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手紙配達者(文づかい)20

今や私は下界を離れたこの塔の頂で、昨日ラアゲイッツの丘の上から遥かに初対面した時から、怪しくも心を惹かれて、卑しい物好き心でもなく、好色な心でもないが、夢に見、現(うつつ)に思う少女と差し向かいになった。ここから見晴らすはずのザクセン平野の景色はいかに美しくても、茂る林もあり、深い淵もあるだろうと思われるこの少女の心には、どうして勝ろうか。
 険しく高い石の階段を上ってきて、顔にさした紅の色がまだ褪(さ)めないのに、まばゆいばかりの夕日の光に照らされて、苦しい胸を鎮めるためだろうか、この頂の真ん中の切り石に腰を下ろして、あの物言う目の瞳を突然私の顔に注いだ時には、常には見栄えのしない姫だったが、先に空想の曲をピアノで演奏した時にも増して美しいのに、なぜか、誰かの刻んだ墓の上の石像に似ていると思われた。




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HN:
酔生夢人
性別:
男性
職業:
仙人
趣味:
考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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