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若者はなぜ右傾化しやすいか

昔、ずっと書いていた文章「メモ日記」の一部である。




若者はなぜ右傾化しやすいか(2)


 


前回は、保守主義とは現状維持を望む立場だと書いたが、なぜ現状維持を望むのかというと、それは「現状から利益を得ているからだ」ということになるだろう。現状から不利益を得ている人間が現状維持を望むことのおかしさは前回書いた通りである。


では、現状から利益を得ていることの結果はどうなるかというと、もちろん、その利益の蓄積があり、富裕になっているということである。保守主義とは金持ちの思想なのである。


 


これをロベルト・ミヘルスという人はうまい言い方をしている。すなわち、「保守主義とは、所有に伴う傾向である」と。(正確には「所有ということの中には宿命的に保守化の傾向が内在している」という言葉だが、意味するところは同じだ。要するに、金が貯まれば、その状態を維持したくなる、ということである。)


 


このことがあからさまに分かるのはアメリカであり、あの国では富裕階級は共和党を支持するものであるということが暗黙の了解になっている。では、貧困階級の者は民主党を支持するかというと、そうとも限らないのは、日本において政治・社会的に虐げられた貧困層の人間で、これまで自民党や公明党を支持していた人間が膨大にいたのと同じである。


 


さて、ここで本題である、「若者はなぜ右傾化しやすいか」という問題に入ろう。実は、これは、若者のほとんどは親に養われているという事実によるのである。つまり、自分を養っている親は、いわば社会の現状そのものを背景として稼いでいる。現在の社会システムがあるからこそ、自分は生きていられるのである。ならば、それを否定することは自分の存在を否定することに等しい。つまり、革命を叫ぶ者は自分の敵だ。


これが、若者が保守化する心理であり、若者が変革者を憎悪する理由である。


自らの手で自分や家族を養っている人間の中で、その努力が報われていない人間も、それを自分の努力不足のせいだと思い、社会の利益配分システム(金持ち優遇政策など)そのものを変えようとは思わない。自分の現状を社会のせいにするのは、「男らしくない」と思うわけである。立派と言えば立派だが、その結果、同じ社会システムが延々と続くことになる。(では、どういう社会システムがいいのか、というのはまた別の問題になるので、ここでは論じない。「メモ日記」の過去ログの中でその概略は述べてあるはずだ。)


自分で稼ぎ、その中から税金や年金を毟り取られ、わずかな可処分所得しか残らない若者なら、その現状に不満を抱くはずである。しかし、その不満は自分をそういう状態にしている政府や社会には向かわず、「穀潰し」の老人・障害者や福祉システムに向かう。もちろん、そうなるように官僚やマスコミがうまく誘導しているからである。自分の現在の苦労には意味があると信じたい人々は、そういう誘導に容易に乗せられるわけである。


右傾化する若者の中のかなりな部分は、自分の不満の矛先を間違えた若者たちなのである。












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