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恋する理由(「白蛇伝」などなど)

別ブログの過去記事を読んでいるうちに、昨日ネットテレビ(アマゾンプライムビデオ)で見た「白夫人の妖恋」を思い出して、それと対比してみる気になった。
先に「白夫人の妖恋」について書くと、これは中国の説話を元にしたもので、同じ東映のアニメ映画「白蛇伝」も同じである。映画の内容もアニメとほぼ同じで、単に映画の方は少し濡れ場があるくらいの違いだ。アニメの方は子供相手の商売のために話に無関係な動物たちが添え物で出てきて、子供のころの私はそういうシーンがあまりに下らなく思ったものである。相原コージの持論のように「子供は子供騙しに騙されるものである」というのが大半だろうが、私のようにひねくれた子供もいるわけだ。私はむしろ、道士の道術でヒロインの白娘(ぱいにゃん)が空中で苦悶する姿にひどく印象づけられたのだが、成長してサディストになったりしてはいないwww
「白夫人の妖恋」のヒロイン白娘は白蛇の変身したものだが、俳優は山口淑子である。残念ながら現代人の私の目には美女には見えなかったが、お供役の八千草薫よりは色気だけはあったようだ。可愛さでは後者が百倍上である。こちらは青蛇が変身したもの。
で、主人公で白夫人に一目ぼれされる貧乏青年(おそらく童貞ww)が池辺良である。まあ、演技が童貞青年のそれなのだが、これが煮え切らない性格で、せっかく相手が惚れてくれて、自分も惚れるくせに、周囲の人々から「あの女は怪しい。たぶん妖怪だ」と忠告されると、あっさり逃げ出すのである。それを白夫人がどこまでも追いかけるから「妖恋」なのだろう。何であんな薄情な男をどこまでも追いかけるのか、というのが私の抱いた疑問である。
で、ここで、別ブログに書いた記事につなげる。
ちなみに、アニメの「白蛇伝」は、これを見た宮崎駿がアニメ界に入る決心をするほど感動したという話がある。

(以下自己引用)

私がまったく理解できないのは、女性から見ての男の魅力とは何かということである。これは本当に理解できない。ひとつ言えることは、バルザックの小説で或る貴族の夫人が言った「女は、他の女が評価しない男にはまったく興味を持たないのよ」という言葉である。
とりあえず、有名文学作品の男主人公の中で女性読者から見て魅力的だと思える人物の人気投票をしたらどうなるだろうか。私の予想だと「嵐が丘」のヒースクリフあたりが人気上位になりそうな気がする。で、男からの人気投票だと、おそらくかなり下位だろう。つまり、「恋愛の相手になる男」「誰か(女主人公、つまり読者のアバター)のためにすべてを犠牲にする、恋愛のためだけに生きる男」が人気を得るのではないか。で、そういう男は男から見ると糞なのである。いくら愛した女でも、既に結婚した相手の家庭を壊す行為は唾棄すべきものだと感じる男のほうが多数派なのではないか。つまり、人生における恋愛の価値が男と女ではかなり違うだろう。いや、これは私が日本人だからそう思うので、西洋の小説には、男が書いた作品でも、恋愛のために身を滅ぼす男は無数に描かれている。
これは不思議な現象だと思う。たとえAという相手に失恋しても、Bという相手と恋愛して幸福な人生を送ることは無数にあることだし、Aを得られなければ相手を殺して自分も死ぬということの何が偉いのか、素晴らしいことなのか、私にはまったく理解不能なのである。
ただし、バルザックのウジェニー・グランデのように、恋愛妄想だけのために一生を費やすという行為もまた「凄い人生」だとは思う。だが、やはりそれは女性の生き方の特殊例であって、恋愛機会の少なかった時代の話であり、社会の中で生きる男の生き方としてはかなり奇形だろう。

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空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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