【バルセロナ(スペイン北東部)賀有勇】スペイン・カタルーニャ自治州で行われた独立を問う住民投票を巡り、中央政府と州政府の間の対立が激化する中、国王フェリペ6世は3日夜、国民向けテレビ演説を行い、州政府が住民投票を強行したことを「無責任な行為」と非難した。
一方、投票を阻止しようと警官隊を派遣するなど実力行使に踏み切った中央政府については、「憲法に基づき秩序を保障する責務がある」と述べ理解を示した。投票後、国王が公式見解を示したのは初めて。
国王が中央政府寄りの姿勢を明確に打ち出したことで、独立賛成派がさらに中央への不満を強める可能性がある。国王の演説前、カタルーニャ州都バルセロナでは労組メンバーや学生ら約70万人(州政府推計)が警官隊の実力行使に抗議するデモを展開している。
国王の演説は約6分間。独立の意思に「理解」は示したが「法を破るのは民主主義ではない」と明言。憲法裁判所が住民投票に関する州法を無効と判断したにもかかわらず行われた住民投票を批判した。さらに、「無責任な行為は経済的、社会的な不安定さをカタルーニャとスペイン全体にもたらしかねない」と州政府に警告した。
1日に実施された投票では、州政府による暫定集計によると、投票率は約40%で、独立への賛成票は9割に達した。プチデモン州首相は公式結果の確定後に「独立宣言」の承認を州議会に求める方針だが、「国際調停」も求めている。
投票阻止のため派遣された中央警察部隊は独立支持派と衝突し、警棒やゴム弾を使用して投票所に集まった人々などの強制排除を図った。一連の衝突で少なくとも800人が負傷したと見られる。