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ハエの幼虫は意外と美味!? コオロギに勝る強みとは〈週刊朝日〉
製造・販売元のTAKEOによると、「ちりめんマゴット」(1袋4グラム[※マゴット約500匹]で税込み580円)のおすすめの食べ方はおにぎりだという。
イエバエの幼虫(マゴット)を養殖するベンチャーのフライハイ(東京都渋谷区)は昨年、食用の「乾燥マゴット」を発売した。うじ虫というと汚いイメージがあるが、フライハイのマゴットは、豆腐屋から出たおからを食べて育った清潔な「箱入り虫」である。 【写真】しょうゆ風味で普通においしい。 ハエの幼虫を使った「ちりめんマゴット」はこちら
近年、昆虫食が注目される背景にあるのが“タンパク質危機”だ。国連の予測では、世界人口は2050年に100億人に迫り、タンパク源が足りなくなる恐れがある。だが1キロの牛肉を生産するためには約25キロの飼料が必要なように、家畜の増産は環境への負荷が大きく、限界がある。 一方、体温を維持する必要がない昆虫は省エネだ。少量の餌で育てられ、しかも廃棄部位がなく丸ごと食べられる。エコで効率的。超優秀な動物性タンパク源といえる。 昆虫食業界の切り込み隊長といえば、コオロギ。最近はコオロギ粉末を練り込んだせんべいをスーパーでも見かけるが、フライハイの木下敬介社長によると、マゴットならではの強みは三つある。 (1)粉末にする手間が不要 体が小さく形もシンプルで、そのまま食べても心理的ハードルが低い。 (2)成長速度が速い コオロギは生後1カ月半で出荷できるが、マゴットなら1週間でOK。
(3)水分の多い餌を食べる ハエは食品廃棄物のような水っぽい餌を好む。日本では年間35万トンのおからが焼却処分されるが、80%が水分で燃焼効率が悪く、多くのCO2が出る。35万トンのおからがあれば3万5千トンのマゴットを生産でき、残渣は肥料として再利用可能だ。 木下社長は意気込む。 「人間は様々な動物や植物や菌を手なずけてきたが、虫はカイコとハチくらい。衛生管理やアレルギーリスクなど安全性のガイドラインを整備し、昆虫も食材の選択肢として肉や魚と肩を並べられる社会になれば」 ゆくゆくは虫を扱う企業が協力し合うホールディングスを作り、様々な昆虫の生産、食品開発、環境問題や農業・医療分野への活用などを一挙に手がける……。木下社長は壮大な野望を「昆虫補完計画ですよ」と笑う。 その第一歩が、昆虫食品を製造・販売するTAKEO(東京都台東区)とタッグを組んで商品化した「ちりめんマゴット」だ。山椒を入れて甘辛く炊いた見た目は、完全にじゃこ。 恐る恐る口に入れると、味のクセはゼロで、パリパリした食感はほぼ桜エビ。月並みすぎる感想で恐縮だが、しょうゆ風味で普通においしい。食卓で冷や奴やサラダにパラパラとマゴットを振りかける未来、そう遠くないかも。 ※週刊朝日 2023年1月27日号