「がま仙人のブログ」書評欄から、備忘のために転載。
日本が今後生き残り、幸せな国になるためのヒントがここにある。私は沖縄に住んでいるが、かつて宮古島をそういう自給自足の島にするプロジェクトを考えたことがある。現在でもそれは100%可能だと思っているが、問題はそれをやる為政者がいないということだ。
(以下引用)
2007年08月19日19:48 カテゴリ晴耕雨読(111-120)
[晴耕雨読-0116] 200万都市が有機野菜で自給できるわけ / 吉田太郎200万都市が有機野菜で自給できるわけ―都市農業大国キューバ・リポート
posted with amazlet on 07.08.19
吉田 太郎
築地書館 (2002/08)
売り上げランキング: 41984
Amazon.co.jp で詳細を見る
いつこの本の紹介をしようかと思っていたが、今日マイミクさんのところでこの著者のページを紹介したのでよい機会だからこの本について書く。
とにかく必読書。農業や代替エネルギーに興味があってもなくても一度は読んでいただきたい。カリブの小さな国キューバがとてつもなく示唆に富んだ国であるかを思い知る。自給自足農業先進国であり環境先進国であり代替エネルギーと代替医療を実社会に生かしている国である。
ソ連崩壊が起こったときキューバは壊滅的なダメージを受ける。当時は食料の57%を輸入に頼っていたのだ。いまの日本とたいして変わらなかった。農業はサトウキビに集中していた。そのため野菜を育てるなどという習慣もなかった。穀物類などはほとんどが輸入。そして、機械化農業が主体だったので当然石油も多く使っていた。そんな国がソ連崩壊によって食料と石油の補給路が断たれてしまう。また、当然ながら近隣国はキューバに対して経済封鎖を強めていたため事実上キューバは孤立してしまう。かつて日本が経験したABCD包囲網よりきつかったはずである。
放置すれば当然餓死者がでてしまう。当時のカストロはこの超絶対絶命状態を乗り切るため「食料確保」を最優先として政治を動かした。で、やったことは首都ハバナ全体を有機菜園にしたのだ。国有の空き地を人々に解放しコミュニティをつくり自主的に運営させた。アスファルトしかないようなビルの谷間では、「オルガノポニコ」と呼ばれる人工の畑を有機菜園にした。
こうして都市=農園でとれた野菜は都市内部で消費される地産地消が実現する。野菜を遠くまで運ぶ必要はない。輸送のために膨大な石油は必要としないのである。都市と農業を一体化することで超効率化された生産=消費体制ができあがった。そして数年後200万都市は食料の自給自足を実現させるのである。
この本にはそのプロセスがこと細かくまとめられている。本当に驚くばかりの事実がそこにある。
関心するのはカストロが目指したのは食料の自給自足だけではなかった。エネルギーと医療も想定の内であった。石油から太陽光・風力・バイオマス・水力などの自然エナルギーに国策として切り替えている。山間部などでは太陽光や風力で電気を作り実際に学校などを運営しているということである。世界がもたもたしているうちにキューバではとっくにそれらを使いこなしているのである。
それと、代替医療。経済封鎖によって薬の供給が絶たれたため、キューバでは急速に代替医療が必要になった。驚くことに彼らは東洋医学を取り入れたのである。鍼灸などの専門化を育て、薬による麻酔に変わって鍼麻酔を取り入れた。さらにそれだけではなくハーブやアロマセラピーも同時に取り入れたのである。これによってキューバの代替医療の技術がおそろしく向上した。皮肉なものである日本ではあまり重要視されない東洋医学がカリブの海の国で主要な医療技術の一つになったのである。
ところで北朝鮮はキューバと同じくソ連崩壊のダメージと経済封鎖を経験した。だが北朝鮮は多くの餓死者を出した。この違いは天と地ほどの差がある。
とりあえずこの本には、世界が今後経験する未曾有のエネルギー危機と食料危機と環境危機、それを乗り越える一つの道が浮き彫りにされている。
日本が今後生き残り、幸せな国になるためのヒントがここにある。私は沖縄に住んでいるが、かつて宮古島をそういう自給自足の島にするプロジェクトを考えたことがある。現在でもそれは100%可能だと思っているが、問題はそれをやる為政者がいないということだ。
(以下引用)
2007年08月19日19:48 カテゴリ晴耕雨読(111-120)
[晴耕雨読-0116] 200万都市が有機野菜で自給できるわけ / 吉田太郎200万都市が有機野菜で自給できるわけ―都市農業大国キューバ・リポート
posted with amazlet on 07.08.19
吉田 太郎
築地書館 (2002/08)
売り上げランキング: 41984
Amazon.co.jp で詳細を見る
いつこの本の紹介をしようかと思っていたが、今日マイミクさんのところでこの著者のページを紹介したのでよい機会だからこの本について書く。
とにかく必読書。農業や代替エネルギーに興味があってもなくても一度は読んでいただきたい。カリブの小さな国キューバがとてつもなく示唆に富んだ国であるかを思い知る。自給自足農業先進国であり環境先進国であり代替エネルギーと代替医療を実社会に生かしている国である。
ソ連崩壊が起こったときキューバは壊滅的なダメージを受ける。当時は食料の57%を輸入に頼っていたのだ。いまの日本とたいして変わらなかった。農業はサトウキビに集中していた。そのため野菜を育てるなどという習慣もなかった。穀物類などはほとんどが輸入。そして、機械化農業が主体だったので当然石油も多く使っていた。そんな国がソ連崩壊によって食料と石油の補給路が断たれてしまう。また、当然ながら近隣国はキューバに対して経済封鎖を強めていたため事実上キューバは孤立してしまう。かつて日本が経験したABCD包囲網よりきつかったはずである。
放置すれば当然餓死者がでてしまう。当時のカストロはこの超絶対絶命状態を乗り切るため「食料確保」を最優先として政治を動かした。で、やったことは首都ハバナ全体を有機菜園にしたのだ。国有の空き地を人々に解放しコミュニティをつくり自主的に運営させた。アスファルトしかないようなビルの谷間では、「オルガノポニコ」と呼ばれる人工の畑を有機菜園にした。
こうして都市=農園でとれた野菜は都市内部で消費される地産地消が実現する。野菜を遠くまで運ぶ必要はない。輸送のために膨大な石油は必要としないのである。都市と農業を一体化することで超効率化された生産=消費体制ができあがった。そして数年後200万都市は食料の自給自足を実現させるのである。
この本にはそのプロセスがこと細かくまとめられている。本当に驚くばかりの事実がそこにある。
関心するのはカストロが目指したのは食料の自給自足だけではなかった。エネルギーと医療も想定の内であった。石油から太陽光・風力・バイオマス・水力などの自然エナルギーに国策として切り替えている。山間部などでは太陽光や風力で電気を作り実際に学校などを運営しているということである。世界がもたもたしているうちにキューバではとっくにそれらを使いこなしているのである。
それと、代替医療。経済封鎖によって薬の供給が絶たれたため、キューバでは急速に代替医療が必要になった。驚くことに彼らは東洋医学を取り入れたのである。鍼灸などの専門化を育て、薬による麻酔に変わって鍼麻酔を取り入れた。さらにそれだけではなくハーブやアロマセラピーも同時に取り入れたのである。これによってキューバの代替医療の技術がおそろしく向上した。皮肉なものである日本ではあまり重要視されない東洋医学がカリブの海の国で主要な医療技術の一つになったのである。
ところで北朝鮮はキューバと同じくソ連崩壊のダメージと経済封鎖を経験した。だが北朝鮮は多くの餓死者を出した。この違いは天と地ほどの差がある。
とりあえずこの本には、世界が今後経験する未曾有のエネルギー危機と食料危機と環境危機、それを乗り越える一つの道が浮き彫りにされている。
PR