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私の耳を脅かすあの音は何

前の「櫻井ジャーナル」記事を読んで私がすぐに連想したのがW・H・オーデンの「O what is that sound which so thrills the ear」だった。
昔、自分で訳したものを思い出しながら、今、訳してみる。なお、日本の詩人などによる既訳は、「私の耳をわくわくさせるあの音は何」などと、「スリル」の語を、何か楽しいものかのように思わせる訳になっていて、この詩の内容を誤解させかねないので、私は好まない。






「私の耳を脅かすあの音は何」

         W・H・オーデン


「おお、私の耳を脅かすあの音は何?
谷を下り、ドラムの音を響かせて、響かせて」
「ただの赤い服の兵士たちだよ、愛しい人
兵士たちが来るだけ」

「おお、私の目にはっきりと輝くあの閃光は何?
あんなに遠くから、はっきりと、はっきりと」
「彼らの武器に輝くただの太陽の光だよ、愛しい人
彼らの軽やかな歩みにつれて輝くだけ」

「おお、そんな武器を持って、彼らは何をするの?
こんな朝に、こんな朝に」
「いつもの演習だよ、愛しい人
でなければ、人々を威嚇しているだけさ」

「おお、なぜ彼らはあそこで道から外に出たの?
なぜ突然、輪になるの、輪になるの」
「隊列を変えただけだよ、愛しい人
なぜ君は膝まづくんだい」

「おお、彼らは医者の治療のために止まったのじゃないの?
馬の歩みをゆるめたのじゃない?」
「なぜだい、彼らの誰も傷ついてはいないよ、愛しい人
あの軍隊の誰も」

「おお、彼らが捜しているのは、あの白い髪の人じゃない?
あの人でしょう、ねえそうでしょう」
「いや、彼らはあの人の戸口の前を過ぎたよ、愛しい人
彼を訪ねたのじゃない」

「おお、きっと近所のあの農夫だわ
あの、ずるがしこい、あのずる賢い農夫のところだわ」
「彼らはあの農夫の家をもう過ぎたよ、愛しい人
彼らは走り始めた」

「おお、どこへ行くの、あなた
私と一緒にいて!
私と誓ったあの言葉は嘘だったの、嘘だったの?」
「いや、私は君を愛すると誓ったね、愛しい人
だが、私は行かねばならない」

「おお、錠が壊される、扉が裂ける
彼らは門を抜け、走ってくる、走ってくる
軍靴の重い響きが床に溢れ
彼らの目は火と燃えている」










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酔生夢人
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男性
職業:
仙人
趣味:
考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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