記事を掲載した。
 なぜか? 理由はやはり、(1)(2) だろう。つまり、
  ・ 編集者にまともな人材がいない
  ・ ブロガーを先に決めて固定している(外部の著者を拒否)
 つまり、自分で自分の手を縛っている状況だ。どんなに優れた記事が寄せられても、自分の立てた原則に縛られて、外部の記事を掲載できない。かわりに、内部で書かれたゴミ記事ばかりを掲載する。自分で自分を慰めて快感に耽っているようなものだ。見苦しい。

 (4) 人類の進化
 それでも、どんなにゴミ記事だらけであったとしても、嘘を書かなければ、まだマシである。
 ところが現実には、嘘を書く。次の記事だ。
  → 「10万年後の人類の顔」を予測(画像)
 簡単に言えば、10万年後の人類は、次の特徴を持つと予想されている。
  ・ 目が極端に大きい。
  ・ 脳が大幅に拡大する。
 書いたのは「計算ゲノミクス」の学者だということだから、勝手にゲノムの進化を想像したのだろう。
 しかし、進化論や生物学を理解すれば、このような進化はありえない、とわかる。詳しい説明は別項ですることにして、とりあえず、私は次のコメントを投稿した。
 たいていの哺乳類は夜行性だが、目が大きくなったりはしない。網膜レベルで光の感度が高い生物はいるが、目を大きくするという適応はありえない。 / また、瞳が大きくなれば、像がぼやける。 / また、こんなに大きな眼球がうまく頭蓋に収まりにくい。 / また、重量からしても、運動のときの慣性のせいで、眼球が目玉からはみだしてしまいそうだ。それを防ぐには神経などの構造を作り替える必要があるが、無理。 / 以上のすべてにより、こんなに大きな眼球は生物学的に成立しない。
 ところが、このコメントは、掲載を拒否された。ま、これが掲載されたら、記事の趣旨は全否定されるから、掲載拒否したがる気持ちはわからなくもない。
 だが、学術的な内容の記事について、「反論を一切拒否する」というのでは、学術的に公正さを欠いていることになる。

 このことから、この記事の趣旨がはっきりとわかる。
 「真偽には関係なく、単に面白おかしい記事を掲載して、受けを狙う。そして、論旨の欠点を突かれたら、その批判を徹底的に無視する」
 つまり、学術的な正確さなんかはまったく無視して、おもしろおかしい話題でウケだけを狙っているのだ。
 この意味では、ハフィントンポストは、虚構新聞やボーガスニュースと同様のものだ、と考えていいだろう。
 また、ギガジンやガジェット通信に似ているとも言えるが、これら二つは、「批判コメントは拒否して、肯定コメントだけを掲載する」というような差別行為はしていない。その意味で、これら二つは、ハフィントンポストほど、うさんくさくはない。

 とにかく、ハフィントンポストのコメントは、承認制であるがゆえに、編集部の操作が入っており、公正さが望めない。どうせならば、はてなブックマークのページのコメントでも見た方がいいだろう。たとえば、これだ。
  → 上記ページ の はてなブックマーク
 
 ここには、批判的なコメントも掲載されている。それを読めば、ハフィントンポストの記事が胡散臭い、ということはわかる。
 一方、ハフィントンポストの記事のコメント欄には、「アニメふうだ」というような、アニメの話題ばかりが掲載されている。ゴミ・コメントばかり。
 記事もコメントもゴミばかりとなり、全体がゴミの山となっている。
 こうしてハフィントンポストは、どんどんゴミのかたまりとなっていく。誰も近づかなくなるのは、当然のことだろう。

( ※ Gunosy か、はてなブックマークか、Vingow でも見ている方がマシだ。)
 
________________________________________

 [ 付記1 ]
 本項では、ハフィントンポストを改善するための提言は、特にしない。
 だが、欠点の指摘は具体的にきちんとやったので、それを裏返せば提言になる、とわかるはずだ。
 だから、いちいち提言の形では述べない。日本語が読めれば、中学生でもわかるはずだからだ。(文章を裏返すだけでいい。)
 
 [ 付記2 ]
 それとは別に、私の当初の期待を述べておこう。それは、こうだった。
 「アゴラや BLOGOS のような保守系限定の論壇ではなくて、リベラルを含めた論壇」
 アゴラや BLOGOS にあるのは、「グローバル時代には低賃金で労働者を虐待するのが当然だ」とか、「企業の利益を拡大することこそ、日本経済を強化する」とか、古臭い保守派の意見ばかりだった。そこにはマクロ経済学の理論はなく、単に「市場原理で状況は改善する」という素朴な素人じみた発想の見解があるばかりだった。
 そこで、まともなマクロ経済学の論拠を出して、安倍内閣や野田内閣の難点を指摘し、さらにユニクロ社長ふうの素人論議も打破する……というようなことを期待したものだった。
 しかるに、現実には、先に述べたようになった。(アゴラや BLOGOS の劣化版になった。)……「がっかり」の一言に尽きる。

 [ 付記3 ]
 ハフィントンポストはせめて、WEBRONZA の論者でも呼べば良かったのにね。現時点では、WEBRONZA の方がはるかに優れている。
( ※ WEBRONZA は、有料なのが痛いので、読む気になれないが。でもまあ、たいした金額ではないので、読みたい人には、有料でも金を払う価値はある。ゴミばかりのハフィントンポスト、アゴラ、BLOGOS に比べれば、WEBRONZA はずっとマシだ。朝日新聞社の社員が編集すれば、ずっとマシになる、という例ですね。)
( ※ ただし、「金を取るせいで失敗する」という商売下手も、朝日らしい。せめて無料記事をたくさん掲載して、読者を集めれば、商業的にも成功しただろうに。evernote や Dropbox だって、無料ユーザーをたくさん集めたから、有料ユーザーが集まる。そのことも理解できないで、有料ユーザーばかりを集めたがるのが、WEBRONZA の商業的失敗の理由。)
( ※ WEBRONZA は、有料記事の前半だけ掲載しているようだが、せめて冒頭に「要旨」を掲載するべきだ。中身もろくにわからなければ、金を払う気になれないでしょうが。「要旨」を見て、「なるほど」と思ったら、詳しい内容を知るために金を払う。……これが正しいあり方だ。今の方式では、単に読者が逃げるだけだ。ホントに商売下手ですね。)




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コーポラティズム対民衆の「不可能」な戦い

「神州の泉」から転載。
現在のアメリカを、近代史の大きな流れの中で捉えた好文章であり、私自身の参考として保存しておく。
もちろん、書かれた内容には私にとって新しい情報や知識は無いが、まとめ方が簡にして要を得ているので、「これからの世界」について私自身が考察(なぜかいきなり「絞殺」と変換された。不吉な!)するためのいい叩き台になりそうだ、と思ったわけだ。

21世紀は「1%対99%」の戦いになるだろうが、それは「コーポラティズム対民衆」の戦いでもある。で、前者の場合は、かつては「資本主義対社会主義(または共産主義)」という明確な対立軸があったのだが、ソ連消滅によって社会主義(または共産主義)は敗北したことになっている。そして、奇妙なことにネオコンなどの富裕層の手下連中が一部の論者にかかると「共産主義者」扱いされるという有様である。(神州の泉氏も「共産主義」に関しては「アナーキスト」や「官僚主義」と区別がついていないように見える。本来の「共産主義」とは別の文脈で「共産主義」というレッテルがネット論者の間で使われているわけだ。もちろん、ここには「共産主義はウォール街が作った」というネット神話が底流しているのだろう。もちろん、レーニンへの欧米資本家の資金援助は事実だろうが、それはユダヤの政治支配手法の基本である「両賭け」か、あるいは単に「帝政ロシア解体」とその後の資本主義化が目的であり、それによって「共産主義はウォール街が作った」と言うのは拡大解釈の度が過ぎるだろう。)いずれにせよ、現在は「共産主義対資本主義」という図式は消滅した、と言えるだろう。だが、「社会主義対資本主義」の戦いはまだこれからも続く、というのが私の見方だ。社会主義と共産主義を同一視する人々には意味不明の話かもしれないが。
さて、「コーポラティズム対民衆」の戦いは、ある意味では「資本主義対社会主義」の戦いよりも困難だ。なぜなら、現代社会では、民衆の生活物資はほとんどが企業から提供(もちろん、有料提供、ということだ)されているからだ。いわば、兵站が敵に抑えられた状態で長期戦を戦うという不可能な戦いなのである。この戦いが本当に不可能か、あるいは勝つ手段がどこかにあるか、というのが私の今後の考察課題の一つになりそうである。まあ、老後のボケ防止のための頭の体操にはなるだろう。


(以下引用)




2013年6月20日 (木)



9・11以降、米国はプルトノミー社会への変移でジョン・ロックの建国精神を放棄した






題名にいきなり、「プルトノミー」とか「ジョン・ロック」という、馴染みのないカタカナを使用して申し訳ないと思っている。

書いている神州の泉自身もこれらの言葉には正直馴染みがない。むしろ、普段は全く意識もせず、考えてもいない類(たぐい)のワードと言ってもよい。

とくにプルトノミー(Plutonomy)なる言葉は、反骨の映画監督・マイケル・ムーアの『キャピタリズム マネーは踊る~』を観て初めて知った。

これは2009年に公開された映画だが、この中に「プルトノミー」という聞いたこともない言葉が出てくる。

それは1%の超リッチな金融寡頭勢力が、95%の底辺層の持つ全財産よりも多い富を占有し、そのことによって独占的に利益を得る社会のことをいうそうである。

映画では、シティバンクが超優良顧客に配ったペーパーに、「現在のアメリカの体制は民主主義ではなくプルトノミーだ」と書いてあったそうである。

つまり、アメリカの金融寡頭勢力は、自分たちが確立した経済的な人民支配体制をプルトノミーなる用語で定義付けていたのである。

プルトノミーという言葉は、ギリシア語で「富」を表す「プルトン」と、英語で経済を表す「エコノミー」の合成語だそうである。

ムーアは、金融寡頭勢力は労働者に対して一片の愛情ももたず、ひたすら金(かね)だけを愛していて、しかも彼らは自分の持ち金だけではなく、貧しい労働者の金にも尽きせぬ食指を伸ばしているという意味のことを言っている。

これは強欲資本主義の行き着いた結果である。富める者はますます富み、持たざる者は搾取されてますます貧しくなっていく。

最悪の二極分化構造ができあがってきたが、これがアメリカ社会の現実である。

さて、次はジョン・ロックだが、彼は18世紀イギリスの啓蒙主義・経験哲学の大御所であり、民主主義の理論的開祖のように思われている超有名人である。

二十歳くらいのときに岩波文庫の小さな文字で書かれているロックの「統治二論」を読んだ記憶はあるが、ほとんど覚えていない。

ただ、これがアメリカ建国精神、つまりアメリカ独立宣言の原理的な思想になっているということはうろ覚えに残っている。

むずかしいことを言うつもりはさらさらないのだが、マイケル・ムーアは映画『キャピタリズム マネーは踊る~』で、じつに重要なことを語っているので、その部分だけをここに紹介する。

現在のアメリカの超格差社会=プルトノミーは、1980年代のレーガン政権時代から続いたフリードマン主義(新自由主義)が社会出力となった総体的な負の結果である。

『やじうまUSAウォッチ』さんの『キャピタリズム マネーは踊る~』に関するとても優れた記事を参照して以下を書く。

ムーアは、アメリカ現下の惨状は、ニューディール政策を始めたルーズベルト大統領最後の演説の思想と全く食い違っていると嘆く。

ルーズベルトは、アメリカ憲法で保障された「幸福の追求」をより具体的に実現するための新しい権利章典の提唱を言挙げした。その演説の要点は次の権利である。以下、上記サイトから転載させていただく。

 ○社会に貢献し、正当な報酬を得られる仕事を持つ権利

 ○充分な食事、衣料、休暇を得る権利

 ○農家が農業で適正に暮らせる権利

 ○大手、中小を問わず、ビジネスにおいて不公平な競争や独占の妨害を受けない権利

 ○すべての世帯が適正な家を持てる権利

 ○適正な医療を受け、健康に暮らせる権利

 ○老齢、病気、事故、失業による経済的な危機から守られる権利

 ○良い教育を受ける権利

この演説の後すぐにルーズベルトは逝去し、この権利章典は実現されなかった。
ここに書かれてあることと、今のアメリカには彼我の懸隔(けんかく)が横たわっている。


この時点から半世紀以上も経って、アメリカという国家そのものは、少数の金融寡頭勢力に簒奪され、アメリカ人のマジョリティは文字通り急速な奴隷化に向かっていて、完全なディストピアに変わり果てている。

ムーアはどうやらこの惨状が、アメリカの国策の変遷というよりも、キャピタリズム(資本主義)の存在そのものにあるのではないかと、強い懐疑を持ったようだ。

神州の泉もまったく同じ感想を持つ。
コントロールの効かない資本の躍動は、人間の生命や環境、国家の多様性を脅かす。

アメリカという国はレーガン政権以降、フリードマン主義の台頭に反比例して国家としての内実を徐々に失い、現在は多国籍企業に母屋を乗っ取られた。
それは人民統治(デモクラシー)から企業統治(コーポレートクラシー)への変貌である。

従って、利潤追求の原理だけを究極的に作動させるだけの、企業のための社会統治原理しか働かない構造ができあがり、そこには肝心の人間の暮らしが存在しなくなっている。

かつては世界中が憧れた豊かさと自由の国は、今や最も貧乏で不自由な国となっている。

企業体が国家を掌握し、人間が完全に疎外された統治構造に変化した結果、そこには人々の幸福追求の空間はすっかり消えてしまっている。

これはルーズベルトが指向した幸福追求の権利とは完全に逆ベクトルである。
それのみか、コーポラティズムはその自己保存本能をますます強めて、アメリカ国民をがんじがらめに弾圧し始めている。

9・11以降、アメリカがテロ対策として敷いた愛国者法(Patriot Act)という翼賛体制は、テロとは無関係に国民の移動の自由や言論の自由を縛るために機能している。

このムーアの話題が、上述したジョン・ロックと何の関係があるのか!?と思われるだろうが、上記に掲げた権利章典の理想はジョン・ロックが「統治二論」で叙述した次の三つの権利をベースに成り立っている。


1、 人はすべて創造主によって平等に創られ、それぞれ譲るべからざる権利を持っている。

2、 政府はこの権利を保障するために、被統治者(人民)の同意によって設けられたものであること。

3、 その自然なる結果として、政府を変更することは人民の権利であること。

(以上の3項目は、岩波文庫のロック著『市民政府論』を訳出した鵜飼信成氏の解説から引用した。)

神州の泉は、メイフラワー号で大陸にやってきた清教徒たちが北米原住民を大虐殺して土地を奪い、奴隷を使役してアメリカを建国した経緯に究極の胡散臭さを見ている。

しかし、それはそれとして、アメリカ建国史にはジョン・ロックの理想を活かそうとした思いがあったことは少なくとも事実である。
しかし当時のアメリカと現在では全く別の世界になってしまっている。

今のアメリカは、他世界を永久に支配・奴隷化して資本の利益だけを求め続ける冷酷な多国籍企業の牙城と化している。

彼らの自己保存・生存欲求は9・11以降、アメリカを完全な監視社会に変貌させ、文字通りオーウェルの「1984年」を実現させてしまっている。

ジョン・ロックの良し悪しは別として、アメリカは彼の理想とは全く異なる、人間不在のモンスター国家に変貌した。

(※推奨 もし『キャピタリズム マネーは踊る~』の概要を知りたければ、『やじうまUSAウォッチ』さんの記事をご覧になっていただきたい。とても正確にこの映画の内容を捉えています。)






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自民党中央執行部と地方議会の乖離

「velvet morning」から転載。拡散、および保存目的であり、解説はしない。
感想を一つだけ。

東京新聞は偉い!






(以下引用)


東京、山梨、大阪を除く四十四道府県議会がTPP交渉参加反対を決議 ― 2013/06/18 19:02





環太平洋連携協定(TPP)への交渉参加に関し全国の四十四道府県議会が、交渉参加に反対か慎重の意見書・決議案を可決していると、東京新聞でやっています。


以下引用



環太平洋連携協定(TPP)への交渉参加に関し全国の四十四道府県議会が、交渉参加に反対か慎重の意見書・決議案を可決していることが本紙の取材で分かった。全て自民党および同党系議員が賛成した。同党は参院選公約などでTPPの重要性を訴えるが、足元の地方議員は意見書などをもとに全く違う意思表示をしていたことになる。公約を党本部と地方が都合よく使い分け、二股をかける選挙戦となりかねない。 (中根政人)


 意見書・決議は二〇一〇年十月、当時の菅直人首相が参加検討を表明してから議決が始まった。安倍政権誕生後は二十四道府県が可決。このうち十九道府県は、安倍晋三首相が交渉参加を表明した三月十五日以降だった。


 北海道は、反対の決議と意見書をそれぞれ可決。「米国や豪州との競争力の格差は極めて大きく(TPP参加は)地域社会の崩壊につながる」と政府を痛烈に批判している。慎重対応を求めた意見書のうち、群馬は県産品のコンニャクなどを交渉上の重要品目に位置付けるよう求めている。


 意見書・決議案を可決していないのは都市部の東京、大阪と、交渉上の重要品目でない果物が中心作物の山梨の三都府県だけ。TPP推進を求める議決は一つもない。


 自民党は参院選公約で、TPPについて「守るべきものは守る」とした上で、参加が国益にかなうことを明記する方針。しかし今月四日の党全国幹事長会議では、北海道連や高知県連などが政府方針に強い懸念を示すなど、中央と地方のずれが表面化している。


 今のままでは自民党は参院選で、幹部が公約に沿ってTPPの重要性を訴え、地方議員が意見書や決議に沿って反対を訴えるという、有権者には極めて分かりにくい展開となってしまう。


 日本大学の岩井奉信教授(政治学)は「党本部方針に沿わない意見書に地方議会の自民会派が賛成するのは党内の政策調整が不十分な証拠。中央と地方が食い違ったままでは公約の整合性を厳しく問われる」と指摘している。


<地方議会の意見書・決議> 意見書は、地方議会が国の政策などについて意思をまとめ、議決した文書。地方自治法で、国会や関係行政機関に提出できると定められている。決議も、議会の意思を対外的に示すために行う議会の議決だが、可決した内容を国会などには提出しない。

以上引用

tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013061702000146.html



というわけで、44都道府県が、現実的にTPPに反対しているのです。


しかも、自民党の地方議員が反対している。


それなのに、現執行部が、TPP交渉参加と言う。
安倍や石破は、はっきりと、TPPに賛成であると発言している。
麻生太郎は、日本の水道を民営化し、外資に売り飛ばすとCSISの講演で発言しています。


それで、TPPに反対している人たちを左翼呼ばわりです。











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空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
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