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気の赴くままにつれづれと。
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最後に「上流階級バイアス」を紹介しましょう。簡単にいえば「金持ちはマナーが悪い」という傾向です。
意外にも思いますが、これもまた認知バイアスの一つです。これを証明したのがカリフォルニア大学のピフ博士らです。原著論文には、これを支持する実験証拠を七つ発表しています。ここでは三つ選んで紹介しましょう。
まずピフ博士らは運転マナーについて調査しました。車のレベルが社会的ステータスを反映していることはよく知られています。博士らは、車のランクを高級車から大衆車まで五つに分類し、階級別に交通規則をどれほど守っているかをモニターしました。
すると、横断歩道で手を上げている歩行者を待たずに通過してしまう確率は普通車35%のところ、高級車は47%であることがわかりました。また、交差点で相手の車を待たずに割り込む率は普通車12%のところ、高級車は30%と2.5倍にもなったのです。
次にピフ博士らはボランティア参加者を集めた実験を行いました。たとえば、参加者に面接官になってもらいます。就職希望者とうまく交渉しながら採用者の給料を決定するのです。この際、重要な事実があります。志願者は長期的で安定した職を求めていますが、実は、今回の採用ポジションは近々廃止予定なのです。さて、面接官は志願者にこの不都合な真実を告げるでしょうか。
実験の結果、下流階層の人は素直に事実を告げて志願者と交渉する傾向が強かったのですが、社会的ステータスの高い人は事実を隠したがることがわかりました。「あとから状況が変わったことにすればよい」という作戦でしょうか、ともかく騙してでもいいから、自分に有利に交渉を進めるわけです。
ピフ博士らが最後に行った実験が、もっとも象徴的です。「自分は社会的地位が高い」と思って行動をしてもらう実験です。すると、下流階級の人でも貪欲さが増し、非道徳的な態度になります。つまり、モラルの低さは生まれつきではなく、その地位が作ったものだと言えそうです。
さらに面白いことは、「金欲があることは悪いことでない」と付け加えると、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」はどこへやらで、下流階級者の尊大ぶりは、実際の上流階級よりもひどいものになりました。
単に有頂天で「天狗になっている」のか、あるいは、普段受けている仕打ちへの腹癒せなのかはわかりませんが、醜悪な心理を、見事に浮き彫りにした実験結果だと言えます。
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