ネットスラングで言うところの毒親というものだろう。子供にとって害悪でしかない親のことである。その一方で、子供は生存を親に依存せざるを得ない立場であり、こうした状況では子供を救うことは極度に困難になる。児童相談所や家庭裁判所が家庭の内情を知ること(特に子供本人からの聞き取りなど)が難しい上に、親から子供を引き離すことも人権侵害に当たる可能性が高いからだ。
不思議なのは、子供を死に至らせるまで虐待する親(実父ではなかったようだが)の心理である。母親の方も、自分が生んだ子供でありながら、虐待に加担し(少なくとも黙認し)ていたわけだが、主犯は父親の方と思われる。当人は、その虐待を本気でしつけや教育と思っていたのだろうか。その「教育」内容が下に書かれたものである。
私は、世の中の人間の3%は生まれつきのサイコパスだと思っているが、この事件の父親のようなのはそういうサイコパスかどうか、判断しにくい。つまり、当人自身は教育に関する或る種の「主義」で行動しており、その意味ではネトウヨ層とほとんど同じだからである。子供への異常な対応以外は案外まともな生活を送っていたのではないか。つまり、生まれつきのサイコパスではなく、誰でもそうなる可能性がある「後天的に形成されたサイコパス」なのだろう。そういう後天的サイコパスを含めれば、世の中の10%くらいはサイコパスかもしれない。
厄介なのは、表の顔だけを見れば、そういう人々はまともに見えることである。例の日大タックル事件の内田監督や井上コーチも「後天的サイコパス」「隠れサイコパス」と言えるのではないか。
(以下引用)
父親は、児相の聞き取りに対し「きちんとしつけないといけないから」と繰り返し説明していた。
県の職員は「5歳児に対して、父親が過大な期待をしていた。とにかく養育や作法について、強いこだわりが見えた」という。
細かなこだわりは、結愛ちゃんの言動からも推し量られた。結愛ちゃんは職員に対し「勉強しないと怒られるから」と伝えていた。
人に会うときは、しっかりおじぎをして、あいさつをしないといけない。
ひらがなの練習をしないといけない。
はみがきは自分でやり、怠ってはいけない。
太りすぎてはいけない。
また、雄大容疑者は体重に対しても異常に気にするそぶりがあり、優里容疑者に「子どもはモデル体型でないと許さない。おやつのお菓子は、市販のものはダメだ。手作りしろ。野菜中心の食事を作れ」と言っていたという。
また、一時保護を解除したときにした「祖父母の家に定期的に預ける」という約束も、「祖父母は子どもを甘やかす。歯磨きすら一人でできなくなる。だからもう行かせたくない」などと言い、だんだんと預けることがなくなったという。