「人魂も並んで飛べば憎らしい」
というのは宝暦の川柳(下の二つも同じ)だが、並んで飛ぶ人魂とは要するに心中した二人である。人魂が並んで飛ぶというのも何となく可愛らしいが、しかし、モテない人間の目には憎らしいというわけだ。
ただ、「憎らしい」は女性的なので、これを「腹が立つ」とでもしたほうがモテない男という感じがして、いっそう笑いやすい。まあ、心中とは、ある意味では「現世に対する恋愛の勝利」なのである。
「『あんなの』にそれは女が惚れるもの」
言うまでもなく、「あんなの」とは、モテない男がモテる男をくさす言葉だ。だいたい、男の目から見ると、ジャニーズ系の男やホスト系の男というのは不愉快で気持ち悪いのであるが、女から見たらただのやっかみだ。
「覚えなく屁の出る頃に緋の衣」
覚えなく、とは、無意識に、ということで、下の締まりが無くなった高齢になって、宗派の最長老として緋の衣(僧正位を示す)を着る、という、「年功序列」を皮肉ったもの。意図的かどうかは不明だが「屁」と「緋」の音の類似が面白い。
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