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過去記事より

ネット接続が可能になったので、古い記事を読み返していたら、「高校生のための『現代世界』」の政治経済の記事の一部に、「IT化の進行による社会の貧困化」を見抜いていた部分があったので、転載しておく。われながら、なかなか慧眼だったと思う。なお、この記事は子ブッシュ時代に書いたものかと思う。

(以下自己引用)


 クリントン時代に、アメリカは奇妙な繁栄をします。アメリカの産業自体は特に向上してもいないのに、国民の間に株式投機熱が広がり、また、世界各国からもアメリカに資金が流れ込んで、好景気になるのです。その原因の一つは、得体の知れない「IT革命」という言葉でした。IT、つまり、情報技術の革命によって、アメリカのこれからの産業は発展するという、根拠の無い期待感が、アメリカへの投資を生んだのです。日本のバブル崩壊によって投資先を失った世界の資本が、争うようにアメリカに流れ込みました。アメリカ自体は何一つ生産しなくても、世界から金が流れ込んでくるのですから、アメリカ人全体としては遊んで暮らせばいいわけです。(IT技術自体は何も生産するわけではありませんから、結局はコンピューターが社会全体に広がれば、それで需要は終わりです。しかし、その当時は、アメリカの繁栄がいつまでも続くような錯覚にみんな陥っていました。)

注)「IT技術自体は何も生産しない」について補足すると、IT技術は「生産性を高める」つまり、効率化を行うから、生産したのと同様だ、と見ることもできるが、それによって労働者の人件費カットが必ず生じるので「一企業としては裕福になるが、社会全体としては貧困化が進む」というのが適切だろう。投資家にとっては企業の収益率が高まればそれでいいので、IT革命が進行する米国企業に投資することは必ずしも間違いではない。

 まるで夢のような状態ですが、借りた金はいつかは返さなくてはなりませんから、アメリカのこのITバブルも2000年頃には終わりました。そして、現在、ブッシュ政権は、アメリカの軍隊を使って、世界を支配下に置き、ローマ帝国の再現をしようとしています。つまり、世界の奴隷化です。他の国は働いて、アメリカがそれを自分の物にすればいいという、実に立派な、「男らしい」考えです。俺は喧嘩が強いんだから、何も他人に頭を下げて商売をしなくてもいい。欲しいものは力で奪えばいい、ということです。西欧文明の歴史を考えるなら、世界を再び十九世紀の植民地時代に戻しただけのことですから、何も驚くには当たりませんが、さて、では日本はそういう国とどのように付き合っていくか、難しい判断を迫られています。これまではジャイアンに対するスネオの役割で無事に生きてきましたが、いつ自分がジャイアンに殴られることになるか分からないのですから。

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