https://indeep.jp/spike-protein-targets-the-hypothalamus/
<転載開始>
体温問題を振り返る
先日、以下の記事を書きました。正直、自分でもやや信じがたいものです。
[記事] 体温33℃の世界。そして蛇の世界
In Deep 2022年12月6日
信じがたいというのは、そのような体温が示されるということ自体より、「体温 33℃で普通に行動している」ことで、そのあたりがあまり信じられないというような意味となりますが、実際のところはどうなのだろうかと、あの記事を書いた後、過去の論文などを含めて、いくつか読んでいました。
まず、33℃以下などの体温などだと通常はどうなるかということについて、アメリカ国立衛生研究所のライブラリーにあった 2014年の論文「定期的な低体温症の診断と管理」には以下のような下りがありました。
抜粋です。
論文「定期的な低体温症の診断と管理」より
Diagnosis and management of periodic hypothermia
事例3
82歳の男性が 1週間にわたる錯乱の悪化とめまいで入院した。彼は、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群により、35℃で軽度の低体温症および低ナトリウム血症であることが判明した。
脳の MRI は、視床下部領域の増強性腫瘤病変を示した。
デキサメタゾンの投与が開始された。入院 6日目に、彼はますます無気力になり、体温が 33.5°Cであることがわかった。
脳波は、びまん性の一般化された減速を明らかにした。彼の体温は 5日間で徐々に 37°C に戻り、精神状態は正常化した。彼はリハビリ施設に戻った。
3週間後、彼は再び錯乱とめまいを発症し、徐々に悪化した。彼は病院に戻り、その際の体温は 34.2℃であることがわかった。
しかし、次の 3か月間、彼は低体温期間に関連する錯乱と無気力のエピソードを繰り返し続けた。一連のエピソードで、低体温症は徐々に悪化し、最終的には体温は 29°C に達した。彼はますます虚弱になり、病院からホスピス施設に移動したが、2週間後に死亡した。
体温が 29°Cにまで低下した 2週間後に亡くなったとあります。
ところで、私は、「低体温症の正しい定義を知らない」ことに気づきまして、
「そもそも低体温症とは」
ということで調べたのですが、なるべく公的なページがいいと思い、探しましたら、オーストラリアのビクトリア州保健省によって管理されているページがありました。
これも抜粋で、以下のように書かれていました。
低体温症
Hypothermia
betterhealth.vic.gov.au
低体温症とは?
低体温症は、体温が 35 °C を下回ると発生します。低体温症は、体が生成するよりも多くの熱を環境に失うあらゆる状況で発生する可能性があります。
身体が生成する熱 (人は代謝プロセスと筋肉の動きによって常に熱を生成しています) が、環境に失われる熱よりも少ない場合、体温は下がり始めます。
人体が熱を失う 4つの方法は次のとおりです。
(※) ここで、「伝導」、「対流」、「放射」、「蒸発」の身体から熱を失うメカニズムが説明されていますが、省略します。
低体温症の症状
低体温症は、軽度、中等度、重度の 3 つの段階に分類できます。
軽度の低体温 (35 ~ 32 ℃) の場合の徴候と症状
・皮膚の血管が収縮するため、触ると青白く冷たい
・四肢のしびれ
・鈍い反応、眠気または無気力
・震え
・心拍数と呼吸の増加
中度の低体温 (32 ~ 28 ℃) の場合の徴候と症状
・意識状態の低下
・血液が主要な臓器に分流していることに関連する腎臓への負荷が増加した結果としての尿失禁
・震えが止まる
・心拍数、呼吸数、血圧の低下
重度の低体温 (28 ℃ 未満) の場合の徴候と症状
・意識不明で反応なし
・心臓の鼓動が遅くなり、不規則になり、最終的に停止することがある
・目の瞳孔が光に反応しない
・筋肉の硬直 - 死後硬直に陥っているように感じるかもしれない
・脈拍と呼吸はあっても、検出するのは困難なレベルになる
軽度の低体温症 (体温が 32 ~ 35°C) は、通常、治療が容易です。ただし、深部体温が 32°C を下回ると、死亡のリスクが高まります。
深部体温が 28°C未満の場合、直ちに医師の診察を受けなければ生命にかかわる状態です。この温度では、人は触れると非常に冷たくなり、反応しなくなり、硬直し、呼吸がなくなり、脈がなくなり、瞳孔が固定され、光の変化に反応しなくなります。彼らは亡くなっているように見えますが、そうではないかもしれません。
ここまでです。
他にも治療法など、いろいろと書いてあるのですが、定義としては「体温 32℃以下が生命に危険がある状態」だと理解できます。
これは、英語版の Wikipedia には、もう少し詳細に書かれていまして、もちろん「体温による体調の状況には、個人差が大きくある」と思われますが、一般的な低体温の症状は、次のように定義されるようです。
低体温と症状
・35 °C – (低体温症は 35 °C未満) – 激しい震え、しびれ、皮膚の青み/灰色がかる。心臓過敏症となる可能性がある。
・34 °C – 重度の震え、指の動きの喪失、青み、錯乱、いくつかの行動の変化が起こる可能性がある
・33 °C – 中等度から重度の錯乱、眠気、反射神経の抑制、震えの進行性の喪失、心拍の遅延、呼吸が浅くなる、重度の震えが止まる、特定の刺激に反応しない場合がある
・32 °C (ここより救急医療が必要) – 幻覚、せん妄、完全な錯乱、極度の眠気、次第に昏睡状態になる。震えはない。本人は暑いと感じることさえある。反射はないか、またはごくわずかとなる可能性がある。
・31 °C – 昏睡状態、ほとんど意識がない。無反射または軽度の反射、非常に浅い呼吸と遅い心拍数、深刻な心拍リズムの問題が生じる可能性
・28 °C – 重度の心拍リズム障害が発生する可能性があり、呼吸がいつでも停止する可能性がある。死亡したように見えるかもしれない。
・24 ~ 26 °C 以下 - 不規則な心拍または呼吸停止が原因で死亡する。
このようにあり、生命に明らかに影響が出るのは、32℃以下のようですが、34°Cでも、すでに「重度の震え、指の動きの喪失、錯乱」が起きることが書かれていますので、「体温 33℃で平然といられる」ということは、やはりほとんどあまり考えられないような感じではあります。
うーん……まあ、どうなんですかね。
結局、調べていますと、人間の体温が、33℃あるいはそれ以下になる「ということ自体」はあり得ることでも、
「その状態で正常に行動することは基本的に無理っぼい」
とは思います。
まあ……たとえば、体温計そのものに問題があるなどの状況は、わりとあると思いますが、書き込みには「病院で」、「ワクチン接種会場で」、「健康診断で」というようなものも多く、病院や接種会場の体温計が、ことごとく不安定だというのも(体温の誤差が 3℃などの不安定さはちょっと…)どうかなあとも思います。
気温も低くなってきましたので、瞬間的に測る体温計で誤差も出るシーズンだとは思うのですけれど……最近の体温計の精度ですと、1℃未満の誤差はよく聞くところですが、現在の日本の体温計で、3℃も 4℃も測定誤差が出るものだろうかと……。
難しいですね。