旧日本軍の関東軍防疫給水部の中心部隊だった「731部隊」の隊員ら3607人の実名が記載された名簿が国立公文書館から開示されたことを、滋賀医科大の西山勝夫名誉教授が明らかにした。部隊は先の大戦中、満州(現中国東北部)で細菌戦研究を行ったとされ、西山氏は「隊員ほぼ全員の実名や構成が判明するのは初めて。研究に役立ててもらうため、今後ホームページで公開する」とした。
開示されたのは、同部隊員らの留守宅などを記載した「留守名簿」。昭和20年1月1日付で作成され、軍医52人▽技師49人▽看護婦38人▽衛生兵1117人-などの実名や階級が記されている。戦後、京都大医学部長を務めた故岡本耕造教授は「技師四等」の処遇となっていた。
西山氏は、平成27年から開示を請求。当初は「親族や戦犯とその親族を特定する情報」としてほぼ黒塗りだったが、交渉の末に今年1月に連絡先の一部などを除いたほぼ全容が開示されたという。
西山氏らは、部隊の軍医将校の学位論文について「人体実験をもとにした可能性がある」として、京大に学位授与の妥当性を検証するよう求める署名活動を行っている。