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なぜ「お父さんは時代小説が好き」なのか

私は小田嶋師を師と呼ぶほどに尊敬しているのだが、時代劇ドラマや時代小説については、この意見には反対である。もちろん、封建道徳というものの大半が身分社会を前提とし、非常に人々を抑圧して下の人間を不幸にしてきたことは確かで、今時封建道徳を賛美するのは大馬鹿に決まっているが、時代劇というものは、現代の人間から見れば一種の異世界ものであり、SFとすら言えるのではないか。
封建道徳の下で苦しむ人間もいれば、その中で生き甲斐を持つ人間もいるのは当たり前の話で、南条範夫の残酷物など、まさに「現代の視点から見た封建世界」である。必ずしも、昔は良かったと賛美する類の作品ばかりが時代小説ではない。山本周五郎などは、封建道徳にかなり肯定的な姿勢の作家ではあったが、それは、そうしたルールの中でも幸福になることはできる、という向日的(影にではなく太陽に目を向ける姿勢)な考えからだったと思う。すべてを政治で判断するのは文芸に対する適切な態度ではないだろう。異世界には異世界のルールがあることこそ自然であって、異世界の中味がすべて現代と同じなら、異世界を舞台にする意味はない。(実は、そういう軽薄な異世界ものも多いのである。いわゆる「なろう小説」の大半はそれだと私は見ている。)
まあ、理屈はともかく、正義のためなら悪人を叩き切ってもいいというのが実は時代劇の一番爽快な部分で、だから実人生で悪に苦しむ中年男性などは時代小説が大好きなのであるwww 表向きの「民主主義」とは裏腹に、検察や警察や裁判所まで権力悪の支配下にある現代日本では、フィクションの中、それも時代劇の中にしか慰安は無いかもしれない。






小田嶋隆 @tako_ashi 13時間前

なので、滅びゆくあれこれを愛惜する人々が存在していること自体はいたしかたのないことと思っているものの、武家道徳やら封建規範やらについては、くそくらえと思っている、と、そういうことですのでよろしくよろしく。


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  • 13時間前

    もうひとつついでに言っておくと、私は、「お家大事」「忠義」「武家の矜持」「仇討ち絶対」「生命の軽視」といった、時代劇のバックボーンを支える精神性や文化は、単に現代において衰退しているというだけではなくて、滅びて当然の退嬰的な思想だったと考えている。


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  • 13時間前

    ただ、それはそれとして、現代の若い日本人のなかに、それら(つまり時代モノの小説や戯曲やドラマ)を楽しむに足るプラットフォーム(知識、教養というよりは、登場人物や主人公に共感する心情的なベースの部分)を備えている人間は少ない。だから、「役割を終えた」と言っている。


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  • 13時間前

    たとえば、井上ひさしの「不忠臣蔵」などは素晴らしい作品だと思っているし、その他にも時代小説やちょんまげモノには傑作がゴロゴロしている。藤沢周平先生の作品はすべて読んでいる。義太夫も大好きだし、三国志あたりも度々読み返している。


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  • 14時間前

    誤解して怒ったり悲しんだりしているフォロワーがいるといけないので、武家嫌いについて簡単に補足しておく。忠臣蔵をはじめとする時代劇や忠臣蔵がすでにその役割を終えたとオレが判断しているのは、それらがくだらないからとか作品として低劣だからという理由ではない。


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