体を上下動させて脳に適度な衝撃を与えることで、高血圧が改善するとの研究報告を、国立障害者リハビリテーションセンター(埼玉県所沢市)などが発表した。軽いジョギング程度で得られる衝撃に相当するという。
成果をまとめた論文が7日、国際科学誌に掲載される。
高血圧の患者は、国内に約4300万人とされる。減塩や禁煙などに加え、適度な運動も予防や改善につながる。ただ、なぜ運動すると血圧が下がるのか、詳しくは分かっていない。
沢田泰宏・同センター臨床研究開発部長らの研究チームは、座面が上下に動く椅子を製作した。研究では、20~80歳代の高血圧の27人に、週3日毎回30分、この椅子に座ってもらい、軽いジョギングと同程度の衝撃を脳に与えた。開始前の最高血圧は平均142だったが、1か月続けると同133まで低下した。
チームは、ラットの実験で、頭を上下させることで、脳内の体液が動くなどして血圧が下がることを突き止めていた。人の脳でも同様のメカニズムが起きたとみている。
小川渉・神戸大教授(糖尿病・内分泌内科)の話 「運動が続かない患者でも、脳に適度な衝撃を与えれば、血圧が改善できる可能性を示した成果で、興味深い。治療に生かすには、大規模な臨床試験などでさらなる検証が求められる」