地球の記録 - アース・カタストロフ・レビューさんのサイトより
https://earthreview.net/generating-electricity-from-the-earth-s-rotation/#google_vignette
<転載開始>

ISRO

地球の自転を電力に換える

アメリカの大学の研究者たちが、


「地球の自転により発電できることを実験で実証した」


ことが報じられていました。


これまでも、従来知られているような発電法の他に、いろいろな発電の可能性があることが示されていました。


過去に以下のような発電法の実験を取り上げたことがあります。


空気を電気に変換できるバクテリアでの発電 (2023年3月の In Deep の記事


人間の体の静電気により電子機器の充電が可能となるという研究 (2019年1月の In Deep の記事


あるいは、


・ 生きた植物と生きた微生物と水による発電 (2015年7月の In Deep の記事


というものもありました。


確かに、どの発電法も生成される電力は弱く、大規模な電気使用にはまったく向いていませんが、個人的な用途で行う分には、たとえば、LSDでの照明とか、携帯やノートパソコンなどのデバイスの充電とかには、ある程度は使えるものです。


しかし、これらの発電法はどれも「原材料が基本的には無料」ですので、なかなか儲けにはならないということで、あまり発展してこなかったのかもしれません。


今回は地球の磁場での発電ということで…まあ、実際には内容が難しすぎて、ほとんど理解できていないのですが、あくまで記録として、論文を紹介していた記事を取り上げさせていただきます。


ここからです。


実験により地球の自転による発電を確認

Experiment confirms electric power generation from Earth’s rotation
watchers.news 2025/05/24


プリンストン大学の研究者たちは、地球の磁場を介した自転によって発電できることを実験的に実証した。この研究結果は、地球の磁場から回転エネルギーを得ることは非現実的であるという長年の仮説に疑問を投げかける理論モデルを裏付けている。



クリストファー・チャイバ氏、ケビン・ハンド氏、トーマス・チャイバ氏を含む米国プリンストン大学のチームは、地球の自転が自身の磁場を通過する際に電力を生成できることを実験で実証した。


科学者たちは約 200年もの間、地球の磁場による自転は継続的な電力生成には利用できないと考えていた。


この考えは、1832年のマイケル・ファラデー (イギリスの物理学者)の実験に遡る。よく知られた議論の一つに、地球に固定された導体は地球の自転による正味の電気力を感じないというものがある。


この見解は、長年にわたり多くの研究によって裏付けられてきた。


チャイバ氏とハンド氏は、特定の条件下では標準的な仮定が当てはまらない可能性があると提案した。彼らのアプローチでは、透磁性材料で構成された円筒形のシェルを使用する。


この方法が機能するには、2つの条件を満たす必要がある。


まず、システムの形状によって磁力にゼロではない渦巻きが生じる必要がある。次に、材料によって磁気拡散(磁場の拡散速度)が磁気流よりも強くなる必要がある。これは、磁気レイノルズ数 (磁気拡散に対する導電性媒体の運動による磁場の移流または誘導の相対的な影響を推定する数値)が 1未満の場合に発生する。



黒いキャスター付きカートに載せられた実験室のセットアップ。


研究者たちは、マンガン亜鉛(MnZn)フェライト(磁性的に軟らかく、電気伝導率が低く透磁率が高い材料)で作られた円筒形のシェルを用いて、仮説を検証した。


シェルは非導電性のターンテーブル上に設置され、地球の自転と磁場に対する向きを正確に制御できた。電圧と温度はデジタルマルチメーターを用いて長期間にわたってモニタリングされた。


実験ノイズを最小限に抑えるため、熱電効果、60Hzの電力線高調波、無線周波数干渉といった潜在的な干渉源をフィルタリングした。


彼らの実験の結果は次のとおりだ。


1. 直流 (DC)電圧と電流は、シェルの長軸が地球の自転ベクトルと磁場の両方に直交している場合にのみ観測される。


2. 装置を 180° 回転させると、電圧の符号が反転する。


3. 地球の自転ベクトルまたは磁場のいずれかに平行に揃った方向では、測定可能な起電力 (emf) または電流は生成されなかった。


4. サイズと材質がその他の点で同一の固体フェライトシリンダーを使用したコントロールサンプルでは、​​すべての方向でゼロ電圧が生成された。


5. ミューメタル (ニッケルと鉄の合金)シェルは電力を生成しなかったため、磁気拡散が必要であるという結論が裏付けられた。


6. 彼らが観測した電圧と電流は理論が予測したものと一致した。


場所特有の干渉を排除するため、別の場所で実験を再現したところ、当初の知見が確認された。


得られた測定値は、移動する導電性媒体における磁場の挙動を特徴付けるために使用される無次元量である磁気レイノルズ数を組み込んだ詳細モ​​デルの予測と一致した。


これらすべてにおいて、シェルの形状は電磁力に一定の不均衡を生み出すため重要だ。これは、電子が自由に移動できず、シェルが磁場中を移動することによって生じる力を打ち消すことができないために起こる。


この実験は、地球の自転エネルギーを磁気ブレーキ(地球の磁場を利用する)によってエネルギーに変換するという仕組みだ。


計算によると、地球は自転エネルギーをわずかに失う一方で、シェルはエネルギーを増すことが示された。しかし、このエネルギーは非常に小さいため、地球の自転速度に目立った影響を与えない。


著者たちは、この効果をスケールアップできる可能性があると提唱している。システムを長くしたり、複数のユニットを連結したりすることで、総電圧を高めることができる。


システムを小型化し、導電性や磁性を向上させることで、多くのデバイスを高密度に実装し、より多くの電力を供給できるようになる。電圧は低いものの、これらのシステムは、シンプルな設計と耐久性が最も重要となる長寿命電源として有用となる可能性がある。