この部分に関しては、トランプの人物像描写や大統領になった場合の予測が当たる可能性がわりと高いのではないか。トランプが他の政治家と違うのは、実は「正直」なところなのかもしれない。つまり、言ったことをそのとおりにやる人間だ、ということだ。
彼の言葉が何であろうと、思ったとおりのことを言い、言ったことは実行する、とすれば、彼があれほど反発され、同時に多くの国民に支持されて大統領になったのは、奇跡的であると同時に、当然のことでもあったわけだ。民主主義というのは、言ったとおりに実行する政治家がいて初めて実現することになるのだから、トランプこそは史上稀な、「本物の民主主義的大統領」なのかもしれない。そのキャラが嫌いだ、というだけで判断すべきではないだろう。
そして、トランプの政治的発言に関して言えば、私はその発言の中で「これは間違いだ」と確言できるものはほとんど知らない。日本に米軍駐留費増大を求めることも、おそらくその通りにしてくるだろう。そして、日本がそれを拒否すれば、米軍基地を日本から撤退する、ということも実行する可能性は高い。つまり、日本は戦後初めて軍事的な独立国家になれるのである。安倍政権にその覚悟があれば、それは実現するだろう。
だから、世界秩序を全部、ひっくり返す。日本との関係も、まさに昔、鳩山由紀夫さんが言っていた「駐留なき安保」になる可能性もある。要するに、米軍が全部、退いちゃうんです。
「なんで、オレたちがあいつらのことを命を懸けて護らなきゃいけないの。自分の身を護りたいのなら、勝手に護ったら。アメリカにとって有害だということだったら出て行くけれど、アメリカ本土やグアムにいるよ」という感じになりますよ。
「TPPもやめる。日本のクルマにも家電にも思い切り関税をかけてやる。アメリカだけ良ければいいんだ。悔しければ、力をつけろ」と。こういう方針ですよ。だから、アメリカ人は拍手喝采なんですよ。
(以下引用)
アメリカの立ち位置が180度変わる
邦丸:現在は民主党、共和党それぞれの指名候補争いをしているわけですね。民主党は、バーニー・サンダースはお終いか、やはりヒラリー・クリントンかと言われています。共和党の指名候補では、トランプの勢いが強い。
7月にそれぞれが決着しますが、仮に共和党の指名候補がトランプになった場合、ヒラリー・クリントンはおそらく指名はされるだろうけれど、今はもうバーニー・サンダースよりもトランプへの攻撃が始まっているということは、そうとう危機感を感じているということですか。
佐藤:その通りだと思います。要するに、既得権益を全部ひっくり返されるという話ですから。それと同時に、国際政治も変えてしまいます。
要するに、トランプはアメリカ孤立主義者なんですよ。激しいことを言うんだけれども、「ルーズベルト大統領が真珠湾奇襲の後、第2次世界大戦に突入したのが間違いだった。ナチスが台頭していようが、日本が出てこようが、放っておけばよかった。アメリカはアメリカの繁栄だけを考えていればよかった。もっとアメリカを豊かにしよう。偉大なアメリカにしよう。アメリカ人の生活さえ良くなればいいんだ。あとは知ったことじゃない」という理屈です。
アメリカが石油を手に入れるのであれば、「アメリカのそばにあるベネズエラが生意気だ。少しシメて、あそこから石油をとってくるか」と、こういう感じですよ。
だから、意外と平和外交になる。
邦丸:平和外交!
佐藤:だから、中国もロシアも大歓迎。
邦丸:アメリカが出てこなくなるわけですものね。
佐藤:「金持ちケンカせず」ということです。トランプビルを中国に造るといったら、習近平も「いいヤツじゃないか」となる。
だから、世界秩序を全部、ひっくり返す。日本との関係も、まさに昔、鳩山由紀夫さんが言っていた「駐留なき安保」になる可能性もある。要するに、米軍が全部、退いちゃうんです。
「なんで、オレたちがあいつらのことを命を懸けて護らなきゃいけないの。自分の身を護りたいのなら、勝手に護ったら。アメリカにとって有害だということだったら出て行くけれど、アメリカ本土やグアムにいるよ」という感じになりますよ。
「TPPもやめる。日本のクルマにも家電にも思い切り関税をかけてやる。アメリカだけ良ければいいんだ。悔しければ、力をつけろ」と。こういう方針ですよ。だから、アメリカ人は拍手喝采なんですよ。