学校の運動会などで披露される組み体操で、ピラミッドなどにかわって行われることが多くなった「人間起こし」と呼ばれる技で、去年までの3年間に全国で145件の事故が起きていることが分かり、専門家は、「重大なけがにつながるおそれがあり、実施は控えるべきだ」と指摘しています。
「人間起こし」は、「トラストフォール」とも呼ばれ、数人で作った土台の上に1人の子どもを乗せ、立ち上がらせたり、後ろに倒れさせたりする技です。
この技について、大阪経済大学の西山豊名誉教授が、学校での事故をまとめている日本スポーツ振興センターのデータを分析したところ、去年までの3年間に全国の学校で145件の事故が起きていることがわかりました。
都道府県別では兵庫県が30件と最も多く、ついで、大阪府が18件、埼玉県が13件、愛知県が12件などとなっています。全体の6割が、上に乗る子どものけがで、脳しんとうや頭部の打撲など、勢い余って頭から地面に落下したとみられるケースが目立つということです。
組み体操をめぐっては、ピラミッドやタワーなどと呼ばれる技で事故が相次いだことから、スポーツ庁が3年前に通知を出し、安全を確保できない場合は行わないよう教育現場に求めています。
「重大なけがに 実施は控えるべき」
西山名誉教授は、ピラミッドやタワーなどの代わりとして、見栄えのよい「人間起こし」を行う学校が増えているとしたうえで、「アクロバティックな技で非常に危険だ。重大なけがにつながるおそれがあるので、実施は控えるべきだ」と話しています。