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鎖国と徳川幕府

「ネットゲリラ」の、珍しく(もないか)学術的な記事なのだが、ゲリラ氏の広汎な教養が思わずにじみ出てしまい、日ごろのふざけぶりが仮面のひとつであると分かる。まあ、もともと人間は社会に対応する時は幾つかの仮面を使い分けるものだ。
それはともかく、江戸幕府の「鎖国」を、海外からの侵略を防ぐためのものだというのがこれまでの一般的理解で、私も、深く考えないままにそう思っていたが、下の記事の説のほうが正しいだろう。
江戸幕府とは要するに「徳川家」第一という政府であり、「世界」に対する「日本」という視点はほとんど無かったと思う。
幕藩体制とは、徳川家以外の大名から徳川家をいかにして守るか、ということを中心とした体制なのである。それは分かっていても、「鎖国」の話となると、その視点が抜け落ち、「外国対日本」という視点でしか見られなくなるのは、「何かを見ると、他のものは見えなくなる(考えなくなる)」という人間性の根本的欠陥の表れだろう。
だから、こういう「目を開かせる」指摘は大事なのである。


(以下引用)




「鎖国」というか、「海禁令」なんだが、日本の場合は特に、地方が孤立していて中央政府のコントロールが効かないので、窓口を1ヶ所にしてしまったというのが正確なところで、そうしなければ武装解除が出来ない。既に銃砲が戦闘で実用化されていた時代、徳川幕府が日本全土を支配するためには、諸大名の武装解除がなければ始まらない。

 豊臣秀吉が改易を考えつき、徳川家康が踏襲したのですが、鎖国をして貿易をしなければ、徳川幕府に勝つ大名はいない。
 ところが、各地の大名が海外と貿易を始めてしまったら、あっというまに彼らが金持ちになってしまう。たとえば、仙台の伊達氏や福岡の黒田氏は、海外との交易に興味津々でした。
 徳川幕府としてはその焦りがあったと僕は思います。

特に、火薬の原料となる「硝石」が戦争には欠かせず、各地の大名が勝手に貿易をして硝石を手に入れていたのでは、平和が保てない。

中国内陸部、スペイン、イタリアのような南ヨーロッパ、エジプト、アラビア半島、や西アジアのイラン、インドなど乾燥地帯では、天然に採取されている。一方、北西ヨーロッパや東南アジア、日本のような湿潤多雨な地域では天然では得がたく、おもに人畜の屎尿を原料にして、バクテリアによる酸化による生成を人工的に導く生産方法が工夫された。
ドイツやフランス、イギリスのような北西ヨーロッパでは、糞尿が浸透した家畜小屋の土壁から硝石を得ていた。また、東南アジアでは、伝統的に高床式住居の床下で鶏や豚を多数飼育してきたため、ここに排泄された鶏糞、豚糞を床下に積んで発酵、熟成させ、ここから硝石を抽出したほか、熱帯雨林の洞穴に大群をなして生息するコウモリの糞から生成したグアノからも抽出が行われてきた。
また、何十年かたった古民家の床下の土を集め、温湯と混ぜた上澄みに炭酸カリウムを含む草木灰を加えて硝酸カリウム塩溶液を作り、これを煮詰めて放冷すれば結晶ができる。この結晶をもう一度溶解して再結晶化すると精製された硝石となる。この方法を「古土法」といった。

日本は硝石が得にくい地域で、輸入に頼っていたんですね。それをせっせと売りつけていたのが、スペイン、ポルトガル。その当時は黒色火薬しかなくて、黒色火薬は「硝石、硫黄、炭」で出来る。硫黄と炭は、日本でも生産出来るが、古土法の硝石では非常に少量の火薬しか作れない。南蛮貿易でもっとも大事な品目は硝石です。これを独占すれば徳川の世は安泰だ。




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