という考えなので、ファミマのこの試みに賛意を示した。その考えは変わらないが、下に引用した記事が示している懸念も同意する。要するに、懸念があるなら、その不安が現実化しないように運営側が配慮すればいいというだけのことだ。
私は「大企業性悪説」(大組織性悪説でもある)の思想を持っているが、こういう事は「是々非々」で判断すべきであり、この試みは「是(ぜ)」の部類だろう、と思っている。ただ、いかにも「企業宣伝臭」が強いのは不快だが、貧困家庭の子供の救済に役立つなら「是」とすべきかと思うわけだ。
ファミリーマートが子ども食堂!?
2月1日にコンビニエンスストア大手のファミリーマートが子ども食堂の取り組みを始めると以下の通り発表した。
この発表を受けて、これは子ども食堂なのだろうか、単なる企業の商品提供、企業体験の場ではないか、という印象を持った。
これまでTwitterでも疑義を呈してきたが、僕の主張をまとめておきたい。
(中略)
ファミマ子ども食堂への懸念2 低賃金労働を強いたうえでの子ども食堂は何度でも批判する
日本のシングルマザーの貧困、子どもの貧困は深刻である。シングルマザー等の相対的貧困率は50,8%にまでおよび、日夜働いても生活が苦しい。
シングルマザーは80%以上が働いているにもかかわらず、相対的貧困から抜け出せない。なぜかといえば、明らかに賃金が低い労働に従事しているからだ。
ある子ども食堂で2人の小学生と食事をしていた30代のシングルマザーは、コンビニエンスストアで時給900円で働き、週末は深夜に飲食店でアルバイトをしている。週に6日働きながら、一緒に食事をしていた2人の子どもを育てている。日曜日だけ唯一の休みなので、体力を取り戻すために休息する。そのため、子どもと向き合えないともいう。家賃もかかるし、習い事の月謝やスマホ代も高く、家計は常に火の車だ。
彼女はいわゆるダブルワークであり、2つの職場を合わせても収入は手取りで19万円程度にしかならない。
これ以外に児童扶養手当、児童手当が入るが、十分な金額ではない。
本当は子どもと過ごす時間もほしいはずだし、下の子は不登校気味なので時間をかけてあげたいと話すが、その時間を取れば一家が困窮することは明らかだ。
まず彼女はコンビニエンスストアに勤めている。
コンビニエンスストア、小売業の産業自体が貧困やワーキングプアを再生産していることは執拗に指摘しておかなければならない。
指摘しなければ彼女たちに申し訳が立たない。小売業、飲食業にはシングルマザーが多く、低賃金で子どもを育てている。
子どもの貧困を生み出しているのは誰なのか。もう一度「子ども食堂」を名乗る前に考えていただきたい。
「企業が善意で取り組むことならば何でもやるべきだ。やらない善よりやる偽善。」など様々な声が聞かれるが、まずやるべきことはなんだろうか。僕は子どもに商品提供や企業体験をさせることではないはずだと繰り返し指摘しておく。
さらに、コンビニエンスストアのオーナーは最低賃金を割り込む賃金で働くこともあるし、アルバイトも最低賃金周辺の賃金で働いている。
そのなかには前述したように、子育て世帯の従業員も含まれている。子ども支援に取り組むのであれば、まず自社関連の従業員の処遇改善を業界全体で引き上げていくことこそ、優先すべきであろう。
ワーキングプアを構造的に発生させながら、子ども支援に取り組む姿は、火をつけながら消火活動をするような印象をどうしても持たざるを得ない。
少なくとも小売業からワーキングプアを減らす取り組みや宣言が見られるだけでも印象は違ったはずだ。