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古代における漢字の誕生と白川漢字論

私は当今の学者の言説をほとんど信用していないので、少し前から一部で高い評価をされていた白川静の漢字論も、まあ、「自分を売り込むための言説」だろう、としか思っていなかった。何しろ古代漢字の原初的意味についての説なのだから、いくらでもデタラメを作れるだろう、というわけだ。特に「文字の呪術的機能」というのなど、嘘くさい、と思っていた。
だが、例によって(私は硬い本はトイレで読むことが多い)トイレで朝便をしながら朝勉をしている時に読んだ白川静の「漢字百話」の一節に少し感心した。
それは「字」という漢字の起源のことで、見てのとおり、この字は「うかんむり」の下に「子」である。で、うかんむりは家を表すというのが一般的な理解だろう。だが、なぜ「家の下(中)に子供がいる」のが、「字」なのだ? それを白川はこう書いている。色字にして引用する。

字をその字形のように家のなかにいる子供というのでは、そこから何の意味も生まれない。会意字の形態素は、すべて象徴としての意味を含むものと見なければならない。屋根の垂れている家は、古代の文字にあっては必ず廟屋、先祖のみたまやである。そこに子がかかれているのは、氏族員の子としてはじめて祖霊に謁見することであり、その生育の可否について祖霊に報告し、その承認を受ける儀礼を意味する。そのとき幼名がつけられるのを小字という。字はアザナである。かくて養育のことが決定される。ゆえに字に「字(やしな)ふ」の意があり、滋生の意もそこから生まれるが、本義はアザナである。(夢人注:「あざな」は通称のこと)

というように、「字(じ)」と「字(あざな)」とが結び付き、本来は「アザナ」という意味が先行していたという、見事な説明である。

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