この前から中里介山の「大菩薩峠」を読んでいるが、(まだ途中なのだが)これは大傑作である。たとえるならば、日本版「レ・ミゼラブル」である。話は面白いし、人物像は主役脇役みな個性的で魅力がある。悪党すら、面白い。とんでもない人間の屑が善良な美女に執着(ストーキング)してとうとう手に入れるかと思えば、心優しい人間(たいていは女性だが、中には悪どい女性もちゃんと出てくる)が、その善良さのゆえに惨憺たる目に遭ったりする。
一般的には机龍之介が主人公視されているが、主人公のひとりと言うべきだろう。脇役のひとりひとりの人生がそれぞれ簡潔に描かれているのであり、群像ドラマである。
まあ、若いころには文体の「ですます調」が安っぽく感じられて食わず嫌いをしたのだが、たくさんの小説を読み飽きた目にこれだけ面白く読める小説というのは滅多にない。しばしば出てくる美文調の表現も、少し古文を齧っていれば気にせずに読める。まあ、中学生ではさすがに読み味わうのは無理か。大学生でも無教養な学生には無理かもしれない。
とにかく、単純な「正義は勝つ」ではないし、だからと言って悪を勧めるわけではもちろんないし、ニヒリズムでもない。面白ければそれでいいといいう無責任な書き方でもない。たしか「大乗小説」と作者が言っていたとかどこかで読んだ記憶があるが、まさにそれである。大乗的見地から人間界の浮き沈みを眺める小説というわけだ。こういう小説を読めば、自分で生きるよりもはるかに面白いwww 学校で古文漢文を学ぶのも、こういう小説が読めるようになるためと思えば無駄ではない。
作中に出てくる、どんな患者でも(格安の)十八文で診る酔いどれ医者の道庵先生の言葉。
「どうして、世の中が斯う面白いんだか、世間でクヨクヨしている奴の気が知れねえ、おしなべて天下の事が十八文で定まりがつくんだ、十八文より高くもなし、そうかと云って十八文より安くもねえ、安いと高いは買い様による」
一般的には机龍之介が主人公視されているが、主人公のひとりと言うべきだろう。脇役のひとりひとりの人生がそれぞれ簡潔に描かれているのであり、群像ドラマである。
まあ、若いころには文体の「ですます調」が安っぽく感じられて食わず嫌いをしたのだが、たくさんの小説を読み飽きた目にこれだけ面白く読める小説というのは滅多にない。しばしば出てくる美文調の表現も、少し古文を齧っていれば気にせずに読める。まあ、中学生ではさすがに読み味わうのは無理か。大学生でも無教養な学生には無理かもしれない。
とにかく、単純な「正義は勝つ」ではないし、だからと言って悪を勧めるわけではもちろんないし、ニヒリズムでもない。面白ければそれでいいといいう無責任な書き方でもない。たしか「大乗小説」と作者が言っていたとかどこかで読んだ記憶があるが、まさにそれである。大乗的見地から人間界の浮き沈みを眺める小説というわけだ。こういう小説を読めば、自分で生きるよりもはるかに面白いwww 学校で古文漢文を学ぶのも、こういう小説が読めるようになるためと思えば無駄ではない。
作中に出てくる、どんな患者でも(格安の)十八文で診る酔いどれ医者の道庵先生の言葉。
「どうして、世の中が斯う面白いんだか、世間でクヨクヨしている奴の気が知れねえ、おしなべて天下の事が十八文で定まりがつくんだ、十八文より高くもなし、そうかと云って十八文より安くもねえ、安いと高いは買い様による」
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