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「製作委員会」(「制作委員会」にあらず)というものの性格

「ハテナダイアリー」から転載。
「けものフレンズ」の二期の制作からたつき監督が外されたことで、ネット的には世界的な(少しおおげさか)大騒動になっているが、その背景的な知識として、「製作委員会」という制作(製作)方式について知っておくのは有益だろう。現在のアニメのほとんどはこの方式で作られており、実写映画もこの方式であることが多い。
昔は、「その作品に惚れ込んだ集団」が、手弁当で、その作品を世に送り出す方式なのかな、とおめでたいことを私は想像していたのだが、何のことはない、カネへの欲望しかない、ど汚い集団でしかないようだ。しかし、また、そういう方式でないと作品制作(製作)に必要なカネが集まらないという現実がある。映画会社やアニメ会社には、「現場作業員」の役割しか無いわけである。その現場の仕事もスポンサーからいろいろ口出しされるだろうことは想像するのも容易だ。現代の映画やアニメにあれほど愚作が氾濫するのもむべなるかな、だ。
で、「けものフレンズ」はたつき監督が八面六臂の活躍で作った、ほとんど自主制作アニメに近いくらいの作品だったから、監督の個性を十分に発揮することができ、だからこそ近来希に見る傑作になったのだが、こういう作品では「製作委員会(『制作委員会』ではないようだ)」方式とは水と油であり、カネ儲けしか頭にないフレンズたちから見て、たつき監督というのはむしろ邪魔な存在となったのだろう、と想像される。
二期の「けものフレンズ」は、一期とはまったく別種の作品になることは必然的だろう。もちろん、私はすでに見る気はまったく失せている。



なお、「制作」と「製作」の違いは、私の理解では、「制作」は芸術作品の創造で、「製作」は工業製品などの創造だと思っている。だから、「製作委員会」にとってはその作品の芸術作品としての出来不出来などまったく頭になく、それがカネを生むかどうかだけが問題だ、というのは、「製作委員会」という名前そのものに表れていると言えそうだ。


(以下引用)


2017-09-27

製作委員会の内情(的なもの

製作委員会が、悪の枢軸呼ばわりされて盛り上がっている。


とある作品製作委員会に身を置いていたことがあるので、思い出を書く。



■カネのための集まりである


製作委員会というのは「製作」をする人たちの集まりであって「制作」をする人の集まりではない。


私も最初ここの違いが全く分からなかったが、中に入ってようやく理解した。


まり、「その作品を作るためにお金を出した人たちの集まり」であって


原作者監督声優脚本家が集まっているところではないのである


(このへんがネット上では未だにけっこう誤解されている気がする。)


から製作委員会の集まりで最も重要なのはカネの話だ。


これは良いとか悪いとかいう話ではなく、カネのために集まった組織なのだから当然の話である



■どんな人がいるのか/どんなことを考えているのか


会議に出席するのは、出資社(出版社とか、TV局とか、広告代理店とか、製作費を出す会社から送られてくる、各担当者だ。


いろんな会社から、いろんな人が出て来て、異業種交流会みたいで、けっこう面白い


そして、ここがポイントだと思うのだけど、この会議に出席してくるのは、必ずしも映像業界に詳しい人間ばかりではない。


彼ら(そして私もそうだったが)のミッションは2つ。


1.出資金以上のリターンを持ち帰ってくること


2.本業へ良い影響があるように、動き回ること


1つ目は分かりやすいと思う。株買って儲けようとするのと同じだ。投資だ。


でも、それ以上に、各社担当者にとって大切なのは、2つ目なのである



■なんだかんだ、本業の方が大事


例えば、広告代理店


彼らが委員会出資するのは、「その作品広告仕事が欲しいから」 以外には無い。


仮にその作品映画だったら、映画TVCMだけで何億円という発注を獲得できるのである


それ以外にも、新聞雑誌交通広告ウェブ広告・・・いくらでも仕事は降ってくる。


例えば、出版社


出版社が参加している場合は、原作出版であることがほとんどである


彼らが委員会出資するのは、「原作バカみたいに売れまくる事」を期待すること以外に無い。


そのための宣伝費と思えば、映像化する際の出資なんて大したことは無い


(今は違うかも・・・本売れないか・・・


映像作品商業的に成功すれば1つ目の目的は達成される。


だが、そんなのはバクである


そもそも作品性なんてものは、監督制作側の担当領域なので、製作委員会担当社員からすれば、自分たちでどうにかできるわけでもない。


みんな最初から1つ目なんてアテにはしちゃいない。


から、 2つ目の目的=自社の利益になりそうなこと の達成ばかりに力を入れ始める。



■どんどん仲が悪くなる


各社が2つ目の目的を達成しようとすると、どうしてもバラバラな動きになる。


それぞれ目指すところ(=自社の利益)が違うからだ。当たり前だけど。


2社だけなら良いが、委員会はたいてい5社6社は当たり前。


ということで、担当者仕事は「複数社間の利害調整」がメインになる というカラクリである




個人的な思い出


自分経験からすると、他社の担当者ケンカしていたかケンカ仲裁をしていた思い出しかない。


何がめんどいって、「みんな業界が違う」 ので、企業文化どころか、業界文化が違う。


「こんなこと当たり前だろ」が各社バラバラなので、話がとにかく合わない。


それが一番面倒だった。


まず共通言語を作るところから始めるのが正しいんだろうけど、正直そんな時間はないので


結果的ケンカ仲裁 の最短ルート選択されるのだ。


当方はどちらかというとウェブとかなんやらの会社だったので、


出版社広告代理店TV局(この3つは大抵どの作品にもいると思う)の人たちの文化がとにかく古すぎて、いっつもイライラしていた思い出がある。いわゆるギョーカイ人側の人たちですね。


会社の人と話せば5秒で終わる話が、なんやかんやで1か月かかるなんてザラである


ただ、いろいろな業界のお作法などが垣間見れたのは面白かったと言えば面白かった。


普通会社にいながら、ギョーカイ人と触れ合える経験なんてあまり無いし。


スキルとしては、複数社間の利害調整能力というものが身についたと思う。大抵のケンカ仲裁できるようになった。


当然のことながら、映像に関する知識あんまり身についていない。


自分は下っ端だったし、作品成功するかなんてのは比較的どうでもよくて、目の前の仕事をこなすのに精いっぱいだったのが正直なところ。


からネット製作委員会方式諸悪の根源扱いされるのも無理はないな、とは思う。


でも、本当に映像を作ってる人たち(監督とか)は、こうした状況を理解した上で、うまく利用してやろうという人もたまにいて、そういう人はどんどん有名になっていった。


今は全く違う仕事をしているので、最近どうなっているのかも知らないけど、


ケモノなんとか の騒動があったので、思い出して書いてみました。


ケモノなんとか は見てません)


~~~


こんな糞記事コメントしてくれた方、ありがとうございます


>だけど「複雑な力学が働いてるからたつきが善というわけでは無いぞ」と言いたいのかな、と思った。


悪ではないと思いますが善でもないだろうな、とは思います


もちろんたくさんの人に愛される作品を作った人という点では善だと思いますが、組織の中でどう見られるかは別の話なのですよね。悲しいか・・・


>「いわゆるギョーカイ人側の人たち」の考え方が古いのは何が原因なんだろう?


個人的には「プライド」ではないかと思います


やはり比較的、伝統的な手法を重視しますよね。これは別に製作委員会がどうこう、という話ではないと思いますが。


過去成功体験人間というのは縛られてしまものなのだな、ということです。


立場も分かるので、ボロクソに叩くほどのことでもないと思っています。うまく操作してあげればそれでよいのです。ある意味わかりやすい人たちです。


>カワンゴ(ドワンゴ)の調整力に期待するしかないなあ


まさに、ですね。普通こうした問題は事前に根回しがされるので、可視化されることは少ないと思うのですが、このパターンは珍しいですよね(だから騒がれているのだと思いますが)


ただ、その手前で十分に調整がなされたかどうかは分かりませんが、監督ツイート説明不足過ぎるがゆえに事態悪化させただけで、窮状を訴えるには良い手段ではなかった、と感じています


いずれにせよ、調整がうまい人がいるかいないか は委員会運営には重要な要素ですね。


>これを敷衍すると、出版利権カドカワ同人とか一枚絵とかウチ通さずに出してんじゃねーぞ、全部抜かせろって話?


そのへんは作品によって契約内容が違うので、外からはなんとも言えないところかと・・・


ただ、この業界頭悪い人しかいないので(汗)、契約なんてあってないようなものでして・・・今どうなのかは知りませんが。


よく揉めるポイントではあります


~~~~~


思いのほか伸びていてビビっている・・・


暗い話ばかりでもアレなので未来志向の話も・・・


 


制作会社もっとコントロールすべき


最近は、制作会社自身出資するケースも増えてきていると聞きます個人的には良い傾向かと思います


ただ、最後出資比率パワーバランスになるので、常任理事国入りできなければあまり意味ない・・・というのもあるかも。


常任理事国側は、常任理事国を増やしたくないですし)


それこそディズニーじゃないけど、制作側でも札束関係者を引っ叩ける存在が生まれると良いですね・・・


 


>この業界頭悪い人しかいない


これはね、自分自身も含めてそうだと思っています。ほんと自分バカなんで・・・残念ですが・・・


自分のことはさておき、頭が良いことがアドバンテージになりにくいんです。


映像作品お仕事って、ギャンブルに限りなく近いんですよね。


凄腕のギャンブラー必要なのは偏差値ではなくて運ですよね?


頭が良いか二の次で(もちろん良いにこしたことはないですが)、そんなことよりとにかく「運がいい奴」が残る場所だなー、と個人的には思います


逆に言うと、みんながディスりがちな「学歴社会」ではないので、それはそれで居心地が良い人もいるかも?


 


製作委員会の人、アニメ本編は見て無さそうなイメージ


半分ぐらい当たってます


というか、逆に言うと「制作」の領域神格化されすぎていて、現場の忙しい人は業務上何もタッチできないんですよね・・・


良く言えば分業化、なのかもしれませんが。


から、よっぽど個人的に好きじゃない限り、興味もなかったです。


実際にものづくりにも参加できていたら、全然違ったんじゃないかな、と思いますが。どうなんでしょうか。


 


ケンカ


ケンカ と書きましたが、ケンカするほど仲が良い というのは全くその通りで、意外と「現場に近い者同士」は、会社が違っても強い連帯感が生まれがちだと思います


会社同士はケンカしてても、現場担当者同士はちゃーんと仲良くしています


ある意味、「なんか知らんけど偉いっぽい人達」という共通敵が生まれるので、超連帯やすいです!


から仕事で嫌なことも納得いかないことも沢山あったけど、それ以上に楽しいこともたくさんありましたよ!


現場で育った人が、将来偉くなったら、もしかしたら色々環境が変わってくるんじゃないか・・・ と個人的には期待しています


自分は途中で降りてしまった人ですが)



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男性
職業:
仙人
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考えること
自己紹介:
空を眺め、雲が往くのを眺め、風が吹くのを感じれば、
それだけで人生は生きるに値します。

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