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「現代の古典」を大切にしよう(付:「レ・ミゼラブル」のこと)

何の気無しに自分の書いた過去記事を読み返していたら、2010年4月27日の記事で美輪明宏の「ヨイトマケの唄」のことを書いてあったのを見つけた。
我ながらいいことを書いているし、なかなか先見の明があるではないか、と思ったのだが、世間に埋もれているいい物を発掘紹介するという行為は、これは社会への貢献の一つではないだろうか。
このついでに、書かないでいると忘れそうなことを今書いておく。

今の日本は娯楽が消耗品化していて、大衆芸術の優れた作品が生まれても、わずかの間に記憶から消えていくことが多い。これは悲しむべきことであり、無数のゴミ作品の中にある宝石のような名作を、「現代の古典」つまり、永遠に残し、次代に伝え、世界に広める作品としていくべきだと私は考えている。
「魔法少女まどか☆マギカ」などはそうした作品の一つであり、私はこの正月、それをDVDで再見して、感動の涙で充実した時間を過ごしたのであった。
ほかに、「デス・ノート」実写版の第一巻の海賊版がユーチューブで見られたのも思いがけないお年玉であった。ついでに海外の「デス・ノート」ファンの作った動画なども面白く見た。この「デス・ノート」(原作漫画、実写版映画、アニメ版、それぞれに良い。)や「まどか☆マギカ」などが、私の考える現代の古典だが、日本ではこれらが「オワコン」(終わったコンテンツ)扱いされていなければ幸いである。

なお、昨日は偶然に時間の都合がよかったので、映画の「レ・ミゼラブル」を見たが、評価は微妙だ。力作だし良心作だが、セリフを全部歌にしたために曲に時間が膨大に使われ、ドラマがかなり薄くなっている印象である。もちろん、「民衆の歌が聞こえるか」が歌われた時には涙が流れそうなくらい素晴らしかったのだが、全体としては、ミュージカル耐性の無い人にはかなり辛い作品だったかもしれない。そして、原作のデティールの味わいは、わずか数時間の映画で表すのはもちろん不可能であり、映画を見ただけでこの作品を理解したつもりにはならないほうがいい。(追記:ネットでの感想を見ると、大絶賛が多く、年末にこのブログで自分では未見のこの映画をお勧めした責任上、少しほっとした。現在、この映画は大ヒットしているようだ。)
実は昔の良心的アニメ番組「ハウス家庭名作劇場」(と言ったと思う。「フランダースの犬」や「赤毛のアン」などの秀作や「トム・ソーヤーの冒険」「足長おじさん」などの愚作が混在していた。もちろん、原作ではなく、アニメとしての愚作ということだ。)の末期に作られた「レ・ミゼラブル(少女コゼット)」は、原作の優れたアニメ化であり、女性キャラが幼稚な少女漫画絵であったために内容も低レベルと思われているが、内容自体は実に見事に原作の精神を伝えている。稀有なアニメ化の一つである。機会があれば鑑賞することをお勧めする。









(以下、私自身の過去記事の再掲載)









ヨイトマケの唄

  (父ちゃんのためなら エンヤコラ
  母ちゃんのためなら エンヤコラ
  もひとつおまけに  エンヤコラ)


1 今も聞こえる ヨイトマケの唄
  今も聞こえる あの子守唄
  工事現場の昼休み
  たばこふかして 目を閉じりゃ
  聞こえてくるよ あの唄が
  働く土方の あの唄が
  貧しい土方の あの唄が

2 子供の頃に小学校で
  ヨイトマケの子供 きたない子供と
  いじめぬかれて はやされて
  くやし涙に暮れながら
  泣いて帰った道すがら
  母ちゃんの働くとこを見た
  母ちゃんの働くとこを見た

3 姉さんかぶりで 泥にまみれて
  日にやけながら 汗を流して
  男に混じって ツナを引き
  天に向かって 声をあげて
  力の限り 唄ってた
  母ちゃんの働くとこを見た
  母ちゃんの働くとこを見た

4 なぐさめてもらおう 抱いてもらおうと
  息をはずませ 帰ってはきたが
  母ちゃんの姿 見たときに
  泣いた涙も忘れ果て
  帰って行ったよ 学校へ
  勉強するよと言いながら
  勉強するよと言いながら


5 あれから何年経ったことだろう
  高校も出たし大学も出た
  今じゃ機械の世の中で
  おまけに僕はエンジニア
  苦労苦労で死んでった
  母ちゃん見てくれ この姿
  母ちゃん見てくれ この姿

6 何度か僕もぐれかけたけど
  やくざな道は踏まずに済んだ
  どんなきれいな唄よりも
  どんなきれいな声よりも
  僕を励ましなぐさめた
  母ちゃんの唄こそ 世界一
  母ちゃんの唄こそ 世界一


  今も聞こえる ヨイトマケの唄
  今も聞こえる あの子守唄
  (父ちゃんのためなら エンヤコラ
  子どものためなら エンヤコラ)


丸山明宏、現美輪明宏の「ヨイトマケの唄」である。この中に出てくる「土方」という言葉が放送禁止用語であるために、この唄をマスメディアの中で聞くことはできない。これほど倫理観にあふれた高潔な歌が放送禁止歌であるということに釈然としない気持ちになるのは私だけではないだろう。
丸山(美輪)明宏はオカルトチックなところは敬遠したくなるが、作詞家としての才能、歌手としての才能は大変なもので、彼が訳したシャンソン「アコーディオン弾き」の歌詞は大傑作である。一度、聞いてみると良い。

現在の日本では、マスメデイアの中でシャンソン、カンツォーネなどを聞く機会がほとんど無い。ずいぶんいびつな音楽状況だと思う。これによる若者たちの「機会損失」はずいぶん大きいだろう。本当に良いものを知らず、ただ日本国内とアメリカで生産される文化の中だけで生きているのである。いわば、文化的鎖国の状態ではないか?

酔生夢人
2010-04-27 08:49
随想(ノンジャンル)
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(付録)アニメ「レ・ミゼラブル」のネット評価。肯定論否定論区別せずに載せておく。子供が見ても大人が見ても楽しめるアニメだが、親が子供と一緒に見て、人間の善悪や、優れた人格とは何か、社会の不合理や悪と戦う勇気などについて話し合うのもいいかと思う。






作品紹介(あらすじ)

■ 名劇№24 ( 全52話予定 ) ■


人は何の為に生き、何の為に愛するのか…
心の暗闇を照らし出す美しい魂の輝き。

革命のパリ、ジャン・ヴァルジャンを追い続ける冷酷なジャベール警部からの手に汗握る逃亡、
情熱に燃える青年マリユスと成長したコゼットの美しい恋の物語。

幼いコゼットを連れパリからやってきた母・ファンティーヌは、仕事を探してモンフェルメイユ村までやって来ました。

[詳細]


放送:BSフジ (CSチャンネルでも放映予定) 配信:BIGLOBEストリーム


原作

ビクトル・ユーゴー 「レ・ミゼラブル」より



監督

桜井弘明



脚本・シリーズ構成

金春智子



キャラクターデザイン

渡辺はじめ 吉松孝博



美術設定

伊藤主計



美術監督

中村光毅



音響監督

早瀬博雪



音楽

松尾早人



アニメーション制作

日本アニメーション


[詳細]


日本 開始日:2007/01/07(日)


公式サイト
1. 世界名作劇場「レ・ミゼラブル 少女コゼット」







【良い点】
話の内容がよくできている

【悪い点】
絵が他の名作劇場シリーズと違って今風すぎる。昔の平凡なシンプルな絵の方が親しみやすかったと思います。

【総合評価】
昔から好きだった名作劇場シリーズが復活して期待していた作品でした。最初は絵がどうしても苦手でしたが、見ているうちに気にならなくなりました。
絵でこの作品を判断されている方、多いと思いますが、この作品は本当に面白いです。
中盤、少しダラダラした展開になるところがありますが、革命前辺りからなんかは、夢中になりました。

全体的に飽きないストーリーで、序盤は見るのも辛い展開だったのが本当に終わりの方では、悲しい出来事なども多くありましたが見ているだけでこちらも幸せを感じるほどのハッピーエンドだったと思います。

また、他のレ・ミゼラブルと違い、コゼットを主人公にしているのもこのアニメの特徴です。

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2012/02/13

BSの民放で放送された作品なので知名度はかなり低い作品だと思います。かく言う私も本放送時は全く知りませんでした。
絵柄はかつてやっていた名劇のそれとは大きく異なり、いわゆる現代風の萌えアニメ的な感じです。ですが、内容は本格的な
名劇作品であり、多くの人々が織り成す見ごたえのある重厚な歴史アニメになっています。最初から最後までドラマチックな
展開が待っており、飽きることなく最後まで観ることが出来ました。また、作画のレベルも高く10年ぶりに再開した関係者の
意気込みが伝わりました。個人的に見て名劇の中でもトップクラスの作品であると思います。

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【総合評価】

原作は文庫版を既読で、少女コゼットは全話視聴しています。

ヴィクトル ・ ユゴー著であるレ ・ ミゼラブルと言えば、不朽の名作として有名な作品ですが、ミリエル司教様の素晴らしさが延々と書かれており、歴史的な事実説明や文化説明なども長く、また、話が前後したりしますので、読み易いとは言い難いかと思います。 勿論、不朽の名作と言われるだけあって面白いのですが、ユゴー爺さんの語りが長く苦痛に感じたりします。 勿論、これは個人的な感想ですので、読み易いと言う方も居られると思います。

本来はジャン ・ ヴァルジャンを主人公とした群像劇ですが、この作品はコゼットを主人公としているのが特徴だと言えます。 コゼットを主人公としたのは、世界名作劇場だからと言う理由かもしれませんが、時系列がスッキリしていて観易いと思います。

パリ編以降、コゼットの存在感が薄くなってしまうのは、「群像劇」 ですので許容範囲ではないかと思います。 そもそも序盤から、コゼット、ファンティーヌ、ヴァルジャン、ジャヴェールと複数の視点で描かれています。 この作品の視聴後に、何故、今までコゼットを主人公としたレ ・ ミゼラブルがなかったのかと不思議に思った程です。

コゼットを主人公としただけではなく、良い変更だと思える部分が多々見られます。 トロミエスを登場させず、コゼットの実父は死亡扱いとしたことで、ファンティーヌを母として持ち上げることに成功しました。 ヴァルジャン、マリウスがテナルディエに金銭を渡さなかったこと、オリジナルキャラであるアランが市長代理を務め、モントルイユ ・ シュル ・ メールが廃れなかったこと、ガヴローシュとシュシュの存在と結末、特にジャヴェールの結末の変更は素晴らしかったと思います。

原作では、コゼットはファンティーヌの記憶がなかったのですが、アニメ版では記憶がありますので、ファンティーヌが亡くなったことを知る話や墓参りに行く話など、多数の感動的なオリジナルエピソードが生まれました。 細かい部分を挙げればキリがない程、沢山あると思います。


気になった点と言いますか、トロミエスを登場させなかった為、コゼットをワーテルロー亭に預ける件の説得力が欠けることです。 時系列がスッキリした為、コゼットとファンティーヌの苦境が過去ではなく、現在進行形となっています。 それ故、コゼットをワーテルロー亭に預けたまま、一度も会いに行かなかった (本当は行けなかった) ことが、何故 ? と疑問に感じてしまう方がいるかもしれません。

特に黒硝子工場を解雇された時などは、良い機会だから会いに行けば良いのに…、と言った具合に、より顕著に感じてしまうのではないでしょうか。 まあ、モントルイユ ・ シュル ・ メールからコゼットの居るモンフェルメイユまでは、かなり遠いですので簡単に行き来は出来ないのですが…。 時代背景などの説明を、作中でするべきだったのではなかったのか ? と思っています。

また、六月暴動において、ABC (アベセ) の友のメンバーが次々倒れていく中、一滴の血も流れないのは拙かったのではないかと思っています。 如何に子供向けとは言え、まるで演劇のような雰囲気で優雅に人が倒れていく描写は、流石にどうかと思ってしまいます。 過度な表現は控えるべきだと思いますが、適切な描写をするべきだったのではないかと思っています。


OP ・ ED 共に良い曲だと思います。 どちらも最後まで曲も映像も変わりませんが、序盤の展開などを忘れさせない為、総集編のような役割を OP ・ ED の映像が果たしていたと思っています。 BGM も良く、作中でコゼットやガヴローシュが歌う 「魔法の子守唄」 は、切なくて、もう堪らないと言う感覚にさせられ、特に良かったと思っています。

雰囲気を壊さないように、A パート、B パートの展開に合わせてアイキャッチの音楽を使い分けているのも好印象です。 最終話が 「銀の燭台」 とは、何と心憎いサブタイトルでしょうか、制作サイドのセンスの良さを感じます。

好意的に観ると 「彼女は犬を愛した」 と言う一文から、「シュシュ」 が登場したのではないかと思えるのですが、恐らくは世界名作劇場の名物だから登場したのでしょうね。 しかし、この 「シュシュ」 はガヴローシュと共に、コゼットの苦境をマイルドにする効果があり、この作品には欠かせない存在だったと思います。

もう一つ世界名作劇場の名物と言えば、「食べ物が美味しそうに見える」 と言うのがありますが、この作品も例に漏れず、とても美味しそうに見えました。 ああ言うシチュエーションだからこそ、美味しそうに見えるのでしょうね。

「レ ・ ミゼラブル 少女コゼット」 是非、ご覧になってみてはいかがでしょうか。 原作未読の方は勿論、原作既読の方にも、十分満足の行く作品に仕上がっているのではないかと思います。

評価は 「最高」 とします。



[共感]
2012/02/13 本作への分析が非常に素晴らしいです。特に作品への魅力が引き出せており、私もリアルタイムで視聴しましたがこのレビューを読んで懐かしさが込み上げてきました。 by 墨汁一滴


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2009/06/30

原作は読んでません
絵は萌えというよりも、なんかカレイドスター思い出しました。キャラデザ的に。

1話1話がちゃんと作られていると感じた物語は言うまでもなく、声優の演技もかなりよかったですね
52話と長く楽しめるのもいいですね。
OPEDも良い曲です。EDはかなり好きでした

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2008/10/01

ジャン・バルジャンではなくてコゼットをメインにっていうのがこの作品のコンセプトであった筈であるが、そうでもなかったね。余り変えすぎても原作の原型を留めなくなってしまうし、それは名作劇場としても避けたかった所であろうから、しょうがないといえばしょうがないか。

映画やら舞台で散々視聴してきた作品なので真新しさみたいなのは全く無かったのも楽しめなかった要因であるのかな、他のレ・ミゼラブルと比較しても余り上手くいってなかったと思うし、アニメとしてもそれ程面白いと感じなかったっていうのがこの作品の感想である。

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2008/09/21

まず、私は、この評価をつけるにあたって、原作との比較は、なしにした。
【良い点】
opとedである。また、1830年代のフランスの状態を良く表していた。(ヨーロッパと違う表現などもみられたが)

また、よいシーンが多かった、心から泣けるシーンもあった。(あげるときりがないが)

最後に、私たちが生きている今にも考えさせるないようもふくまれていた。

【悪い点】
コゼットの主人公としての薄さ、後半の修道院のあとから、マリウスとジャンがほとんど主役になってしまったこと。

【総合評価】
本当は、文句のつけようのないアニメである。昨今のアニメでも、こんなストレートなのは、ないだろう。コゼットは、主役として、薄かったが、エポニーヌとの対決、母親に報告に行く話、ある程度の見せ場は、あったはずだ。最後にopとedの映像が変わって欲しかったのと時間の進みがわかりにくい感じがしたのは、残念だが、このアニメは、何度見ても良いアニメだと思う。

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2008/07/19

これ、途中から観たのですが
「運命の糸」を感じさせられるシンプルでピュアな物語。

その糸を乱すもの、たぐり寄せるもの、この二つがこの作品の大きなテーマの「人は変われるか」に結実している。昨今の作品ではなかなか真正面から描かれないもの。さすが長尺。さすが名劇。
作中で盗賊団の一人が「あいつらは俺たちには一生わからんものを知っているらしい」といったような事を口にしてましたが、そういうものが描かれている。ヴァルジャンを始め、エポニーヌやジャヴェールの結末もそうした意図に即したものに。

作中でコゼットが成長しているにも関わらず、バルジャンから幼いコゼットへ手が差し伸べられる OP、 幼いコゼットが母への想いを綴る ED は最後まで変わりません。そこには変わらんとする中で決して忘れることのない変わらぬ想い、という主張を感じます。

コゼットとマリウスが守られる存在であまり活躍できないのですが、二人には先人からの愛と恩恵を受け継ぐ者という役割が持たされている。二人の得た幸せは、平和な時代に生きる我々の幸せについて考え直してもらう存在に思われます。その意味ではコゼットが主役の位置付けになるのですが、物語としての主人公はやはりヴァルジャンでしょう。彼の一生を描き切ったのですから。
あと、ヴァルジャンの窮地を脱する知恵と経験が際立ってましたね。それと、やはり金の力は大きい、ということ。あの頃の馬車って今で言えば専属タクシーみたいなもので結構お代は高そう。

裏を返せば、この作品は「持てる者」へのメッセージ的色彩が強い。終盤はそうした色を出そうとするあまり引っかかるものを感じたのも事実(特にマリウスと彼の老父…彼らも変われてはいますが、その質は異なる)。
あと、多少近視眼的に見ないとつらい部分も。例えばヴァルジャンの警戒心やジャヴェールの彼への執着…それ自体は人物像として内容にきちんと役立てられていますが、状況との整合性が不自然でこじつけっぽく感じる所もしばしば。学生達の革命蜂起バリケード戦にしても同様。
原作は未読なのですが、人物は善人寄りに振られているようです。また、パリの街の描写もおそらく相当に口当たりが軽いものにされている筈。汚水処理とか。この辺の綿密さは原作とは比べるべくも無さそうですが、そもそもメディアも受け手層も異なりますし。

ただ、これはピュアな願いを伝える物語であり、そうした突っ込みをはねのける輝きは感じ取れるものでした。
名劇自体評価する尺度を持ち合わせていないですし、過去の名作群との比較では多少持ち上げ過ぎな気もしなくはないのですが、昨今では異色の存在という部分も加味して「とても良い」にしておきます。ランク付けは気が引ける、というのが本心。

(余談)
野暮な突っ込みなど入る余地もないくらい超絶ピュアな恋話…こいつには悶絶させられた。
何せ<花>通信ですからね。今の時代じゃ奥手も古風もいい所です。調べてみた所、中世の恋愛観は男性優位は無論のこと、特に上流階級では恋愛ドキドキは危険なものとして否定的な考えが支配的だったそうです。(だとするとマリウスがテナルディエの脅しに屈しなかったのも実は大変勇気の要る行為だった筈。)
んまぁ、マリウスでなくとも我々ボンクラはコゼットにイチコロですよ。そのぶん、女性層からは微妙に受け取られるのかな。名塚先生は偉大です。ファンは必見…義務ですよ、義務。

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[推薦数:1] 2008/07/17

世界名作劇場復活オメデトデス
実に泣けるSTORYだね。コゼット・・
こういうAnimeは久々だよ

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[推薦数:1] 2008/06/10

DVDで全部見ました。
世界名作劇場・復活記念作品という事で、期待していましたが…

復活最初の作品だからなのか、後に残した課題が多くあった気がします。
本作最大の問題点は何より、主役である筈のコゼットが空気であった事ですね。
元々原作の主役はジャンであった事も目立たなくなってしまった理由なんでしょうけど、特に終盤はジャンとマリウスだけで物語は成り立っていました。
コゼットがここまで目立たなくなったのは、原作を無視すると、個性のなさが最大の理由でしょう。
彼女に持った印象は正直、『ごく普通の女の子』。
ジャンに救われてからは悲劇のヒロインではなくなるし、ポルフィのような明るさ、無邪気さもない。
笑ってもどこか暗い印象。…そんな感じでした。
特にジャンに救われてからは、不幸でもなんでもなくなります。
コゼットは決して悲劇のヒロインなんかじゃない、というのが私の意見。
エポニーヌの方が作品における悲劇のヒロインではないのか、って思った程です(だから私は今でもエポニーヌの方が好きです)。
また、原作でもそうでしたが、コゼットとマリウスがくっつくのはやっぱり嫌でした。
だってマリウス、第三者から普通に見ればただのストーカーじゃないですか(^^;)
時代が違えば、彼は間違いなく犯罪を犯している事になります。
悲劇の最期を迎えたエポニーヌが最後まで救われないのが、本当に許せないんです。
ストーカーとごく普通の女の子が結ばれる展開は…共感得にくいと思います。
結局、コゼットは最終回直前に母の事を知る為に色々しますが、これがなければ本当に印象がないままでした。
それと、マスコットのシュシュに至っては完全にいらない存在。
名作劇場シリーズに動物は当たり前のようにいますが、シュシュは動物の役割を果たしているように全然見えませんでした。
最終回もジャンが主役のようでしたし。
何よりも『人は変わる事が出来る』という物語根本のテーマがコゼットにとって最後まで無縁だったというのも…

それから、主題歌にも難があります。
歌はとても良い曲です。名曲扱いしても全く問題ありません。
しかし…問題は映像です。
物語の途中でコゼットは成長するのに、映像は幼い彼女のまま。
それにもう一度言いますが、コゼットはジャンに助けられてからは不幸ではなくなります。
この辺が、作品らしさと非常に矛盾している気がします。
エンディングに至っては、コゼットの母・ファンティーヌは10話程で退場にも関わらず、そのまま最後まで『大好きよ、ねぇお母さん♪』ですからね…
もう少し作品の空気を読むべきではないかと(誤解のないように言っときますが、私、一応この歌好きですからね)…。

しかし、内容はとてもいい仕上がりになっています。
元々原作も長く、オリジナルが作りにくいからなのか、1話1話は重厚な仕上がりです。
名作劇場最大の特徴である、日常のあるがままの姿も忠実に描かれていますし、作品のクオリティはかなり高レベルである事は間違いありません。
近年はこのような1年かけて作るアニメはなくなってますから…かなり貴重です。
ガヴローシュやジャヴェールが最後には助かり、テナルディエが警察に捕まる展開はむしろ誉めます。
これも一応原作を無視している展開ですが、子ども向けアニメでは、このような勧善懲悪はある程度守らなければいけませんから…。

クオリティは高く評価しますが、細かい違和感をマイナスして、評価は限りなく普通に近い『良い』です。
本作が残した課題を、『ポルフィ』を始め、これからの作品が解決する事を願います。



[共感]
2008/10/15 第2段落と第4段落の指摘がとても的確です。原作通りで仕方がないのですが、この作品のヒロインはエポニーヌの方がふさわしい気がします。 by coinboard


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[推薦数:1] 2008/03/11

地上波からBSフジへ乗換え、10年ぶりの再開を果たした世界名作劇場の近作。
きっかり1年間、休みなく52話が定時に放映されたのは、BSデジタルのイマイチ浸透してなさ加減がもたらした恩恵かも(年末年始の特別編成やスポーツ中継の影響がほぼない)。

本邦においても馴染み深い「レミゼ」を原作通りオッサンの物語とするのではなく、養女となるコゼットの側から描いた点がまず評価できる。
これを見てしまうと、なぜ今までこういう翻案がなかったのかと思えてしまう(もしかするとアニメ以外の作品にはあったかもしれないが)。なにせ過去には主人公の性別を変えたことさえある名作劇場、この程度のアレンジはかわいいものだ。
絵柄はカレイドスターのまま、なんとも萌えキャラ然としたコゼットのインパクトは絶大。
そんなコゼットが成長し、マリウスと結婚して初めて本格的にジャンの過去(それこそがレミゼ本来の導入部)が語られる。
この倒置構成は、ジャンの人生の秘密といった趣を生み、彼のモノローグやジャベールとの因縁などに垣間見える断片から謎を解き明かす楽しみを、本作で初めてレミゼに触れた視聴者に与えた。
最終話に付けられた「銀の燭台」というサブタイトルの何と心憎いことか。

コゼット視点であるため、テナルディエ一家との関連性が強調され、後半での彼らの描写に奥行きと説得力が備わった。
それぞれが、あってもなくても大勢に影響ない一エピソードに埋没することなく、後々までリフレインされ、そのこと自体にも意味がある。
完結した小説を元にしているからこそ可能となる構成なのだろうが、と言って誰しもできる芸当でもあるまい。
学校に通えないコゼットが学ぶことの喜びを知るくだりは、パリ編でのジャンの学校建設という目標へと繋がっていく要点だった。
絵的には最も華やかだった修道院での暮らしは数話にとどまり、やや物足りなさを覚えたが、コゼットの結婚式で再び彼女たちが姿を見せてくれたのは嬉しい配慮だ。

エポニーヌのコンプレックスはひょっとすると視聴者の大半が抱いているかも知れないから、特に念入りに演出されていたと感じる。
微妙に揺れる感情を演じきった笹本優子の実力もあって、とりわけ成長したエポニーヌは秀逸なキャラとして完成した。
マリウスの部屋に少々強引に上がり込み、法律書(だろう)を開いてみても読み取ることができなかった彼女の、哀愁あふれる苦笑がたまらなく心をうつ。
「コゼットとエポニーヌ」は二人の最後の邂逅を桜井監督自らのコンテで物語った屈指の名編であった。

本作と原作との大きな違いはキャラの生死にある。
バリケードで撃たれ、原作ではそのまま息絶えたガブローシュが、アニメオリジナルの愛犬シュシュに救われる。
ジャベールは自殺することなく、かつてのジャンのように生まれ変わる道を選択した。それゆえクライマックスにおいてテナルディエの動向に決着をつけることができたのは大きな成果。
ここでもやはり、なぜ原作はそういう展開ではなかったのかと疑問が起きてしまう。単に価値観の差だと片付けられはしないと思うのだが…。

要所要所で改案・補足を実践してきた本作だが、疑問を覚える箇所もなくはない。
例えばマリウスに対し、コゼットとエポニーヌが一目惚れと相成っても、成就するのはコゼットである。
どちらかと言うと先にマリウスがコゼットにモーションを掛けていたのは事実だが、彼のエポニーヌに対する態度がどこかしら上流気取りに感じられてならない(それが演出意図かも知れないが)。
対比としてマブーフがエポニーヌを「妖精」と評した一連のシークエンスにすこぶる好感を抱くのは必然。
この愛すべき二人がバリケード最初の犠牲者となる運命は、過酷に我々に訴えてくる。
またアベセの友の蜂起についても、庶民の自由獲得という目的とバリケードという手段とが、どうしても結び付かない。ここはアニメなりの解釈があっても良かったのではないか。

ジャンの逝去をもって物語は完結したが、ジャベールとガブローシュが生き延びたことで新たな意義と希望が生まれた。
アランたちが建てた施設を「コゼットのお母さんの革命だ」と表現したガブローシュのセンスを真似るとすれば、本作は「レ・ミゼラブルの革命」と言ったところか。
「人は変わることができる。人類もだ」というジャンの提言は、それ単独では大袈裟に聞こえかねない。だが1年間に渡るこの物語を見届けたなら素直に受け入れられる。
原作を、名作劇場を、日本のアニメを、そして視聴者を、本作はどう変えることができたのだろうか?
たとえ市民が立ち上がらなかったとしても、革命が失敗したわけではない。



[共感]
2008/06/11 感嘆しました。 by せんぬき


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2008/01/20

【総合評価】

子ども向けアニメとは思えないほど、ていねいに原作に向き合っていたと思います。子ども向けゆえのさまざまなアレンジがあり、仮におとな向け番組という視点から見たとすると、そういった点は気になるものかもしれませんが、子ども向け番組としてみた場合には必要なアレンジをしつつ原作の中核を生かしたものになっていると感じます。
とくに、この原作は映画化されると、ともすると、ジャン・バルジャンの英雄譚にされてしまいがちで、市長としての活躍、逃走劇、地下下水道の場面などがジャンを中心に感動的に描かれるケースが多いのですが、このアニメでは、コゼットを主役にしたことによって、ジャン・バルジャンだけでなく、ファンティーヌやマリウス、エポニーヌなど、多くの「主役」が「脇役」に貶められることなく、生きたことが何よりもよかったと思います。とくにファンティーヌは、ほかの映画などでは「ジャンに助けられる哀れな母親」のようにしか描かれませんが、このアニメでは、身を落としながらも我が子との再会を希望に、正しく生きようとした母親のせつないまでのけなげな生き方が浮き彫りになっています。これこそ、ビクトル・ユーゴの描きたかった「レ・ミゼラブル」(惨めなる人々)の世界ですし、それが捨象されずに描かれたのは、ほかの映画版「レ・ミゼラブル」にはない優れた点だと思います。セリフには、その後のフランスの変化を感じさせる歴史的な視点が入っており、革命の敗北の物語であるにもかかわらず、明るい未来を予感させるつくりになっているところもいいですね。1832年の革命以降、フランスは48年の革命やパリ・モミューンを経験し、二度の大戦のあと、いまの生活者中心のフランス社会へと変遷を遂げますが、そういった歴史の中の一ページとしてこの作品を見ると、また違った楽しみ方ができるのではないかと思います。ユゴーはフランスの現代を知りませんが、アニメスタッフは革命のその後のフランスをよく知っているわけで、ファンティーヌたちの犠牲の上に、やがては保育所や学校がつくられ、社会保障が充実していくという歴史の流れを頭に置きながら作品を見ると、歴史の一断面を子ども向けに描いたよくできた作品だなあとしみじみと思ってしまいます。

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2008/01/04

まだ4話しか見ていませんが、一応コメントだけ残しておきます。

とりあえず、作画が今風になったことは別に気にしてないです。
名作劇場だって、少しは今風になってもいいと思いますし(ただ、ジャヴェールの悪人面したあの顔は…彼は本物の悪人ではないのですよ)。
ただ、内容がちょっと苦しいかな、と。
原作は今読んでいるところですが、かなり難しいです。
そんなアニメを、果たして子どもたちに理解することができるのでしょうか?
これはかなり製作するにあたってしっかり考えてほしいと思います。

それから、主人公・コゼットの個性が全然感じられないかな、と。
声もかなり浮いてますし。あの声、成長してもそのままなのでしょうか…?
これもどうなるか…こっちに関してはかなり不安の要素のほうが多いです。

子ども向けアニメとしてふさわしいのか、私としては『NO』な気がしますし、そこだけでも悪い寄りにしてもいいのですが…
名作シリーズの復活は素直にうれしいので、それをプラスして、普通寄りで。

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2007/10/21

名劇復活したんですね。
見ていないのでコメントだけ。

しかし絵面がまたえらい「イマ風」になりましたなぁ・・・(HPで確認)。
コゼットちゃんのお目々がおっきい。
「少女漫画絵」でないのが名劇のよさだったと思うんですが・・・
(細めの目が多かったので、作品によって作画が違うのに気付かなかった小さい頃)。
んでジャベールが極端に悪役っぽい顔なのが不満です。

それはさておき、「少女コゼット」という案は悪くないですね。
昔、岩崎書店から出ていた名作シリーズでは、アニメ同様「少女コゼット」となっていましたし。
子供向けにしようと思ったら、コゼット主役でもどうにかなるもので・・・
(ちなみに、他の子供向けの本では、前半ばっさり切ってマリウス主役になってたので、それに比べれば無理は随分少ない)。

何はともあれ、名劇が復活したのは嬉しいことです。
最初にやるのが、何で「レ・ミゼラブル」なのかは謎ですが・・・。

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2007/04/30

現在17話まで完了しました。オンエアにリアルタイムで付いていく作品は久しぶりです。
今年になって少々ヒマになったってこともありますが。
録画消化でも3話か4話で挫折することの多い私がこれだけフォローしているということで、つまり
現時点での感想は「素晴らしい ! 」です。もう手放しで褒めてしまいましょう。
作画はあまり気にする方ではないですが、この点も一貫して高いレベルで安定しており感心します。
さすが名劇の面目躍如といったところかと。地上波でないのが惜しまれます。

名塚コゼットの破壊力と名劇のネームバリューで観始めたのですが、ストーリーも十分に楽しんでます。
原作を読了していますが (とにかく大長編で大変でした・・・) そこはそれ名劇ですから
どんどん改変されるわけで、読んでいるから先の予想がつくとは言えません。
原作の冒頭はミリエル司教関連の記述が延々と続くのですが、本作ではザックリ端折られた(数分で終了 w )のが
少々呆気なかったなぁ、というくらいですね。
ファンティーヌの凄まじいまでの悲惨さが薄められたのは、まあ子ども向けアレンジとして妥当でしょう。
とにかく、どの年齢層でも、原作を読んでいてもいなくても楽しめる作品になっていると思います。
16話ではいい年こいて滂沱の涙・・・ベタベタな演出にすっかり乗せられました。

この先もっとも気になるのは、マリウスとは一体何者でどのように登場するのか、ですね。
当初、アラン (原作に登場しないオリジナルキャラ) とマリウスは同一人物なのだろうと思っていましたが
公式サイトの紹介文によればそうではない様子。しかし未だに同一人物説を捨てきれません。
アランはいい奴ですから、コゼットは何処の馬の骨ともわからないマリウスなんかよりアランとくっ付けばいい。
・・・なんて、単なる願望・妄想ですね。それもこれもコゼットが可愛すぎるせい。

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2007/04/11

可もなく不可もなくといったところ。
原作からすれば、随分削られた部分が多いのも世界名作劇場としては珍しい部類。

コゼットを主人公にしてしまった部分が凄まじい気がする。
返って原作とは異なったレ・ミゼラブルの新しいストーリーが誕生した。と評したい。

前半はとても直視できないような内容が多く、小公女セーラに匹敵するほどつらい内容だったが、
やっとそこから脱却し、少しずつ、「幸せ」という「永遠のテーマ」に近づいていくという視点から見れば、

不幸というテーマはあるものの、土から芽がでて息吹をあげて最後に花を咲かせるという王道のストーリーというコンセプトが成り立ち、見るものを引き立てる形になりそう。

今後、どういう内容になるかが見もの…。
最終的な評価は下せませんが、現時点では、"良い"で






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