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結婚制度の崩壊と「玉の輿」願望

結婚という「制度」について考えていて、結婚制度の崩壊は、女性を不幸にするのではないか、とあれこれ考えたのだが、簡単な話、「玉の輿」というのは結婚制度が前提だろう。
最近楽しみに見ている「スキップとローファー」というアニメの中で、女主人公の同級生である少女(高1)が、「私、高校の間にスペックの高い恋人を作る予定なんだ」というような発言をするのだが、この「スペックの高い恋人を持つ(作る)」というのも、要は「玉の輿」願望だろう。自分が何かをするのではなく、恋人のスペックを利用してカネや物や地位を手に入れるわけだ。
昔、広田レオナ(漢字は忘れた)というタレントがいて、彼女がタレント発掘のテスト会場で、何か芸をやってみろ、と言われて「わーたし乗りたいな玉の輿~♪」と自作の歌、「玉の輿音頭」を歌って踊ってウケたという話があるが、これは、或る種の女性(しかも、珍しい層ではないと思う)の願望を正直に出したものではないか。
その玉の輿願望とは対極にある、私が考える「あるべき結婚の姿」を、少し前に書いた記事から引用しておく。「同じ本」とは呉智英のある本である。

(以下自己引用)


冗談はさておき、同じ本の中に、木山捷平の詩が引用されていて、これがなかなか感動的なので引用する。


  メクラとチンバ


お咲はチンバだった。
チンバでも
尻をはしょって桑の葉を摘んだり
泥だらけになって田の草を取ったりした。

二十七の秋
ひょっくり嫁入先が見つかった。

お咲はチンバをひきひき
但馬から丹後へーー
岩屋峠を越えてお嫁に行った。

丹後の宮津では
メクラの男が待っていた。
男は三十八だった。

どちらも貧乏な生い立ちだった。
二人はかたく抱き合ってねた。


私は露骨なエロが大嫌いなのだが、この詩の最後の一行は素晴らしいエロチシズムだと思う。まさに、神々しさを感じるエロチシズムだ。人生の真の幸福が凝縮したような一行だ。
こういう詩を読むと、ポリコレとか差別語狩りのくだらなさが明瞭に分かる。「その言葉」でなければ表現できないものがあるのである。

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空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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