その十七 山中の怪物
「こりゃあ、野宿(のじゅく)になりそうだな」
ピエールが言いました。
その時、道のそばの木のしげみから、グルルッという獣(けもの)のうなり声が聞こえました。驢馬のグスタフや馬たちはおどろいて棒立ち(ぼうだち)になります。
ピントはワンワンとほえたてます。
「怪物か?」
ピエールは腰の剣を抜いてみがまえます。ハンスも杖をかまえました。ヤクシーとアリーナもナイフをぬきます。
ザザッとしげみをわけて飛び出してきたのは、まさしく怪物です。体は虎ですが、頭は猿で、大きさは人間の二倍ほどあります。
その怪物は近くにいたヤクシーに飛びかかりましたが、ヤクシーはさっとそれをかわします。きっと武芸(ぶげい)の心得(こころえ)があるのでしょう。よけながら、ナイフで怪物の前脚に切りつけます。
怪物は次に、ピエールにおそいかかります。ピエールの剣が怪物の肩口(かたぐち)を斬りましたが、怪物はまだまいりません。
ハンスは怪物に心でよびかけました。
(お前はなんでぼくたちをおそうのだ!)
怪物の答えがかえってきます。
(もちろん、食うためだ。お前は動物と話ができるようだな。なら、そこの犬と猿だけでゆるしてやるから、そいつらをおいて行け)
(いやだ!)
怪物はこんどはハンスに向かってきました。
ハンスは杖で怪物の頭をなぐりました。すると、どうでしょう。剣やナイフで切られてもあまりこたえなかった怪物が、おそろしい苦痛(くつう)のさけびをあげて倒れたのです。
そして、みるみるうちにその体がちぢんで、姿がかわっていきます。死んだすがたを見ると、その怪物は、せいぜい犬くらいの大きさの老いた狐です。
「おどろいたな。化け物の正体は、古狐か」
「でも、私たちの剣やナイフがきかなかったのはなぜかしら」
「あたりどころがまずかったんだろう。とにかく、ハンスのおてがらだ」
ハンスは得意(とくい)な気分でしたが、出番(でばん)がなかったアリーナはおもしろくなさそうです。
四人は野宿できそうな場所をさがしてしばらく歩きました。すると、やがて闇(やみ)の中にぽつんと一つ、明かりが見えてきたのです。
「こりゃあ、野宿(のじゅく)になりそうだな」
ピエールが言いました。
その時、道のそばの木のしげみから、グルルッという獣(けもの)のうなり声が聞こえました。驢馬のグスタフや馬たちはおどろいて棒立ち(ぼうだち)になります。
ピントはワンワンとほえたてます。
「怪物か?」
ピエールは腰の剣を抜いてみがまえます。ハンスも杖をかまえました。ヤクシーとアリーナもナイフをぬきます。
ザザッとしげみをわけて飛び出してきたのは、まさしく怪物です。体は虎ですが、頭は猿で、大きさは人間の二倍ほどあります。
その怪物は近くにいたヤクシーに飛びかかりましたが、ヤクシーはさっとそれをかわします。きっと武芸(ぶげい)の心得(こころえ)があるのでしょう。よけながら、ナイフで怪物の前脚に切りつけます。
怪物は次に、ピエールにおそいかかります。ピエールの剣が怪物の肩口(かたぐち)を斬りましたが、怪物はまだまいりません。
ハンスは怪物に心でよびかけました。
(お前はなんでぼくたちをおそうのだ!)
怪物の答えがかえってきます。
(もちろん、食うためだ。お前は動物と話ができるようだな。なら、そこの犬と猿だけでゆるしてやるから、そいつらをおいて行け)
(いやだ!)
怪物はこんどはハンスに向かってきました。
ハンスは杖で怪物の頭をなぐりました。すると、どうでしょう。剣やナイフで切られてもあまりこたえなかった怪物が、おそろしい苦痛(くつう)のさけびをあげて倒れたのです。
そして、みるみるうちにその体がちぢんで、姿がかわっていきます。死んだすがたを見ると、その怪物は、せいぜい犬くらいの大きさの老いた狐です。
「おどろいたな。化け物の正体は、古狐か」
「でも、私たちの剣やナイフがきかなかったのはなぜかしら」
「あたりどころがまずかったんだろう。とにかく、ハンスのおてがらだ」
ハンスは得意(とくい)な気分でしたが、出番(でばん)がなかったアリーナはおもしろくなさそうです。
四人は野宿できそうな場所をさがしてしばらく歩きました。すると、やがて闇(やみ)の中にぽつんと一つ、明かりが見えてきたのです。
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