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古典の花園21 第三章3


 吾が背子を大和へやると小夜ふけて、
 暁(あかとき)露に吾が立ち濡れし。 (「万葉集」大来皇女)

 この歌は、時間的には1,2の歌よりも前の時期の歌でしょう。私が、この姉の心理に、姉弟の愛を超えた男女の愛を感じるのは、この歌のためです。まず、背子という言葉は兄弟にも使いますが、本来、愛する人の意味で使われたらしい言葉ですし、その弟を見送った後、露に濡れるまでその場に立ち尽くしている姿には、異常なまでの愛情が感じられます。それに対して弟の方は、他の女に贈った歌が数種万葉集に記載されており、姉ほどの愛情があったかどうかは疑問な気がします。それだけに、私には大伯皇女の心情が深く感じられます。「暁」は、夜明け前のまだ暗い時刻を言います。「小夜」は「夜」と同じですが、当時の感覚ではおそらく夜の9時くらいにはすっかり夜がふけた感じがしたでしょうから、それから暁までの長い時間、露がおりるころまで彼女は立っていたのです。これが芸術的誇張ならどうということはありませんが、私には、大伯皇女は本当にそういうことをやりそうな女性に思えます。

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酔生夢人
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男性
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仙人
趣味:
考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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