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戦争と内乱

「櫻井ジャーナル」記事で、ロシア革命前後の話が面白い。
ラスプーチンについては西側マスコミがある事無い事書き立てて、世界の悪役にされているが、非常に興味深い人物である。

2023.06.29
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カテゴリ:カテゴリ未分類

 ワグナー・グループを率いるエフゲニー・プリゴジンが引き起こした「反乱」は短時間のうちに沈静化、アメリカではウラジミル・プーチン政権の崩壊を妄想して興奮していたロシア憎悪の政府高官や「専門家」は落胆することになった。この「反乱」の真相は不明だが、プーチン大統領は「内乱」を阻止することに全力を尽くしたという。



 今回の「反乱」について語る際、プーチン大統領は1917年2月にペトログラード(現在のサンクトペテルブルグで起こったストライキから始まる内乱を引き合いに出している。



 この出来事は第1次世界大戦の最中に引き起こされた。ヨーロッパでは1914年7月28日にオーストリア-ハンガリー帝国がセルビアに宣戦布告して大戦が勃発していたのだ。



 その当時、帝政ロシアではドイツとの戦争に積極的な産業資本家と消極的な大地主が対立している。産業資本家側には有力貴族のフェリックス・ユスポフが、また大地主側には修道士のグレゴリー・ラスプーチンがついていた。ラスプーチンの背後には皇帝アレキサンドロビッチ・ニコライ2世と皇后アレクサンドラがついていた。ドイツとロシアを戦わせようとしていたイギリスにとってラスプーチンは邪魔な存在だ。



 戦争を望んでいなかった皇后は7月13日にラスプーチンへ電報を打って相談、ラスプーチンは戦争が国の崩壊を招くと警告しているが、その内容を盗み見た治安当局は議会などにリーク、ラスプーチンは腹部を女性に刺されて入院することになった。入院中にロシアは総動員を命令、ドイツは動員を解除するよう要求。それをロシアが断ったため、ドイツは8月1日に宣戦布告している。ラスプーチンが退院したのは8月17日のことだ。



 すでにドイツと戦争を始めていたロシアだが、ラスプーチンが復帰したことでいつ戦争から離脱するかわからない状況。それを懸念したイギリス外務省は1916年にサミュエル・ホーアー中佐を責任者とする情報機関のチームをペトログラードへ派遣。チームにはスティーブン・アリーとオズワルド・レイナーが含まれていた。(Joseph T. Fuhrmann, “Rasputin,” John Wiley & Son, 2013)



 アリーの父親はユスポフ家に雇われた家庭教師のひとりで、アリー自身はユスポフの宮殿で生まれている。またレイナーはオックスフォード大学の学生だった時代からユスポフの親友で、流暢なロシア語を話した。(前掲書)



 ペトログラードにおけるイギリスのお抱え運転手だったウィリアム・コンプトンの日記によると、彼はレイナーをユスポフの宮殿へ1916年の10月後半から11月半ばにかけて6度運んだという。ユスポフは1916年12月19日にレイナーと会ったと書き残している。(前掲書)



 ラスプーチンは1916年12月30日に暗殺された。殺したのはユスポフだと言われているが、暗殺に使用された455ウェブリー弾はイギリスの軍用拳銃で使われていたもので、殺害現場にいた人の中でその銃弾を発射できる銃をもっていたのはレイナーだけだったという。



 ユスポフは上流社会の堕落に憤り、犯行に至ったとされているが、世界の上流社会は堕落している。そのようなことで憤る人物が上流社会で生きることはできない。このハリウッド映画風の説明に説得力はないのだ。事実を直視すれば、ドイツとロシアの戦争をイギリスが継続させたかったのだという結論に達する。ドイツとロシアの共倒れを狙っていたということだろう。



 二月革命で成立した臨時革命政府は戦争を継続する。そこでドイツは即時停戦を主張していたボルシェビキに目をつけたが、ボルシェビキの指導者は国外に亡命しているか刑務所に入れられていた。



 そこでドイツはボルシェビキの幹部32名を「封印列車」でロシアへ運ぶ。ウラジミル・レーニンは1917年4月に帰国、7月にボルシェビキは武装デモを行うものの、鎮圧されてしまう。レーニンはフィンランドへの亡命を余儀なくされた。この時、臨時革命政府軍の最高総司令官になったのがラーブル・コルニーロフ将軍。労働者や兵士を味方につける必要性を感じたのか、臨時政府は7月にエス・エルのアレキサンドル・ケレンスキーを首相に就任させた。



 ところが、コルニーロフが8月にクーデターを企てる。この武装蜂起にケレンスキー政府は対応できず、ボルシェビキに頼ることになった。そして十月革命につながり、革命政権はドイツの思惑通りに即時停戦を宣言、無併合無賠償、民族自決、秘密外交の廃止も打ち出した。



 レーニンの命令でボルシェビキ政権はドイツとの戦争を停止するものの、アメリカが参戦、兵員を送り込んだほか、イギリスやフランスに物資を供給してたこともあり、ドイツは戦争に負けた。



 しかし、そうした経緯があるため、大戦後、ドイツとソ連の関係は良好だった。両国の関係が悪化するのはドイツでナチスが実権を握ってからだ。ナチスはイギリスやアメリカの金融資本から資金的な支援を受けていたことがわかっている。



 帝政ロシアの崩壊はラスプーチン暗殺が山場であり、その背後にはイギリス政府が存在していたと言えるだろう。その手先がユスポフだ。


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ワグナーの「ワルキューレの騎行」は墜落

割と的を射た解釈かもしれない。ただし、ワグナーは「義勇兵」ではない。「傭兵」である。この両者はウナギイヌとウナギくらい違う。前者はたぶん、食えないか食ってもマズイ。

〈以下引用〉
本当に自身が育てたと勘違いした下請け傭兵派遣組織長が、ロシア国防省なんかに吸収されたくねぇ!!オレの強さを見せつけてやる!!なイキリアピールで終わった乱な話ですな 全ての義勇兵集団は国防省と契約せよが最後通牒だった。
引用ツイート
JSF
@rockfish31
ショイグとゲラシモフの首は繋がって、プリゴジンの罪は問われないけどベラルーシに島流し? ワグネルは国防省が吸収、これが事実だとプリゴジンの負けでは。

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日本は「戦争を選んだ」のか、日米戦争に追い込まれたのか

「あかいひぐま」氏の2022年10月20日の「NOTE」記事の一節だが、この情報の根拠が知りたいものだ。文中の「ユダヤ人陛下」とはルーズベルト大統領のことと思われる。
下の記述が事実なら、「それでも日本は戦争を選んだ」と言えるのだろうか。戦争しか選べないように追い込まれたのではないか。念のために言えば、下の〈以下引用〉の中の文章を書いたのはアメリカ人である。
加藤陽子の「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」は、名著だとは思うが、しかし、次のような言葉は、自分の固定観念的認識に無自覚な言葉ではないかと思う。

「アメリカという民主主義国売られたケンカを買ったときに、いかに強くなるかがわかりますね。」



〈以下引用〉

1936年、FDR(フランクリン・デラノ・ヴァン・ローゼンフェルド)は、日本の天皇の降伏を拒否した。天皇はドイツとの同盟を破棄し、中国から撤退し、ソ連の拡張に対抗するアメリカの同盟国になることを申し出ていたのである。1939年3月、ユダヤ人陛下の政府は、ドイツ軍からの和平と引き換えにヒトラーを逮捕するという申し出を拒否した。要するに連合国は、相手が降伏しようとした後で、5800万人を殺したのである。それ以来、彼らは人々を殺し、奪っている。

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あれれー、おかしいなあ

増田俊男の「時事直言」記事だが、カネの亡者の増田が米国を道徳的に非難するのが不思議であり、裏に何かが、たとえばウクライナ戦争で欧米の敗北が確定的だという情報でもあったのかもしれない。ただ、ネットの一部ではワグネルがロシア政府に造反したという噂もあり、真実がつかみにくい。

(以下引用)



<時事直言>神を冒涜し続けるアメリカ


この世の中の無機物と有機物(生命)の自由裁量権(殺傷権)は創造主(神)にあり創造された人間にはない。
大家さんが所有する家の借家人には家を解体する権利はないのと同じである。
神に創造されたトルーマン米国大統領は1945年8月6日広島、8日長崎に原爆を投下して数十万人に及ぶ大量殺戮(ジェノサイト)を行った。
アメリカは神が創造した日本人を大量殺戮したのである。
アメリカが人の法によって裁かれるのは当然だが、何よりも神によって罰せられなくてはならない。


神が創造した無機物と有機物(生命)は原子を核とした分子で成り立っている。
人間は与えられた物質を使用、利用することは許されるが創造物存在の破壊・消滅は許されない。(質量不変の法則)
通常爆弾の爆発は一種の分子化合反応であるが、原子爆弾は全く異なり「原子(核)の破壊」による爆発である。
原子の破壊は「物質の破壊・消滅」であり、神の創造物存在の破壊・消滅である。
これほどの神への冒涜があるだろうか。


アメリカは人の法を犯し、創造主を冒涜し続け、一切罪を認めない。
政治上の理由でアメリカを人の法で裁くのは難しいが、アメリカは必ず神の懲罰を受ける、、、ニューヨーク消滅など?


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高齢者の刑務所生活

スレッドタイトルと文春記事に「刑務所」と「拘置所」の混同があり、世を誤らせるので、その違いを書いておく。ネットで調べたことなので、私自身の知識ではない。
飯塚幸三の現在の状態は、高齢者にとっては刑務所生活自体が虐待であるという事実を示すものだが、「上級国民」でも正当に裁かれ対応される先例を作ったことで、判決の社会教育的価値は大きいと思う。罪には罰があるという、当然のことが当然に行われただけだ。
虐待的要素が無かったら刑務所収容の意味(処罰性)も無いわけで、現在の社会には刑務所で暮らすよりひどい生活をしている一般人は無数にいる。安易な人情論は、「法の存在意義」を揺らがせるものだろう。飯塚事件の場合には、事件の詳細がかなり可視化されていたために、上級国民ですら逃亡不可能だったわけで、世間に「上級国民」という概念を教えた歴史的意義がある。

(以下引用)


拘置所とは、処罰を下す裁判が行なわれるまで、被疑者の身柄を拘束するための施設です。 留置所との決定的な違いは、留置所はあくまでも身柄拘束のための施設であるのに対し、拘置所は被疑者を収容するための施設であるということです。 「拘束」には一部制限はありますが、比較的緩い監視下に置かれます。


飯塚は自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷罪)に問われ、2021年9月に禁錮5年の実刑が確定。 勲章褫奪令に基づき、同月17日付で瑞宝重光章を褫奪された(『官報』掲載は同年10月27日付)。2023年4月現在、刑務所に服役中
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1 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:01:32.19 ID:8Dc6IIH80

車椅子がなければ歩けない状態になった幸三は、拘置所内でトイレに行こうとした際、転倒してしまい頭に怪我をしてしまったのだ。トイレは血だらけになり、拘置所内の規則として「始末書」を書かなければならなかったのだという。


 拘置所側も先例がなく、対応に窮したようだった。壁に緩衝材として発泡スチロールを張り、転倒で怪我をしないよう応急措置を施した。


 刑事施設にはてすりがない。杖も武器になるので使えないため、歩くことが困難な幸三にとっては、トイレに行くことが過酷な試練となっていた。終いには、おむつで対応しなければならなかった。


 房の中には椅子がなく、壁に寄りかかっていなければならない。就寝時間以外に横になってはならず、まるで拷問である。


https://bunshun.jp/articles/-/58748?page=1


2 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:02:23.86 ID:Qgxg1TWk0

まあ母と娘は死んでるけどな


7 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:03:22.77 ID:CGlxm6Okd

上級で勲章持った人生がこれなのか


23 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:07:29.85 ID:1tTEuFeM0

最初から罪認めてれば見せしめ勾留も無かったんだろうな年やし


10 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:04:07.86 ID:/eyD1v7o0

お前らはこれを望んでいたのか


58 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:11:23.83 ID:wIF1H/Iy0

>>10
普通に真っ先に救急車呼んで、普通に誤魔化さずに服役していたら
今頃シャバに出ていたぞ


14 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:05:09.85 ID:D06PUGMVd

一人でうんちできない


17 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:06:23.17 ID:Buqxsq8f0

そんな奴が車運転してたのがそもそもおかしいんやで


24   2023/06/19(月) 21:07:37.28 ID:liSwSkaX0

手すりつけろや


102 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:15:20.82 ID:oArtgdsb0

>>24
自殺防止で無理
留置所拘置所に紐かけれる平衡なものは潜在せん


30 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:07:59.30 ID:qPadyQEp0

横になっちゃいけない規則は知ってたけど、こういうケースでも適応されるんか
トイレまともに行けないおむつ人間にずっと横になるなって本当に拷問やん


31 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:08:07.18 ID:NUxhvl6v0

まあ人殺してるからなこいつ


33 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:08:13.67 ID:qwbRWKJ6r

ちな遺族が昨日の父の日にTwitterにあげた動画


https://video.twimg.com/amplify_video/1670241705021558784/vid/720x1280/miOz5_TPhGuZ8_hX.mp4


41 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:09:44.92 ID:ZssTNuRK0

>>33
あーあかんわこれ


48 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:10:05.21 ID:w6mByimza

>>33
泣くわこんなん


118 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:16:26.01 ID:PO1gs+8R0

>>33
あかん最後まで見れん…


200 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:24:36.16 ID:TKug6ryc0

>>33
こんなんキツすぎるやろ


38 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:09:39.55 ID:eyXkPwo4a

罪は別として配慮は必要やろ


40 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:09:44.94 ID:Z4m1SlkG0

麻原はおむつせずにウンコたれ流しやからそれよりはマシ


51 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:10:22.59 ID:dgRPeo0cd

反省してないから懲罰は当然なんだよなぁ…


https://i.imgur.com/bm04AJC.jpg
https://i.imgur.com/TBfeEWS.jpg
bm04AJC
TBfeEWS


47 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:10:03.98 ID:B6tEO91o0

お前らさぁ、もしも自分のおじいちゃんが同じ状態になったらどう思うんや?


54 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:10:49.28 ID:1BO8yXr3p

>>47
そら免許返納させるやろ


151 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:19:10.66 ID:2BMveIq10

>>47
87歳の杖ついてるじいちゃんを運転させたこと反省するわ


63 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:12:02.85 ID:lAQKjJmF0

しでかしたことを考えたら当然とも言える


81 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:14:19.65 ID:xKAwwkrS0

何故格上のトヨタに勲章バトルを挑んでしまったのか


85 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:14:43.46 ID:wXY5FEqxa

因果応報


87 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:14:44.30 ID:N58A5DTa0

これテレビニュースでもたくさん流してほしいな
「おじいちゃん免許返納させな...」って思う人多いやろ


163 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:20:04.45 ID:MRKqoM8q0

>>87
一時この事件のお陰で返納増えたらしいぞ
間接的に命救ってる説


192 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:23:58.23 ID:N58A5DTa0

>>163
それはそうやろ
今も引き続き放映しまくってほしいいうことや


98 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:15:13.60 ID:oaVb4+Ig0

アクセルペダルが勝手に下がってたとか、走行ログは壊れてるとか無茶苦茶な言い訳並べたのが印象悪いわ
弁護士が言わせたのなら弁護士無能すぎへんか?


134 それでも動く名無し 2023/06/19(月) 21:17:25.53 ID:jWk8kAsfd

やっぱ高齢者に運転させたらアカンわな
北海道のバスとトラックの正面衝突も両方ドライバーはジジイだったし


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あなたにはこの決断ができるか

宋文洲のツィートで、写真は省略。(写真を入れると異様に大きな空白が間にできる。)
この一瞬の決断は素晴らしい。相手の男の性根が見えた一瞬だ。しかし、結婚直前に結婚より「同僚から預かった子供」を選ぶという選択をした、この女性の判断は正しいと思う。こういうエゴイスト(まあ、普通の男だが、精神は中の下)相手の結婚はたぶんうまくいかない。
この場面は、映画ならクライマックスのシーンである。そして、式場を出る母子の後ろ姿のストップモーションに、即座に「終」か「完」の字が出る。

(以下引用)誤字はそのままにしておく。外国人が書いた日本語としては立派だ。


「ママ、私を捨てないで…」 コロナで医者の両親を失った男児。親の同僚の女性がお母さんになった その後女性が結婚する。男児をおばあちゃんに任せて が、結婚式で男児が泣き崩す。女性が新郎に「連れて行ってもいい?」と聞くが、拒否された 女性が衣裳を抜き捨て息子を抱き上げて式場を出た…

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権力による国民拘束(弾圧)日常化の前触れか

この記事に書かれていない事実がこれから出て来る可能性もあるが、書かれた内容だけで判断すれば、驚天動地の事件(あまりにも過激な違法捜査)であるとしか思えない。あるいは、これからこの種の事件が激増していく魁(さきがけ)となる出来事かもしれない。つまり、「新しい戦前」のための国民拘束日常化である。権力による法律無視行為の日常化である。

(以下「大摩邇」から転載)

武装警官が「令状なし」で窓ガラスを破って突入した瞬間 住人に「違法逮捕」と訴えられる

ライブドアニュースより
https://news.livedoor.com/article/detail/24430810/
これから緊急事態条項ができた時の、予行演習ですね。
<転載開始>


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北海道警察の捜査員らが家宅捜索や逮捕の令状を請求せず、マンションの一室に突入して住人を「緊急逮捕」した事件で6月15日、違法捜査の被害を訴える男性らが道警に約1430万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。


問題となった逮捕行為を含む一連の捜査はすでに裁判所から違法認定されており、原告代理人らは「当たり前に守るべき手続きを守っておらず、あってはならないこと。裁判を通じてこの実態を世に知らしめ、将来の違法捜査を抑止したい」と、改めて捜査の杜撰さを批判している。

訴えを起こしたのは、札幌市中央区の自営業男性(25)と、同居する会社員女性(37)。本年3月29日、2人の住むマンションで事件は起きた。(ライター・小笠原淳)

●まるで「立てこもり事件」、警察突入で緊急逮捕

唐突に玄関の鍵が開けられた瞬間、住人男性は強盗が来たと思ったという。ドアの向こうには、数人の屈強な男たち。辛うじてドアストッパーが出入りを防いでいたが、それがなければすぐにでも踏み込んで来そうな勢いだった。


招かれざる客たちが札幌中央警察署の警察官を名乗り、男性に任意同行を求めてきたのは、その日午後3時50分ごろ。それからおよそ4時間が過ぎた夜8時過ぎ、同じ部屋のべランダの窓ガラスが割られ、銃で武装した一団が男性の身柄を拘束することになる。その部屋で起きたとされる傷害事件での「緊急逮捕」だった。



近隣住民などによれば、同夜の現場は周辺の道路が封鎖されるなど一時騒然となり、さながら「立てこもり事件」の様相だったという。結果的に武装警官による大捕物となったわけだが、先述した逮捕容疑は「同居人の腕を叩いた」という軽微な傷害で、しかも捜索差押許可状も逮捕状も発付されていなかった。それどころか――、


「そもそも“被害者”が被害を訴えておらず、被害届も出ていないんです」


そう呆れるのは、男性の弁護人を務めた青木康之弁護士(札幌弁護士会)。道警の捜査の端緒は、第三者からの情報提供だったという。

●当事者「事件にするつもりない」→警察は執拗に事件化

緊急逮捕から1週間ほど溯る3月22日、かの部屋に住む2人の間で他愛ない言い争いがあり、男性が女性の腕を叩くという出来事があった。“被害者”に怪我はなく、もとより被害の認識もなかったが、のちにこれが深刻な家庭内暴力事件に仕立て上げられたのは、女性が何の気なしに痴話喧嘩の顛末を打ち明けた相手が親族と共通の知人だったことによる。


話を聴いた知人は早合点し、あるいは不必要に気を回し、女性の親族に連絡、これを受けた親族が本人を飛び越して警察に相談を寄せてしまった。相談を受けた札幌中央署は同28日深夜、そのマンションを訪ねて女性への聴取を試みる。これが、問題となる緊急逮捕の前夜のことだった。


中央署の捜査員らはその夜「とっくに仲直りしてるし、事件にするつもりなんかない」という女性の訴えを聴き入れず、署への同行を求めてきた。あまりに執拗な要請に根負けし、女性は警察官らに従わざるを得なかったという。


被害を届け出るつもりのない“被害者”は、ひたすら事件化を促す説得を受け続け、翌朝6時までその身柄を拘束されることに。ほぼ不眠のままで職場への出勤を強いられた女性はその日午後、仕事を早退してペット霊園や自動車販売店を訪ねる予定があったが、職場で待ち構えていた中央署員に引き続き拘束され、否応なく自宅マンションへ連れ戻される。


捜査員たちは自宅近くに停めた車両内に女性を事実上軟禁し、新たな要求を寄せてきた。マンションのカードキーを貸して欲しい、と。驚いた女性がこれを拒んでも、警察は「1階のオートロックを開けるだけ」と食い下がってくる。気圧された女性は承諾せざるを得なくなり、「絶対に部屋には入らないで」という条件をつけてキーを手渡した。


ほどなく、それを手にした捜査員らはオートロックを突破して目的の居室がある6階へ直行、女性との約束をあっさり破って玄関ドアからの入室を試みた。在室していた同居人男性が不意の訪問者らに驚き、強盗の襲撃かと身構えることになったのは、すでに述べた通りだ。


●警察の不可解な対応 浮かぶ別件逮捕の可能性

被害届のない傷害事件の立件に固執するあまり“被害者”を騙して鍵を借り、約束を破って入室しようとした挙げ句、窓を割って侵入。しかも令状のない「緊急逮捕」という、異例ずくめの対応と言えた。先の青木弁護士は、捜査の杜撰さを次のように批判する。


「あくまで任意捜査だったわけですから、男性が同行を拒否できるのは当然です。警察がどうしても踏み込みたかったのなら逮捕状をとるべきで、4時間もあれば充分それができた。実際、逮捕後すぐに令状がとれているんです。


なぜ逮捕前にそうしなかったのかはわかりませんが、地上6階からは逃亡のおそれもないし、『立てこもり』と言ったって人質をとったわけでもないし、大勢の警官が武装して突入する必要なんてありませんよ」

刑事訴訟法210条では「緊急逮捕」の要件を下のように定めている。


《死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないとき》


要は「重大犯罪が強く疑われ、かつ令状をとる時間がない場合」ということだが、男性のケースがこれにあたるとはおよそ考えにくい。容疑は「腕を叩いた」という軽微な罪で、令状を請求する時間は短かくとも4時間以上あったはずだ。


なぜ札幌中央署が強引な逮捕に踏み切ったのかは知る由もないが、1つ推認できるのはそれが「別件逮捕」だった疑いだ。緊急逮捕後、警察は男性に薬物使用の疑いをかけて強制採尿、これに陽性反応が出たとして4月1日付で再逮捕している。


男性に薬物事件の前歴があったための対応だと思われるが、男性自身は筆者の取材に対して今回の薬物使用を否定、「2度も尿の採取に協力したにもかかわらず最終的に強制採尿された」と訴えている。警察と男性、どちらの言い分が正しいのかは現時点で検証困難だが、そもそも要件を満たさない勾留下での強制手続き自体が問題だったのは確かだ。

●裁判所、異例の更生決定 滲む警察への憤り

のちに弁護人を務め、また国賠訴訟の代理人も引き受けることになる青木弁護士が初めて男性と接見したのは、この再逮捕の2時間ほど後のことだった。


一連の経緯を知った青木弁護士はその日の夕刻、薬物事件での勾留請求を控えるよう札幌地方検察庁に申し入れた。地検がこれを聴き入れない可能性があったため、週末をはさんだ同3日には担当検察官に改めて口頭で要請し、加えて裁判所に勾留決定をしないよう意見書を出す。


しかし札幌地裁(斎藤由里阿裁判官)は同日付で勾留を決定、これに対する準抗告(不服申し立て)も翌日付で同地裁(井戸俊一裁判長)に棄却される結果に。これも不服とした弁護士は翌5日付で最高裁に特別抗告を申し立て、改めて被害者とされる女性の証言を引いて捜査の違法性を訴えた。すると――、


「翌日、裁判所から驚いた様子で電話があり、女性と連絡をとりたいと言ってきたんです」


青木弁護士がそう振り返る。さらにあくる日の7日午前、札幌地裁からくだんの女性に電話があり、裁判官3人が代わる代わるその証言に耳を傾けた。


この聴取結果をもとに「再度の考案」が行なわれた結果、同じ日の夕刻に伝えられたのは異例の「更正」決定。傷害事件での逮捕行為を違法と断じ、薬物事件での再逮捕も「違法な捜査との関連は密接」と指弾するもので、当初の勾留決定とは百八十度異なる結論だった。決定文に綴られた警察への苦言の一部を、下に採録しておく。


《捜査機関が被害者方居室の玄関ドアを開けた行為は、被害者の管理権及びプライバシーを侵害するものであり、違法な強制処分にあたる》


《窓を破壊した行為も危険かつ不利益性の高いもので、違法の程度は重大である》


《あえて詳細な事実関係を糊塗して緊急逮捕状等を請求したとみられるから、将来の違法捜査の抑止の見地からも相当でない》


最後の一文からは、裁判所の強い憤りが読み取れる。どういうことか。


本記事の半ばほどで青木弁護士が証言しているように、男性のケースでは緊急逮捕の「すぐ後」に改めて逮捕令状が示されていた。発付したのは、いうまでもなく裁判所。捜査機関を信用し、1人の容疑者の身柄拘束の必要性を認めた決定だ。これに異議を唱える弁護人の求めを2度にわたり棄却した札幌地裁は、準抗告棄却の決定でこんな認識を示していた(カッコ内註は筆者)。


《(捜査員らは)被害者の承諾を得た上で被害者方の窓を破壊して室内に立ち入った》


もはや言うまでもなく、この認識は事実と異なる。被害者とされた女性はそもそも警察にカードキーを預けることを拒み、それでも引き下がらない相手に「絶対に部屋には入らないで」と条件をつけてキーを渡していたのだ。無論のこと、窓を破っての突入など「承諾」するはずがない。ならば、裁判所はなぜ上のような理由で抗告を棄却したのか。


答えは1つ。捜査機関に騙されたためだ。女性を騙して鍵を入手した警察は、裁判所をも騙して男性の逮捕を正当化しようとした。今回、国賠の代理人となった青木弁護士らが最も問題視するのがその点で、裁判では道警による虚偽公文書作成などの疑いを追及していく可能性がある。



逮捕のあった夜、現場では「飛び降りの危険」があるとして札幌市内の複数の消防署から救助隊など計5隊が出動したことがわかっている。道警の『事件指揮簿』などの文書によれば当初の傷害事件は「署長指揮事件」で、決して重大な事案ではなかったはずだが、現場付近には警察マニアならば一目でそれとわかる機動隊の車輌が臨場していた。


その隊員らがライフル銃を手にベランダ窓から強行突入に及んだのは、これまで繰り返し述べてきた通り。突入時に割れたガラスで住人男性は手や脚に怪我を負ったが、警察からの謝罪は今もなく、窓の修理費用の弁償もなされていない。


●検察「勾留請求は適正」、警察「コメント控える」

札幌地裁が勾留決定を取り消した4月7日、男性は釈放。札幌地検は同12日付で傷害事件・薬物事件ともに不起訴処分とした。


10日あまりを経た同24日、記者クラブ非加盟者も参加できる会見で「当時の勾留請求は適切だったか」と尋ねた筆者の問いに、同地検の石井壯治次席検事は「適切だった」と回答。


また時期を同じくして北海道警察に寄せた逮捕の適正性を問う取材に対しては、5月上旬になって「コメントは差し控える」との回答が届いている。

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