https://ameblo.jp/namachocoponzu/entry-12817308134.html
<転載開始>
こんにちは!生チョコぽん酢です。
ちょっと今日は少しグロテスクというか、デリケートというか、リアルな話になりますので、苦手な方は読まないでください。
あと、これは自分を凄く見せたり承認欲求の為に書くわけではなく、こういう現実があることを知ってもらう為に書いている、という点も誤解なさらないようお願いいたします。
今日もバタバタ動き回っている中で、いつもお世話になっている病院のソーシャルワーカーさんから退院依頼が来ました。
依頼内容は生活保護の女性一人を入院病棟から自宅のアパートまで送って欲しいというもので、生活保護の担当ケースワーカーにも確認が取れている、とのこと。
丁度相方が動いている時だったので、私が依頼先の病院までお迎えに上がります。
病棟のベッドには、昔は美人だったであろう細身のおばさんが食後の水分補給をされていました。
ご本人に軽く挨拶した後、情報が少なかったので看護師さんやご本人から少しずつ情報を集めたのですが、
ご本人曰く入院前は元々歩行ができる方で、道路で倒れているところを発見され救急搬送されたそう、看護師さんの話では熱中症で外傷などではないようです。
トランスは全て私がやりましたが、10割が全介助だとすると、7割程度の力添えが必要で、あまり良い状態ではありません。
また神経系に明らかに異常がみられ、体を動かそうとすると別の所が動くみたいな感じで、車椅子搬送ではありましたが、トランス時はヘッドバンキングみたいに首が動いてしまいます。
意識はクリアなのですが、これはちょっと大変そう。
さて、病院を出発してアパートに到着しました。
エレベーターの無いアパートの上階に住んでいたので、車椅子に座ってもらったまま階段の上までのぼり、やっと指定の部屋の前です。
後は部屋のベッドまでトランスして終わりや~と思っていました。
女性が鍵をガサゴソ探していましたが、よく見ると玄関扉が完全に閉まり切っておらず、少し隙間が空いていることに気が付きます。
私「あ、これ空いてますよ」
そう言って鍵を無くさないようバッグにしまってもらいつつ、私が玄関扉を開けた途端
ドザーーーーーーーー
部屋の中からゴミの山が、私の足元に、まるで雪崩のように押し寄せてきました。
それと同時に、ツンとくる激臭と、ハエと、コバエ?なのか得体のしれない細かい虫が大量に飛んでいます。
たまーに(年に数回程度?)こういう搬送があるので、落ち着いて部屋の中を見渡しますが、生活スペースがありません。
人によってはベッドだけは確保できている場合もあるのですが、隅から隅までゴミの山。
どの部屋のどの場所にも逃げ場はなく、ただただゴミの山。
ここで考えて欲しいのですが、皆さんならどこにご案内するのが正しいと思いますか?
間取りとしては玄関を入り少しの通路があり、キッチンがあり、その奥に2部屋です。
「部屋までかな・・・」と思うかもしれませんが、私は玄関かキッチンが正解だと思っています。
その理由は、物理的に部屋まで連れていくのは困難が生じますし、どのみち遅かれ早かれ救助にこなければいけないので、玄関の方が救出しやすい点、またキッチンは水場が近い点があります。
ちょっと状況を整理しましょう。
この方は本日自宅への退院が確定した人です。
独居で頼れる友人や近所付き合いもありません(本人に聞きました)。
役所のケースワーカーも何でも屋さんではありませんから支援には限度があります。
しかし思い出して欲しいのですが、ほぼ全介助の方ですから、歩くことなどできませんし、自分で水をくむことも難しいでしょう(水道が止まってる可能性すらある)。
部屋の移動も無理ですし、部屋から出ることも出来ず、助けを呼ぶ電話もありません。
食料も水分もないのです。
この酷暑の時に。
死にますでしょ。
どう考えても水も食料もないゴミの中で、エアコンも扇風機もない密閉された部屋で、1日~2日が限界です。
しかし、私はもうこの部屋に患者さんを置いてくる以外に選択肢がないのですね。
でも死んでしまいます。
これは民間の搬送業者によって選択が分かれるところなのですが、
・ある人なら病院に強めのクレームを言い、何とか別の選択を模索してもらうでしょう。
・ある人なら事を荒立てず、依頼された事だけ淡々とこなすでしょう。
・ある人なら役所のケースワーカーに相談して指示を仰ぐでしょう。
どれも正解なのですね。
私が思う不正解は何かというと「誰か適切な人がちゃんと考えてやってくれているだろう」と楽観視して、知らず知らずに(罪の意識もなく)見殺しにするパターンです。
これを集合的無知と言い、大勢が関わるほど、人の命が救えない場面があるのですね。
隙間で仕事をするということ、また自分で仕事をするということ、それは誰も把握していない事態に遭遇することが多いので、自分の頭で状況を整理し考えていくことが何よりも大切なのです。
で、私はどうしたのかという話なのですが。
まず車椅子は当然部屋の中に入れませんから、玄関のゴミの上にドサッと本人を下します。
本人はうつ伏せになり、這うようにして進もうとしますが、冒頭でも言った通り神経系に異常があるようで、思うように動きません。
左手で取っ手をつかんでいるから進めないのに進もうとしたり、
右肩が扉に引っかかっているから進めないのにそれに気づかなかったり。
ただただゴミの上で溺れているようになっています。
私は女性の両足を持ち、タイミングを合わせて力をかしてあげつつ、なんとかキッチン辺りまでこれました。
でも問題はこれからです。
まず役所の担当ケースワーカーに電話をしました。
そしたら午後から半休を取っていました。
直前まで病院のSWと退院のやり取りをしていますから、困難が生じることが明白となり、恐れて逃げてます。
なので状況の報告と、長くはもたないから早めに緊急保護のプロセス等を取った方がいい点を、別のケースワーカーに伝えました。
ケースワーカーは上司と相談すると言ってくれました。
その後、部屋の写真を相方と共有しつつ話合いをして、この後の私の仕事を調整してもらい、水分の支援をすることにしました。
本来なら食料も渡したいのですが、嚥下能力に多少の不安があり、万が一渡した食料で窒息なんてされたら本末転倒です。
なのでポカリや麦茶を買って、再度女性の部屋に戻ることにしました。
「病院に報告しないのか?」と思われるかたもいるかもしれませんが、病院側に連絡するのはナンセンスです。
退院は病院が決めたことであり、複数の医師が判断して決めたことである以上、それに異議申し立てを私からすることは、ある意味強いクレームになるわけです。
次回以降の仕事にも影響するかもしれないし、そもそも病院側のソーシャルワーカーだって、こんな部屋に住んでいるとは思ってもいなかったでしょう。
女性の部屋に戻り、玄関扉を開けると、キッチン辺りのごみに仰向けで埋もれています。
私はケースワーカーに連絡してあること、玄関扉を半分空けておくから本当に苦しい時は我慢せず、声を出して助けを求めることなどをアドバイスして、水分を渡しました。
泣いて喜ばれますが、そもそも本当にこれで大丈夫なのかどうかは分かりませんから複雑です。
もし亡くなってしまった場合は、最後の最後に関わった人物になるわけですから、色々腹をくくらなければいけません(罪悪感という意味で)。
それで現場を離れました。
その後役所のケースワーカーの偉い人?からお礼の電話があり、改めて生活は出来ないから施設等に保護を頼むようお願いをしました。
明日には現場の確認に来てくれるそうです。
いや本当に、死なないで欲しいなー。
私は旅行で貧困国にも行きますが、彼女と比べたらむこうの生活水準の方が高いですよ。
この日本で貧困国以下の劣悪な暮らしをしている人がいるなんて、よく考えたら衝撃的ですよね。
でも事実として彼女のような属性の人は一定数いるのです。
他の方の話もいずれ書くかもしれませんが、動物としての生きる力が欠落してしまっているのですね。
必ず支援してあげなければ生きていけませんから、すぐにでも保護をしてあげるべきなのですが、中々日本の制度も万能ではありませんし、本人達が声をあげないので尚更、気づいてもらうまでに時間がかかったりするのですよ。
人によっては気付いてもらえず死んでしまうケースもたくさんあると思います。
このあたりは警察の分野になるので私は詳しくありませんが、多分警察の方々は、こういう人の変死を毎日のように扱っていると思うのですよね。
私達にとっては簡単な事でも、彼ら彼女らからすると、とてつもなく難しい事なのです。
そして彼ら彼女らと私達も、実は紙一重なのです。
私って奇麗好きで、車も家もいつもピカピカにしておきたい派なのですが、実は中学生頃まで片付けが全くできませんでした。
今では考えられませんが、ゴミの中の方が落ち着いたのです。
部屋も汚いし、身なりも汚かったし、整理整頓もできないから学校の机の中もプリントでぐちゃぐちゃ。
親に渡さなければいけないプリントも無くしてしまうので、たくさん母親を困らせました。
もうめんどくさくなってしまい、学校の机のゴミは、定期的に校舎裏で燃やしてたりもしました(←あぶない子)。
ワザトじゃなく、どんなに努力しようとしても、出来なかったのですね。
でも良い面もあって、その分まわりの女の子に構ってもらえて結構モテましたw
人って欠点があった方が人間関係うまくいくとかあるんですよ。
でも度が過ぎちゃうと、今回の女性みたいに生きる力が無くなってしまう。
かと言って今の私のように、仕事も家事も何でも自分で完ぺきにできますみたいな人間は孤独になります。
ちゃんとしろ!ちゃんとしろ!ってガミガミ言われ続けたある日、何かが乗り移ったみたいに本当にちゃん出来るようになったのですが、
親から真顔で「自分の子供とは思えない」と言われた日から、私は色々思うところがあります。
生きていくって、本当に大変です。
まぁ今回の記事で伝えたかったことは、人の命を救うのは救急隊員とか医師だけじゃなくて、それぞれの立場で出来ることなんだよってことです。
それに気付いているか気付いていないかだけの差なのですが、その差は相当デカイのではないでしょうか。
男性は力や知力で、女性は言葉や思いやりで、相手を殺したり救ったりしているように思います。
おわり