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汝もか、目薬よ!

私は老来、涙の過剰漏出に悩んでおり、(感動的なアニメなどを見て涙が出るのは仕方がないとしても)安い目薬を何種類も買って試したが、ひとつとして効いたものはない。もちろん、涙の分泌は目の大事な働きなので、涙を抑えるのは目薬の役目ではない。ただ、パソコンを長時間眺めて目が疲れる(目の霞み、焦点ボケなど)と、鰯の頭を信心するみたいに目薬をさしたりする。(この「さす」は「差す」で正解か? まさか「刺す」や「砂洲」ではないだろう。まあ、「挿す」か「注す」が正解のような気がする。)その目薬が下の記事のように爆弾のようなものだとは知らなかった。まあ、ミクロレベルの爆弾だろうが。
ちなみに、「汝もか、ブルータス」は信じていたもの(者・物)に裏切られたということ。

(以下引用)

スウェーデンの人気の目薬が「100%PFASで構成されている」ことが判明。目薬には脂質ナノ粒子や第四級アンモニウム塩が入っているものも多く…

地球の記録 - アース・カタストロフ・レビューさんのサイトより
https://earthreview.net/100-percent-pfas/
<転載開始>



スウェーデンで一般的に市販されている目薬が「 100%、PFAS で構成されている」という報道を読みました。


日本の目薬がどうなのかはわからないですが、この目薬に関しては、


「毎日点眼すると、約 120ミリグラムの PFAS が摂取される」


のだそう。


120ミリグラムというのは、PFAS の食物や水からの最大耐容摂取量の 200万倍以上なのだとか。


目薬というのは、他にもいろいろと問題のある部分が多いものではありますが、まずはそのスウェーデンの報道をご紹介します。


その市販の目薬は100%PFASで構成されている

Receptfria ögondroppar består av 100 procent PFAS
yadagbladet.se 2025/02/19



Evo Tears ブランドの目薬は 100%PFAS物質で構成されているが、スウェーデンの薬局や眼鏡店で店頭販売されている。


PFAS は、10,000種類を超える特定物質を含む大規模で複雑な化学物質のグループだ。


プラスチック製品や衣料品から化粧品やフライパンまで、あらゆるものに使われている。分解しにくいため、永遠の化学物質と呼ばれることもある。


Evo Tears は、ドライアイの潤滑および鎮静治療薬として販売されている。それらに単一の成分(PFAS)のみが含まれているかどうかは明らかではない。


Evo Tears は、毎日点眼すると、約 120ミリグラムの PFAS が摂取される。これは、食物や水からの最大耐容摂取量の 200万倍以上だ。


「おそらく私自身は、この点眼薬は使わないでしょう」と、この点眼薬について最初に報じたスウェーデンの ETC 紙で化学教授 Tuulia Hyötyläinen 氏は述べている。


一部の PFAS には、人間と環境の両方に悪影響を及ぼす可能性のある有害物質が含まれている。


高レベルで生殖能力の低下、高血圧、肥満につながると言われている。研究では、乳児の粗大運動発達の遅れや、母乳を介した女児の ADHD との関連も示されている。


ノルウェーの研究者らは昨年、ノルウェーの子どもたちの体内にこれらの化学物質が過剰に多く含まれていると警告した。




 


ここまでです。


2020年のコロナ以来、特に環境中の PFAS は増加していると思いますが(ほぼすべての市販のマスクに PFAS が使われているため)、それはともかく、


「目薬にはいろいろな良くないものが含まれている場合が多い」


ことも事実です。


たとえば、脂質ナノ粒子であるポリソルベート80というものがありますが、これはアストラゼネカ社のコロナワクチンや、メルク社のガーダシル (子宮頸がんワクチン)などにも使われているもので、これは、


・女性の生殖機能への影響


・脳への影響


などが、かなり以前から言われています(In Deep の参考記事)。


このポリソルベート80が、日本の多くの目薬に添加されているのですね。


調べた限り、ほとんどの目薬に使われているようです。


非常に多くの「目薬」にボリソルベート80が添加されていることを知りました
BDW 2023年12月26日


 


また、「第四級アンモニウム塩」というものが使われている目薬も多いようで、それが眼の疾患と結びつく場合もあるようです。


以下の記事の中盤以降にあります。


多くの消毒剤に用いられる第四級アンモニウム塩は、人間の生存に必須の「ミトコンドリア」を殺す
In Deep 2021年2月24日


ですので、まあ、本当に必要な場合は仕方ないのかもしれないですが(個人的には一度も目薬をしたことがないですので、本当に必要な場合がわからないのですが)、それほど必要がないのなら、できるだけ避けるのも得策かと思います。


なお、アメリカの調査では、「調査したすべてのコンタクトレンズから PFAS が検出された」という報道もありました。


体内に入れたり、身につけるものの選択に関しては、いろいろと大変な時代です。

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足指体操のこと

軽薄軽信の「神戸だいすき」女史の記事だから、真偽は不明だが、当人が試して効果があったと書いているから、実験してみる価値はあるのではないか。
私も足の健常性は体全体に影響があるという思想だが、足指の体操という発想は無かった。
なお、足指だけでなく、手の指を大きく広げる運動もなかなか爽快であるので、私は早朝散歩の時によくやっているが、最近はステッキを持って散歩することが多かったので、忘れていた。ステッキは単に恰好つけである。まあ、いざという時の武器という面もあるww

(以下引用)




というわけで、まともな靴も持っていない私は、足だって、いいかげんなもので、足の裏筋肉が引きつってるせいで、もう30年も前から、正座はできないし、椎間板がコチコチに固まって、股関節はがちがちだし。


したがって、足運びがうまくできないので、歩けない、歩かないから筋力が弱って、まっすぐ立てない。

自分の体に関しては、不安だらけ。

カーブスに通いだして、じわじわ改善されているけど、まだまだ。なかなか。
なので、佐藤式リンパケアとか、いろいろユーチューブを見ているけど、いまいち、何も長続きしない。

けど、こんどのこれは、続きそうなのよ!

足の指が、(手の指もだけど)凄い健康にとっての決めてになることは、知っていた。でも、この人の話は、新鮮だった。

足の指を自由自在に動かせるようになると全身の状況がよくなる。

そのために、足指をほぐしましょう。
お風呂の中で、やっています。まだ、二日だけど、

二日やっただけで、足指の動きはずいぶん自由になりました。

この人みたいに、足を握って、こぶしのように関節がくっきりするなんて、はるか先だけど、足指で「ちょき」が、軽々できるようになった。

すると、足指を曲げたり伸ばしたりすると、脚や、背中や胸の筋肉まで動くのよ。

これは、何かあると思います。

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「こがね丸」3

(夢人注:文中の「皆死児」は「孤児(みなしご)」の誤字だろうが、他の部分では豊富な語彙があり、誤字もほとんど無いので、これは少し奇妙であるが、そのまま転載する。なお、たとえば仇敵の悪徳を並べたてるその豊富な語彙を読むこと自体が講談を聞くようなリズムと娯楽性があると私は思っている。)

3

<朗読>



 
 かわいそうな花瀬は、牝牛の牡丹に息子・黄金丸を頼んだその日の夕暮れ、冥土へと先立った夫・月丸の後を追って死出の山三途の川へ急ぐかのように息を引き取った。主人の庄屋は花瀬の最期を見届けて大変気の毒に思い、その亡骸を棺に納めて、家の裏にある小山の陰に埋葬した。そして夫・月丸と花瀬の名を並べ彫り付けた石をその墓の上に置き、仲のよかった二匹にふさわしく比翼塚の形に整え、懇ろに弔いをした。



 こうして黄金丸は皆死児になってしまった。生まれたばかりの何の分別もつかぬ黄金丸は、花瀬が産み守っていた犬小屋の藁の上から、屋敷の裏の牛小屋へと内の者に移された。花瀬の願い叶い、牝牛の牡丹が養母とされたのであった。それからというもの黄金丸は牡丹の乳を飲み、牛小屋で育てられることになった。成長するにつれ黄金丸は普通の犬よりも優れた骨格や体躯、雄々しい性質を表し始めた。そして立派な体格をした頼みになる犬に育っていった。



 さて、養母となった牡丹には文角という名の夫があった。文角は生まれつき義侠心が深かったので、黄金丸の母・花瀬の遺言を堅く守り、黄金丸の養育に日夜心血を傾け、たくさんいる自分たちの仔牛の中で一緒に育てた。文角は黄金丸に仔牛たちと相撲を取らせたり、競走をさせたりした。こうして黄金丸と仔牛たちとを競わせることで、自然に黄金丸の肉体が鍛錬されるように仕向けたのだった。その成果が上がり、黄金丸の力量は日々目を見張るほど高まっていった。また黄金丸は闘犬の場にも引き出された。黄金丸は相手の犬と咬み合う真剣勝負の中、どうすれば相手を打ち負かせるかを体験し、学び取っていった。養父の文角も黄金丸の成長をはなはだしく喜んで見守っていた。闘犬では大方の相手を制する技量・力量を備えるようになった黄金丸は、今やどこに出しても恥ずかしくない立派な成犬になろうとしていた。時すでに熟したと見た文角は、あるとき黄金丸をそばに招き寄せた。そして、こう伝えた。



 「さて、黄金丸、ここにお坐りなさい。よいか、心落ち着けて、これからする私の話にしかと耳を傾けなさい。実はな・・・、お前は私と牡丹の間にできた子ではないのだ・・・。お前はな、・・・」



 文角はこうして黄金丸の出生、身分、そしてなぜ文角と牡丹の養子となり今日まで育てられてきたのかなどなど、その一部始終を誠実に切々と黄金丸に語り聞かせたのだった。黄金丸は初めて知る自分の素性や皆死児となった経緯に驚き、悲しみしながら、今の今までてっきり実の父親と信じていた文角の打ち明け話に黙って聞き入っていた。父犬の非業の死、その下手人・金眸の非道の下りになるとを歯ぎしをりしながら聞いていたが、母犬の精神の錯乱とその死に到る話、自分への遺言を聞くや怒り心頭に達し、遂に声を上げ、この大虎の悪事を罵った。



 「お養父様からこのようなお話をお聞きいたしましたからには、一刻も早くその大虎の棲む奥山へと急行し、親の仇・その金眸とやらを咬み殺してくれましょう」



 と息巻き、今にも出立せんと勇み立った。文角は、



 「これ。そう事を急くな、黄金丸。暫く」



 と血気に逸る黄金丸を押しとどめ、こう続けた。



 「お前がそのように血に逸るのは理の当然だ。しかし、今はまず逸る心を抑えてここに坐りなさい。よいか、心鎮め、私の話をよく聞きなさい。お前の父母の仇は、大虎の金眸ただ一匹ではないのだ。」



 「えっ!憎き大虎の金眸の他にも仇があると言うのですか、お養父様。それは何奴なのです」



 興奮のあまり血相を変えて立ち上がっていた黄金丸は、そう言うと文角の言いつけどおり再びお側に控えた。



 「よしよし、黄金丸。よいか、よく聞きなさい。金眸にはな、聴水という悪狐の配下がおるのだ。この狐は腹黒く、小利口な悪知恵のよく働く、知能の高い奴でな。すなわち頭の回転が速い。相手の動きを観察しては、あらゆる策略、計略、商略、政略、知略、謀略、機略、軍略、方略、奇策、偽計。陰謀、策謀、知謀、遠謀、通謀、密謀、群謀、共謀、詐謀、宿謀、逆謀、深謀、悪謀。仕掛け、当て馬、からくり、画策、自作自演。こうしたありとあらゆる権謀術数の限りを尽くしてくる。事に当たってはずる賢いばかりか計算高く、形勢不利と見れば、誰あろう情理を尽くして空言をまことしやかに騙り、情状を願い酌量を請い欺き、相手が情に流され、心を許すようなそぶりを一つでも見せ、己が偽言に中りありと見るや、その話の上にさらにまことしやかな話を重ね、出法螺、たぶらかしを以てして、今まで敵であったようなものをもまんまと口車に乗せてただ働きさせるなどは朝飯前のこんこんちきだ。こうしてな、己の利のためなら、まやかし、惑わし、はぐらかし、かご抜け、ごまかし、でっちあげ、ペテン、引っかけ、寝首掻き、くらまし、持ち逃げ、二枚舌、ネコばば、こそ泥、担ぎ上げ、時には利敵、売国さえをも厭わぬ鉄面皮。この世のあらゆる罠という罠、嘘八百、誘惑・魅惑、言い寄り、声掛け、おびき寄せ、そそのかし、流し目、色目、秋波を駆使して相手に一杯食らわし、一儲けしようという、口達者で浅ましく、狡猾なずうずうしい姦物じや。また口だけではないぞ。こやつは転んでもただ起きぬ。芝居を打つ。裏の裏まで読む。狂言を使う。算盤さえ合えば、わざわざ遠くまで足を運び、体を動かすことさえ厭わぬ邪な心を持つ手合いじや。おまえにとって大悪の仇があの金眸とあらば、この聴水こそは小悪の仇と言えるのだ。こ奴はな、黄金丸、今申したように世故に長けた悪狐、ある日、主のニワトリを盗みに入ってな、はからずもお前の父・月丸殿に見つけられ、月丸殿は奴の大切にしていた尻尾を咬み取ったのだ。奴はそれを深く怨みに思ったらしい。その意趣返しをせんと企んだが、自分の力足らぬを知り、かの金眸に頼み入り、いわば虎の威を借りた上に謀をし、あの無残な事件を引き起こしたのだ。ここまで聞けば、黄金丸、誰がお前の真の仇であるのか、もう会得したことであろう。あの虎も仇なれど、まずはあの古狐の聴水。こ奴もお前の仇敵なのだ。だから、いまお前がこれを深く理することなく、ただ感情にまかせて無意味に猛り狂い、あの大虎の金眸の棲処の洞穴へ向かい、駈け入って、奴と雌雄を決して争い、万一誤ってお前が敗るれば、もう片方の仇の聴水へ返報を果たせぬばかりか、おまえのその体はあの金眸のフスマ、餌食になってしまわぬとも限らぬ。これこそ自ら死を求める無謀な振る舞い。聴水の奴めにすれば、飛んで火に入る夏の虫、夏の夜の灯に集まり自ら火に飛び込んで身を焼かれ死ぬ虫と何の変わりがあろうか。また、とりわけ金眸という大虎、こ奴は戦を重ね、場数も踏んで年を重ねた老練な、いつも腹を空かした飢虎。お前は犬、奴は虎。たとえ如何にお前に力があろうと、奴はこれまでおまえが咬み合ってきた犬とは段違いの力を持っておるのだ。決して高を括ったり、侮ったりできる相手ではないぞ。金眸との闘いに勝ち、親の仇を討ち遂げるのは大変な難題、なかなか成しがたいことなのだ。だから、今、仇討ちに向かうのは控えなさい。こうしておまえが出自を知った今のこの今より、しばらくの間、おまえは己の牙を磨き、爪を鍛え、まずはあの小悪の仇、聴水の奴を咬み殺し、その上でさらに力を蓄え、時節が熟し到るのを待ってから、かの大悪・金眸を討ち取るがよい。平凡な雄犬のやるように、血気に逸ってただ蛮勇ばかりを頼みにした軽挙妄動、これこそ意味を持たぬ愚かな振る舞い故、厳に慎めよ。さもなくば力もなしに感情にまかせた分限知らずがやることの末路とはまさにこれ、とて世間のもの笑いとなるばかり。そんな笑いの種をわざわざ撒き散らすこともなかろう。まずはお前の父の無念を晴らし、その仇を討つというその心持ちをこらえ、腹の底に収めた上で英気を養い育て、臥薪嘗胆、必ず来るその日その時をじっと待つのだ」



 頭に血が上り、今にも飛び出さんと膝立てにて、養父の話を聞いていた黄金丸は、ものごとの分別を知った文角の言葉に、はっと我に帰り思いとどまったのだ。黄金丸はやや落ち着きを取り戻して、何やら思いを巡らしていたようであったが、しばらしくしてから文角にこう言った。



 「お養父様お養母様には、このような因縁でお育て頂いていたとは今日の今まで露も存じませんでした。文角養父さん、牡丹養母さん。お二人のことを、実のお父様、実のお母様とばかり信じ、斯様な育ての大恩ある御方々とは露知らず、ただただ今日まで我が儘勝手に振る舞い過ごさせていただいて参りました。このようにふつつかにしておりました私は、まったくもって慮外の無礼者でございました。どうぞこの罪、お許し下さりますよう幾重にもなりてお頼み申し上げます」



 と、黄金丸は養父養母に心からの感謝を籠めて、何度も何度もお礼するのであった。そして、居住まいを正すと、改まってこう言った。



 「存じませんでした過去の出来事につきましては是非を論ずるに及びませぬ。しかし今、お養父様からお伺いいたしました実の父の遭難、わが父の無念はいかばかりでございましょう。私に斯様な仇のあることを承り、それを知りました以上、私は我が道を行く上で必ず実行しなければならないことがございます。これを知らぬふりをし黙って過ごすことは最早できるものではありません。これを知りました以上、お養父様にはひとつお願いがございます。お聞き入れ願えませんでしょうか」



 「願いとは何か、黄金丸。話によってはお前の願いを許すこともあろう。言ってごらんなさい」



 「それは他でもございません。私にお暇を賜れませなんだでしょうか。私、まさに今、これより武者修行へ向かい、諸国を巡り、世に強いと呼ばれる名のあるあらゆる犬と咬み合い、我が牙を鍛えたいと思います。そして一方、私の仇敵の動向に耳目をそばだて、折りあらば、我が仇に名乗りををかけ、父の復讐を遂げたいのです。長年育てて頂きましたご恩へのお返しもしないばかりか、さらにまた、お暇を賜りたいと所望するなど口に出すのもおこがましい以ての外の不義理でございますが、お養父様、我が実の父の仇討ちのためでございます、何とぞお許し頂けませんでしょうか。もし私が、幸いにも、見事、実の父の仇を討ち、復讐をあい遂げ、さらに尚この命を繋ぐことができましたそのあかつきには、お養父様お養母様のご恩に報いさせて頂けるかもしれません。まずはその時まで、お養父様、どうぞ、お暇をお与え下さいまし。」



 と、黄金丸は涙を流しながら、文角を説きつけたのだった。文角は黄金丸のその真摯な態度と言葉を聞いて微笑んだ。



 「そうでなくてはならぬ、よくぞ申したぞ、黄金丸。お前がもし自らそう言わねば、わしの方から武者修行を強く勧めようと心に決めなしておったのだ。思いのままに諸国を巡り、修行を積み重ね、見事、お前の父の仇を討ちなさい」



 文角はこのように黄金丸を激励し、その暇乞いを許した。黄金丸は養父・文角の了承を得、大いに奮起したのだった。こうと決まれば善は急げといわんばかりに、黄金丸は急いで出立の支度をし、用意が済むと再び文角と牡丹の前にやって来てこう言った。



 「見事に父の仇の大虎の金眸と悪狐の聴水の印を上げませぬ限り、私、黄金丸、再びお義父お義母様の御前に立つことはござりませなんだ。」



 と、黄金丸は文角と牡丹にいじらしくも立派な言葉を奏し誓い、養父養母に別れを告げるや、野良犬の身となり、野犬の群れにその身を投じるや、行方定めぬ諸国流浪の武者修行の旅へと歩を進めたのであった。




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今蘇る「貧乏人(死んでもいい人間)は麦を食え」

これも、「大摩邇」所載の「中村クリニック」記事の一部だが、小麦の「グルテン悪玉説」は大嘘で、本当は農薬や収穫後の保存製粉に至る過程での異常な「毒薬」(体に害があるのだからあえて「毒薬」と言っておく)の使用量の問題だ、というのがよく分かる。だが、コメ価格の異常暴騰で、米が食えない以上、貧乏人は小麦製品を利用するしかない。まさに「貧乏人は麦を食え」のリバイバルである。
貧乏人が絶滅したら、誰が働くのだろうか。金持ちが肉体労働、現場労働をするか? それとも(カネでカネを生む)金融以外の労働はロボットが全部やってくれるとでも思っているのか?
ちなみに、私はコメ価格高騰以来、朝と昼はパンかうどん(つまり小麦製品)がほとんどである。どうせ残り寿命はわずかだし。

(以下引用)


小麦粉を作る会社に働いている自分が言うのも何ですが、先生、小麦が体にいいはずありませんよ
仕入れた小麦には、殺虫剤、除草剤、虫、妙な異物とか、不純物が大量に含まれています。私が働き出した20年前よりも、最近の状況はもっとひどい。収穫前に除草剤を撒いて、枯れさせてから収穫するので、残留除草剤の量がすごい。おまけに、海外から輸入する船の中でも殺虫剤を撒くので、もう無茶苦茶。さらに、製粉所に仕入れてからも臭化メチルで燻蒸して保存しています。これだけの毒物をしみこませた小麦を食べて、病気にならないとしたら不思議です


愛社精神というほどでもないですが、自分のちょっとしたプライドのために言うとすると、それでも、うちの会社はまだマシなほうです。燻蒸するときの臭化メチルの量と時間は、他社よりもかなり少ないほうです。
薬剤屋の営業マンが感心してましたよ。「おたくは薬をあまり使いませんね。珍しい会社です」と。でもそれは国産小麦の場合です。うちは輸入ものも扱っていて、外国産はひどい。袋に虫をいれると死ぬぐらいですから。アメリカ産、カナダ産の小麦を加工して、大手に卸していて、それがケーキとか麺になって店頭に並ぶわけです。さすがにちょっと、食べれないですね。内側を知っているので。

国内産の小麦は放置していると虫がわきます。しかし外国産は虫がわきません。これは農薬使用量の違いによります。企業は虫の混入リスクを極度に恐れています。なぜか?
実際のところ、仮に虫が混入していて、消費者がその虫を食べたとしても、無害です。ただし、SNSの発達した今の時代、パンの中から虫が出てきたとなっては炎上必至です。企業としては大ダメージです。
良心的な企業が「うちの商品は虫がついたりカビが生えますが、防虫処理をしてない証拠です」みたいに胸を張ったとしても、消費者の支持は得られない。消費者は、どうしようもなく傲慢です。「安心安全で、かつ、虫もカビもこない」そんな商品はあり得ないんです
農薬とか燻蒸の問題を認識してる人もいますよ。製粉所に勤務していて、小麦粉がどういうものか分かっている人は、パンを口にしない。毒物だと分かっているからです。しかし、毒物を作る仕事なんてしたくない。誰だって自分の仕事に誇りを持ちたい。「少しでも燻蒸の時間を短くしたり農薬の使用量を減らしませんか」そういう提案をしたとしても、企業側のリスクがでかすぎるんです。万一虫が混入したりカビが生えればアウトですから。無知な消費者の健康を犠牲にせざるを得ないわけです。
ヤマザキパンの社長が自社商品を食べないっていう記事をどこかで読みましたが、そりゃそうでしょうね。

ひとつ、実践的なアドバイスとして、先生、ふすまってあるでしょ。全粒粉とか胚芽を含んだもの。あれは絶対に食べちゃいけない。農薬のかたまりです。
小麦がなぜ体に悪いのか、グルテンが悪いとか何だかんだと言いますけど、そういうのもあるかもしれませんけど、農薬と化学肥料と除草剤と殺虫剤と燻蒸。これだけでもう、毒のかたまりで、食材と呼べる資格なんてないと思います」

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「艶聞も塩分もダメ」という世の中

あまりにも長い記事なので、話のキモである学術的記述部分や画像部分はほとんど省略せざるを得ないので、元記事参照をお勧めする。
艶聞、じゃない、塩分がなぜ医者たちに敵扱いされるかというと、塩分の摂取は即座に血圧を高くするからである。つまり、「高血圧は万病のもと」という思想である。その思想の完全否定も難しいから私は降圧剤を使用しているが、低血圧のほうが即座に体の異常を起こすことも熟知している。まあ、自分で適度に調節すればいいのである。少なくとも、ふだん血圧が高くない人が塩分を摂らないことは自殺行為だろう。血圧は普通に生活していても簡単に上がったり下がったりするのである。ただし、血圧上昇は一種の「戦闘準備状態」だから、高血圧が長時間続くのは好ましくないのは当然かと思う。また脳溢血などは(血圧は常に変動するのだから)高血圧のためではなく脳血管の老化が主原因だろう。体の他の部位の老化による弱化と同じである。不死も不老も吸血鬼以外は無理だろう。(DSの一部では体内の血液を若者の血液に変えることで老化を遅らせる連中もいるという噂もあるがww)

(以下「大摩邇」から引用)

塩の効用

ナカムラクリニックさんのサイトより
https://note.com/nakamuraclinic/n/nda6bb9d9f648
<転載開始>




https://gigazine.net/news/20250204-lower-sodium-salt-who-guideline/

WHOが「健康のために塩を減らしましょう」と言い始めた。
「過剰な塩分により高血圧リスクが高まり、高血圧が心臓病、脳卒中、腎臓病のリスクを高める。過剰な塩分摂取が原因で毎年世界中で190万人が死亡している。逆に、塩の摂取量を1日1g減らすだけで、脳卒中や心臓発作のリスクを軽減できる」
まるで「塩は諸悪の根源」といった言い草だ。

しかし、そもそもWHOってどういう組織だったっけ?
コロナワクチンを絶賛推奨して、地球人口を減らしたいビルゲイツが最大の民間出資者という団体ですよ。




地球の口減らしをしたい団体が「健康のために塩を減らしましょう」と言い出したわけだ。
ということは、その逆が正しいのではないかと疑うことが必要です。



塩が医者から目の敵にされるのは、何もきのう今日始まったことではありません。医者は口癖のように言います。「塩は血圧が上がるからできるだけ摂ってはいけない」と。




でも実際のところ、塩は命の源です。医者の言いつけに従ってはいけません。




「減塩は万病のもと」です。毎日しっかり塩をとってください。
かつて生物は海で生まれ、進化し、やがて地上に進出しました。海水には塩が豊富に含まれているので、生物は塩不足に悩むことはなかった。
しかし地上に進出した生物にとって、最重要の課題は「いかに少ない塩で体をやりくりしていくか」ということだった。そのためのメカニズムを進化させたものの、塩不足は、やはりこたえる。
だから塩不足が長く続くと、さまざまな病気になります。




たとえば、塩不足で糖尿病になります。




逆に、塩をしっかりとると、インスリン感受性が増し糖尿病が改善します。




しっかり塩を摂っていると、血中のインスリン、レニン活性、ATⅡ(アンギオテンシンⅡ)、NA(ノルアドレナリン)が有意に低かったという研究がある。
これはどういう意味かというと、インスリンというのは、血糖値を下げるありがたいものだと思われているけど、絶対的にすばらしいものかといえば、そうではありません。実際、膵臓で分泌された血中インスリンの半減期はたったの5~10分です。グルコースを細胞に取り込むという仕事をすれば、すぐに肝臓や腎臓で分解されます。つまり、体はインスリンをすみやかに排除しようとする。毒物だと認識している、といっても過言ではありません。
一方、体は常にインスリンと逆のことをしようとして必死です。コルチゾル、アルドステロン、グルカゴン、アドレナリン、成長ホルモン、甲状腺ホルモンなど、血糖値をあげるホルモンを数え出せばきりがない。でも、インスリンは、せっかく高めた血糖値を下げてしまう。劇薬です。毒物です。だから、インスリンにはひと仕事してもらったら、すぐにご退場願う(インスリン分解酵素ですぐに分解)。しつこく血中に残存されて血糖値を延々下げられてしまっては、体としては困るわけです。
インスリンだけではありません。上記のレニン、ATⅡ、NA、すべて「必要ではあるけれども、ひと仕事終わったら退場願いたい」ホルモンです。


仮に、医者から「塩をできるだけとらないように」と言われて、それを真に受けて実行したとする。
すると、体内では、以下のような変化が起こります。




まず、塩が来ないので、脱水状態になり、血流量が減少、血圧が低下します。血圧が保てないというのは、生物の生存にとって致命的な大ピンチです。そこで、血圧を上げるためのシステムが起動します。これをRAA系(レニン/アンギオテンシン/アルドステロン)といいます。
RAA系の存在目的は「いかに塩のロスを防ぐか」、この一点だけです。
このシステムが腎臓に作用し、塩(Naイオン)と水の再吸収を促し、代わりにKイオンとHイオンを排出する。これにより、体に水が保たれ、血圧を維持できます。
しかし、これは、あくまで塩不足への緊急対応です。
海で生まれた生物は、何億年という気の遠くなる年月を海で過ごしました。豊富な塩分に囲まれた幸せな時代です。しかし、地上という塩分の乏しい環境で暮らすことになり、そのための突貫工事として身に着けたのがRAA系という「塩分保持システム」です。なので、このシステムは本来その場しのぎのもので、長期間これでやりくりすることは想定していません。
だから、RAA系に長期に頼るような状況、塩分不足が慢性的に続くような状況は、体にさまざまな異常を起こすことになります。




ATⅡ、アルドステロンは、ミトコンドリア毒です。これらが血中に長くとどまると、フリーラジカルが増加し、ミトコンドリアのエネルギー産生が阻害されます。分泌しないで済むのなら、それに越したことはないホルモンだということです。




実際、ネズミにATⅡを投与すると、すみやかに癌を発症します。逆に、癌患者ではATⅡの血中濃度が高いことが分かっています。ATⅡのミトコンドリア毒性により細胞内呼吸が破綻して、癌が起こります。




具体的には、減塩により、肺癌(非小細胞肺癌、小細胞肺癌)、乳癌、頭頚部癌、大腸癌が、この順で多いという疫学があります。要するに、減塩のせいで癌リスクが上がる、ということです。




食事に含まれる塩が少ないと、RAA系が活性化し、カテコラミン(ドーパミン、アドレナリンなど)やコルチゾルの血中濃度が高くなります。
カテコラミンが高いということは、副腎や交感神経系が緊張していることを意味します。つまり、ストレス状態にあるということです。




仕事のノルマや人間関係などの心理的ストレス、寒冷刺激などの環境的ストレスを少しでも緩和するには、塩をとることです。すると、抗ストレスホルモン(コルチゾルなど)の分泌が減少します。


体に塩をしっかり供給してください。そうすることで、人生で起きる様々なストレスを乗り越えやすくなります。「ストレス発散に甘い物」なんて言ってる場合じゃないですよ。
逆に、塩不足は、ストレスと戦えない状態です。
たとえば、この状態で就寝すると、夜おしっこに起きます。




睡眠中というのは、本来は副交感神経が優位の時間です。膀胱がやわらかい風船のように大きくなり、おしっこをいっぱい溜めることができる。それが本来です。でも、減塩とかで交感神経が緊張していると、睡眠中でも膀胱が収縮しがちになって、夜目が覚めてトイレにいくことになる。
だから、夜尿防止のための一番手っ取り早い方法は、塩をしっかりとることです。




「冷え性で冬が苦手で、食事量は多くないのに、ちょっと食べただけですぐに太ります」という患者を見れば、必ず「ちゃんと塩とってますか?」と聞くようにしている。減塩ならぬ「増塩」を勧めます。




塩をしっかりとるようになると、ちゃんと満腹できるようになります。




東北、北陸など冬の寒さが厳しい豪雪地帯では、高塩分食の摂取が励行されました。それは、長い伝統のなかで育まれた食文化であり、生活の知恵でした。実際、塩を積極的にとることで、基礎代謝があがり、冷えに強くなり、しもやけができにくくなります


しかし、現代医学はこの食文化が育まれた文脈も無視して、人々に一律に減塩を押し付けた。その結果どうなったか?




代謝が低下し寒さに弱く無気力になり、癌の発生率が増加し、血圧は下がるどころかむしろ上がり、糖尿病の罹患率が上昇し、血管破裂(ラプチャー)しやすくなり、血栓ができやすくなった。まったく、減塩によって良かったことは何一つない。ただ、人々の健康を破壊するだけの結果に終わりました。




実際、塩を減らせば、心筋梗塞の発症率は4倍高まります。




しかし、塩をとればとるほど、心筋梗塞のリスクは減少します。




疲れやすい、頭が痛い、何かしんどい、、、臨床で何らかの不調を見れば、とりあえず、塩不足を疑う。減塩は万病のもとです。
現代人は、「敵に塩を送る」という故事を正しく認識できません。だって、多くの人は「塩は悪者」と思っているから。


同様に、世間の多くの医者も、本当に、心の底から「塩が悪者」と信じています(コレステロールは動脈硬化を悪化させる悪者だと信じているし、牛乳はカルシウム豊富で体にいいと信じているし、コロナワクチンはコロナ感染を防ぐありがたいものだと信じているし、、(以下略))。
医学部(洗脳)教育のなせるわざです。
信念と善意のこもった言葉には、力があります。医者から「○○さん、私はあなたの健康を支えたい。だからぜひとも塩を減らしましょう」などと患者の目をしっかり見据えながら、愛情深く声をかけられたら、まさかその意見がデタラメだなんて患者は思いもしない。


世界中の人々の健康を増進する機関であるWHOが死神に乗っ取られているという、冗談みたいな現実があるのだから、末端の医者が嘘デタラメを教え込まれてても仕方ないよね。

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「こがね丸」2



2

<朗読>



 
 庄屋はこの里の役人で、月丸と花瀬という夫婦の犬を飼っていた。この家に貰われてきて以来、二匹とも庄屋本人はもちろん内の人々にたいそう可愛がわれたので、二匹はそれをとても恩義に感じ、主に忠実に仕えるとともに、家人と財産を守っていた。この月丸と花瀬の働きで、長らく庄屋の家には泥棒も入ることがなく、財産家として栄えていた。



 この数日続く大雪に、まるで久しぶりにお越しになった伯母様にお会いできたような嬉しい心持ちになっていた月丸は、大きな屋敷の広い中庭で妻の花瀬と一緒に遊び戯れていた。そのときのことである。裏庭の鶏小屋の辺りから、いつになく騒がしいニワトリの鳴き声に混じって、コンコンとキツネの声が聞こえた。



 「やや、あの声は狐。さてはあの狐の奴、今日もまた我が主の屋敷に忍び込んで来たな。先日あれほど懲らしめてやったのに、もうその痛みを忘れ、再びわが主のニワトリに牙を掛けようというのだな。性懲りもない憎き奴め、最早容赦はせん、今度こそは討ち取ってくれる」



 と言うと、月丸は折から深く降り積もった雪を蹴立て、広い中庭を真一文字に横切って裏庭の鶏小屋へと急行した。狐は月丸が一目散に自分に向かって来るのを見ると、以前と同じように慌てふためいて、今度は表門の方向へ逃げて行く。月丸はその狐を逃すまいと後を追い、表門を駆け抜けようとしたその時であった。ガオオオ!この世のものとも思えぬ猛り声が聞こえ、表門の横合いから急に月丸に飛びかかろうとするものがあった。月丸は、これは一体何者かと、相手を見た。すると、何と月丸の身体より二回りも大きな虎が、目を怒らせ、その牙を鳴らし、刃のように反り返った爪を振り立て襲いかかって来ようとするではないか。その恐ろしさといったらこの上もないものであった。普通の犬であればおそらくその場で恐怖のあまり腰を抜かしたことであろう。しかし月丸は生まれつき勇猛な犬であった。襲いかかって来た大虎に雄叫びを上げながら喰い掛かり、反撃した。月丸は大虎としばらくの間死力を尽くし闘ったが、もとより勝負の行方は明らかで、残念ながら大虎と相打つほどの力は持ち合わせていなかった。無残なことに、月丸は大虎の牙と爪にかけられ、肉裂け、皮破れ、悲鳴を上げ息絶えてしまった。大虎は月丸のその亡骸をその鋭い牙の生えた大きな口に咥えるや庄屋の門を後にし、雪を蹴立てて、己が山奥の棲処の洞へと戻って行った。月丸が果てたその場所には血だまりだけが残され、その血飛沫は辺りの雪の上にあたかも紅梅の花びらを散らしたかのようであった。そして大虎が山奥に向かって残した雪の上の足跡に沿って、月丸の亡骸から滴り落ちた鮮血がはるか山の彼方まで点々と続いていた。



 物陰に隠れていた月丸の妻の花瀬は、夫・月丸と大虎との死闘、夫の果敢な勇ぶり、そしてその最期の様子までの一部始終を目を皿にして見つめていた。花瀬はか弱い雌犬であった。しかも折しも月丸の子を身ごもり、乳房も垂れ、夫に加勢して大虎と闘うなどというわけにはゆかぬ体であった。花瀬は、夫・月丸が非業の最期を遂げるのを目の当たりにし、自ら救いの手を差し伸べることさえできない無念さに、胸が塞がるほど悶え苦しんだ。花瀬が精一杯できることと言えば、甚だしく悲しみに充ちた声を振り絞って頻りに吼え立てることのみであった。悲鳴にも聞こえる花瀬の狂ったような吠え声を聞きつけ、主の庄屋と家人たちは「これは只事ではない、何事かあったに相違ない」と次々と屋敷から出て来た。皆がやって来て屋敷の門の前を見れば、ここ数日降り積もった雪が四方八方に蹴散らされているばかりか夥しい血に染まっている。庄屋をはじめ集まった者たちは「これは如何に」と、大きな獣の足跡に沿い滴り落ちた血の行方を見ると、遙か遠くの山陰を一匹の大虎が行く姿が見えた。大虎は口に獲物を咥えていた。それはどうやら月丸の亡骸であった。



 「あっ、あれは月丸だ!月丸!おまえ、喰われてしまったのか!くそ、もう少し早く気づきさえすれば、おめおめとあの大虎におまえを喰わせなぞさせなかったのに。ああ、かわいそうなことをした。月丸を見殺しにしてしまった」



 主の庄屋は可愛がっていた月丸の思いもよらぬ最期を見て、地団駄を踏んで悔しがったが、なすすべもなく、それは後の祭りであった。夫の非業の死を受け入れられぬ月丸の妻・花瀬は大変に取り乱していた。庄屋の内の者たちは代わる代わる花瀬の悲しみを和らげようとなだめすかしたが、花瀬の心は激しく動揺し、その日から心を乱すようになってしまった。花瀬は朝から晩まで犬小屋に籠もったきり、餌を与えてもなかなか食べようとはしなかった。錯乱した声で吠え散らかし、門を守る役割も忘れてしまった。あれほど忠実であったにもかかわらず、もはや番犬の用さえ果たせなくなった。主の庄屋は花瀬がこうして取り乱してしまった原因を知っているので、その狂おしい姿を見ていっそう気の毒さが募り心を込めて介抱してあげた。だが花瀬の症状は変わらず、次第にやつれていくのみで、体の肉は次第に落ち、骨が見えるほどに痩せこけ、潤っていた鼻先も渇き、この世の犬とは思えぬ心細い変わり果てた姿になってしまった。こうした中、お腹の子の月が満ちた花瀬は産気づき、錯乱した精神と激しい陣痛に見舞われながら一匹の子犬を産み落とした。生まれた子犬はそれはそれはとても端正で立派な茶色の毛の生えた雄犬だった。その子犬の背中には金色の毛が混じり、まったくもって霊妙な光を放っていた。それ故、庄屋はその子犬に「黄金丸」という名を付けたのであった。



 花瀬は手の施しようのない重い精神の病にとりつかれていた上に、さらにそこで出産を迎えるという事態であったから、黄金丸を産み落とすや、張り詰めていた心が一気に緩んでいよいよ重篤となり、明日をも知れぬ命となってしまった。臨終の際、花瀬は庄屋の裏で飼われていた兼ねてから懇意の牡丹という名の牝牛を枕元に呼び寄せた。花瀬は苦しい息をほっとつきながら、喘ぎ喘ぎ、そして途切れ途切れに牝牛の牡丹にささやいた。



 「牡丹さん。ご覧になられるとおり私の容体は甚だ重いのです。とてものこと、最早、命長らえるわけには行かないでしょう。ですから、牡丹さん、私は、ここで、一つだけなのですが、牡丹姐さんにぜひ頼んでおきたいことがあるのです。ぜひ頼まれてください。私の夫の月丸は、先日、あの猛虎の金眸の牙にかかり非業の最期を遂げました。それは牡丹姐さんもご存じのことと思います。あの時、私は夫・月丸があの金眸に殺害されるのを目の当たりにしながら、それに救いの手を差し伸べることなく、見殺しにしてしまいました。犬の身ではありますが、我ながら自分を節操も信念もない見下げ果てた犬だ、と思うのです。私は月丸の妻です。夫が危難に合っていたら、たとえこの身が滅びようと、夫をそこから救い出さずしてどうして妻と言えましょう。救わなければならなかったのは言うまでもないことです。道を行く上で当然行うべきことを知っていたら、必ずこれを実行しなければならないのが世の道理です。それが義を知る獣の守るべき本来の姿なのですから。こういったことは私風情でも普段から心がけて来たつもりでした。けれども、あの時私が命を惜しんだのは、私が普段の私の体ではなかったからなのです。もしあの夫の火急の危難の場に私が助太刀に出、夫とともにあの猛虎と争ったら、われら夫婦ともども殺され、あの虎の餌食にされていたに相違ありません。こうなったとき、誰が私たちの仇を討ってくれるのでしょう。夫と私と私のお腹の子の三匹があの大虎の牙に掛かって命を捨ててしまっては、それこそ元も子もありません。みなさんは夫の危難を救うことは妻が節操を守ることだと言われるでしょう。でも私はあのとき、そうすることは実は逆に妻としての節操を捨てることだと思ったのです。犬死にというのはまさにこのことを言うのだと思ったのです。そう私は固く心に決め、夫が非業の最期を遂げるのを目の前に見ながら、とても我慢できないことでしたがどうにか我慢して、こらえられないことでしたがそれもようやくこらえて、手も足も出さず、夫をみすみす見殺しにしたのです。それはただひたすら私の決めた節操を守ろうとしたからです。その節操とはすなわち夫の仇を討つのは、今私のお腹の中にいるこの子なのだ、この子に仇討ちを委ねるのだ、だから今目の前で最期を遂げている夫のために、私は身籠もっているこの子を産まねばならないのだ、そう思ったのです。そうして今日までどうにか命長らえたものの、不幸にも仇を云々言う甲斐もなく、病気になり床に伏してしまいました。あの時に絶えてしまったはずの私の命ですが、どうにかこうにか細々とつなぎ、やっとのことでこの子を産むことが出来ました。しかし、残念ながらこの子を育てる願いは叶わぬこととなりました。この子を産み育て遂げようとした仇討ち、それさえもできないこの口惜しさ。お姐さん、どうか推し量っていただけないでしょうか。お姐さん、この子をどうかお姐さんの養子として貰っていただき、お姐さんの乳で育て上げていただけませなんでしょうか。この子がひとかどの雄犬に育った時、お姐さん、その時に、私がお姐さんに申し上げる、今これから申し上げることを伝えて頂けませんでしょうか。お前が母のために何かをしたいというのであれば、それは私の夫の仇を討つことであること。お前が自分のために何かをしたいというのであれば、それはお前の父の仇のあの大虎の金眸を討ち取ることであるということを肝に銘じて、お前のその力量を養うこと。この二つこそ、母がお前に願うことである、と。お姐さん、お姐さんへの頼みというのはこの事です。お姐さん、どうぞお頼みします。お・たのみしま・す。たのみ・・・ます。たの・み・・・」



 と、花瀬の声は次第にか細くなっていった。冬の虫の声や草葉の露のように、命というものが脆くはかないのは、犬も人間も同じであった。


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関西の政治風土か

維新(系)市長かな、と思ったら維新だったwww 顔がねww
そう言えば、「金目」の「目」って何だろうか。「目当て」?
いずれ、「恋愛・結婚・蓄妾の経済学」というテーマで書いてみようかな。非婚化が進む日本では案外意味があるか。ヴェブレンを凌ぐ経済学に……ならないだろうなあ。
しかし、女性関係を問題として要職を解任するというのも、おかしい気がする。市議会って、中学の学級会か何かか? いや、学級会でも、「お前は女友達がふたり(正妻と妾)もいてケシカラン」とは糾弾しないだろう。昔の政治家(大野バンボク?)は野党から「妾が二人もいる」と追及されて、「二人ではない。三人です」と言ったとか何とかいう話もある。なお、妾の数は適当に書いた。


(以下引用)

大阪府岸和田市議選の結果を受け、報道陣の取材に応じた岸和田市の永野耕平市長=岸和田市で2025年2月3日午前10時12分、藤河匠撮影

 大阪府岸和田市の永野耕平市長(46)に対する2度目の不信任決議案が、17日開会の岸和田市議会に提案される。議会関係者によると、午後にも採決される予定で、市議24人中23人が賛成する意向を示しており、再可決される見込み。


 不信任決議案が再可決されると、永野氏は市長を自動的に失職し、50日以内に市長選が実施される。永野氏は出直し市長選に立候補する意欲を示しており、他にも擁立に向けた動きがある。


 議会関係者によると、不信任決議案は「市政を混乱させた市長の責任は大きい。大義なく議会を解散した」などと、永野氏を批判する内容で、市議21人が連名で提案する。地方自治法により、永野氏の妻で市議の紗代氏(38)は利害関係者に当たり、採決には加わらない。残り2人も賛成に回り、23人全員が賛成票を投じる見込み。


 永野氏は不適切な関係を続けていた府内の女性から損害賠償訴訟を起こされ、2024年11月に解決金500万円を支払う内容で和解した。同12月、所属していた大阪維新の会から離党勧告の処分を受け、離党した。市議会は不信任決議を賛成20、反対4で可決したが、永野氏は「不信任決議に大義はない」などとして議会を解散。市議選は25年2月2日に投開票された。


 地方自治法などによると、選挙後初めての議会で3分の2以上が出席し、不信任決議案が過半数の賛成で再可決されれば市長は自動的に失職する。【中村宰和】


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酔生夢人
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男性
職業:
仙人
趣味:
考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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