ドナルド・トランプ米大統領就任式翌日の1月21日、首都ワシントンをはじめ、アメリカ国内408カ所、国外168カ所で「ウィメンズ・マーチ」が行われ、百万単位の人が参加した世界規模の巨大デモとなった。デモには有名セレブや著名人たちもこぞって参加し、新政権下で予想される女性やマイノリティへの“圧政”をけん制した。
「ウィメンズ・マーチ」は全米各地で行われ、ワシントンでは50万人、シカゴでは15万人、ロサンゼルスでは12万5,000人が集結。ニューヨーク、マイアミ、デンバーやシアトル、アラスカでも大勢が集まり、「トランプ新大統領への抗議デモ」だと伝えられた。
今回のデモだが、弁護士として活躍し、現在は引退しているハワイ在住のテレサ・シュックという60代の女性が、Facebookで「トランプの大統領就任式の日に、ワシントンで抗議行進しよう!」と呼びかけたことが始まりだという。規模が大きくなったため、女性権利団体などへ手綱が渡されたのだが、主催者の1人キャサディ・フィンドレーは「これはトランプをターゲットにしたデモではない。それ以上のもので、女性の権利のために先手を打とうと行動を起こすデモなのです」「世界中の人々と結束して女性の権利と平等を支援していく、民主主義と多様性を称賛するデモ」と説明している。
しかし、参加者の多くはアンチ・トランプであり、「オバマ大統領の力で現実になりつつあった、女性や有色人種、LGBTQI(レズ、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クィア/クエスチョ二ング、インターセックス)の権利を、男尊女卑でゲイ嫌いのトランプ新大統領が潰すに違いない」という懸念からデモに参加。メディアの取材に対しても、「トランプは弱い者いじめをする。いじめは大声で告発しなければならない」「トランプは私たち国民が選んだ大統領じゃない!」などと息巻く人が実に多かった。
今回のデモの軸になった「ワシントンでのウィメンズ・マーチ」には、歌手のマドンナやケイティ・ペリー、アリシア・キーズら数多くのセレブが参加し、アリアナ・グランデは大好きな祖母、母ら家族と共に行進。若い層に絶大なる人気を誇る女優のゼンデイヤも、一般人に混じりデモ行進し、ファンとの写真撮影にも快く応じた。お騒がせ女優のベラ・ソーンは、ピンクのトレーナー姿にチェキを首からかけてご機嫌で参加。デモの様子をスナップチャットで頻繁に投稿した。
ほかにも、ドラマ『Xファイル』のスカリー役で知られるジリアン・アンダーソン、映画『ハリー・ポッター』シリーズのエマ・ワトソン、『デスパレートな妻たち』のフェリシティ・ハフマン、女優のエヴァン・レイチェル・ウッドやオリヴィア・ワイルド、DJのサマンサ・ロンソンや人気モデルのクリッシー・テイゲンら数多くのセレブがデモに参加した。
スピーチのために仮設ステージに上がったマドンナは、「愛の革命、反乱へようこそ」「最後に勝つのは正義って言うけど、今回の選挙では正義は勝たなかった。でも、最後には勝つの!」「自由のための権利、ありのままの自分であるための権利、平等のための権利を求めて戦いましょう!」「暗黒の中を一緒に、一歩一歩行進するのよ!」と呼びかけ、参加者を沸かせた。米「CNN」で生中継されているにもかかわらず、「行進なんて意味のないことだと私たちを誹謗する人たちに告ぐ。フ●ック・ユー! フ●ック・ユー!」と放送禁止用語を連呼し、「私ね、怒ってるのよ。激怒してるの。ホワイトハウスを爆破することも考えたわ」と言い放った。「でも、爆破しても何も変わらないしね」「だからって、あきらめたわけじゃないのよ。詩人のW・H・オーデンが第二次世界大戦中に、“互いを愛し合うか、もしくは死ぬか”って綴ったけど、私は愛することにしたの」と宣言した。
スピーチを終えたマドンナは、自身の曲「Express Yourself」とマイケル・ジャクソンの「Human Nature」を息絶え絶えに熱唱。「Human Nature」の「アタシはあんたのビッチじゃないのよ」という歌詞を参加者に歌わせ、「ドナルド・トランプは、チンポでもしゃぶってろ!」と過激にシャウトした。